330 クリスマス
クリスマスプレゼント
「おにいちゃん、おにいちゃん!みてみて!」
翌朝、朝食を作っているとプレゼントでパンパンになった靴下を持って俺に嬉しそうに報告してくる千鶴ちゃん。寝る前にサンタさんをして本当に良かったと微笑んでから俺は聞いた。
「プレゼントいっぱいだね。何貰ったの?」
「えっとね・・・かわいいはこと、うさぎさんのやつ!」
「お、オルゴールにうさぎのジグソーパズルだね」
俺があげたのはジグソーパズルなのでオルゴールは先生だろう。なんとも洒落たプレゼントだが、まあ先生らしいといえばらしいかな。
「千鶴ちゃん、今年はいっぱいいい子にしてたから、サンタさんもプレゼント奮発したんだろうね」
「えへへ・・・」
俺に頭を撫でられて嬉しそうに微笑む千鶴ちゃん。本当に可愛いと思っていると千鶴ちゃんは「でもね・・・」と撫でられながら言った。
「おにいちゃんが、ぱぱになってくれるってことがいちばんうれしいの」
そんな健気なことを言ってくれる千鶴ちゃんを俺は思わず抱きしめて抱っこしていた。あ、でもあと3ヶ月は秘密にしないとな。
「そのことなんだけど・・・周りの人にはしばらく内緒だよ」
「どうして?」
「いきなりパパになったって言ったら皆びっくりするからね。だから、外ではこれまで通りにできるかな?」
「わかった。ないしょ」
しーっと指を口にあてる千鶴ちゃん。子供ながら千鶴ちゃんは口が硬いので漏らすことはそうそうないだろうけど・・・うっかり漏らしてもフォロー出来るは出来るだろう。あと3ヶ月だしそのくらいならなんとでもなると思う。
「おにいちゃん、あのね・・・ときどきぱぱってよんでもいい?」
「ん?外じゃなければ好きなように呼んでくれていいよ」
「じゃあね、じゃあね・・・ぱぱ」
「うん。何かな千鶴ちゃん」
「えへへ、よんだだけ」
そんな風に可愛らしく微笑む千鶴ちゃんに俺も笑顔で返すが・・・内心はかなり荒れていた。この子の口からパパと聞くとどうしても慣れなくてびっくりしてしまう自分がいた。
当初の予定がこんな形で叶って俺としてもかなり動揺しているのだが・・・にしても、本当に千鶴ちゃんに親として認められたのだと思うと心底嬉しかったりする。
内心では既に娘扱い満々だったが、いざ呼ばれると狼狽えるのだから本当に自分はメンタルが弱いと思いつつも・・・それだけ破壊力のある言葉を天使のような笑みで言う愛娘に心底可愛いと思っていた。
うん、俺も結構親バカになりそうだと思うが・・・可愛いものは可愛いのだから仕方ない。
そうして初回のサンタさん作戦は満足のいく結果で終わったので、来年はもっと喜んで貰えるようにしようと思うのだった。




