初夢(遥香ver.)
「あの・・・お義母さんですか?」
『あら?よくわかったわね』
見覚えのない病室でベッドに腰掛けてる健斗によく似た女性を見てから遥香は1発で回答を導き出していた。最初は健斗の女装かと思ったが・・・胸もあるようだしなにより健斗よりもかなり小柄なのでそんな答えに行き着いたのだった。そうなると・・・
「これは初夢ってやつですか」
『そうなるわね。息子の嫁に会いにきっちゃった♪』
てへっと茶目っ気を出すので予想通り随分と明るい性格なのを把握して苦笑する。
「まあ、夢でも結婚前に会えたのは良かったです」
『あらそう?私も本当は化けて出てでも会いたかったけど・・・流石に旦那に悪いから自重したわ』
「健斗には会いましたか?」
『ふふ、ちーちゃんもだけど本当にあなたも健斗のこと大好きなのね。いえ、あなたの場合はラブかしら?』
「ですね。世界で一番愛してます」
恥ずかしげもなくそんなことを言う遥香に微笑んでから女性は遥香に言った。
『あなたなら健斗のこときっと幸せにしてくれるわね。まあ、でも私は普通に年上の女性を捕まえてくると思ってたのにまさか子持ちの年上の女性になるとは思わなかったわ』
「まあ、私も再婚することになるとは思ってなかったです」
『人生そんなものよねぇ。でも遥香ちゃん美人さんだから今からでも化けて会いに行こうかしら?』
「それは・・・御遠慮願えれば」
『ふふ、まあないとは思うけど遥香ちゃんが浮気したら私本気で化けでるから覚悟なさいな』
遥香として絶対ないのでそれに頷いてから頭を下げて言った。
「お義母さん。健斗を・・・息子さんを私が貰います」
『ええ、お願いするわ』
「ありがとうございます」
『ふふ、でもまさかここでそんな話することになるとはね』
「この病室ですか?」
『ええ、ここ私が死んだところなのよ。健斗にここで無茶な枷を嵌めてしまったから後悔してたんだけど・・・その枷を取り払ってくれる人に出会えて本当に良かったわ』
すっとベッドから立ち上がってから女性は遥香に近づくと心底嬉しそうに言った。
『健斗に笑顔をくれて・・・本当にありがとう』
「・・・私こそ、健斗には助けられっぱなしですよ」
『ふふ、助け合ってこそ夫婦よ。さて、そろそろ時間かしら?』
見れば女性の手が透けてきていたので遥香ももうすぐ目覚めると分かって思わず聞いていた。
「よければ健斗に伝言伝えますよ?」
『そう?まあ、ちーちゃんにもお願いしたけど・・・遥香ちゃんには別のお願いしましょうか』
そう言ってこっそりと耳打ちをされる遥香。その言葉に少しだけ目を丸くしてからくすりと笑って言った。
「本当に生きてたら楽しくお酒でも飲みたかったですよ」
『あ、私お酒はダメなの。ジンジャーエールなら付き合うわよ』
「じゃあ、お供えにはいちご大福とジンジャーエールが良さそうですね」
『そうね。あ、いちご大福は小倉亭じゃないと嫌よ』
「わかってます。楽しみにしといてください」
その言葉に頷いてから女性は最後に遥香を軽く抱きしめてから囁くように言った。
『健斗と幸せになりなさい。健斗のお嫁さん』




