326.5 最高の予感
「というわけで、姉さんお誕生日おめでとうー♪」
「いや、呼び出した要件がそれか?」
早めに仕事を終わらせて瑠美からの呼び出しに応えた結果、何故か遥香は誕生日よりも前に誕生日を祝われていた。年齢的には別に誕生日など祝われても仕方ないという気持ちが強いが素直に渡されたプレゼントを開けてからびっくりする。
「お前・・・これ、今時こんなのどこで手に入れたんだ?」
やたら大きいプレゼントだと思ったら中身は所謂『YES、NO枕』と呼ばれる表にYES、裏にNOと書かれた枕がそこにはあった。
「ドンキで売ってるよー」
「はぁ・・・こんなの渡されても、私は常にYESしか使わないぞ?」
「だろうね。だからこれは姉さん用じゃなくて健斗くん用かな。はい、これが本命のプレゼント」
そうして今度は小さな包みが渡されたので中身を開けるとーーー可愛らしい小さめのスノードームがそこにはあった。
「随分と気の利いたプレゼントだな」
「ま、健斗くんと被らないようにした結果かな?ブラとかなら健斗くんと被らないだろうけど、それを選ぶのは健斗くんの役目だろうしね」
「なあ、やっぱりお前健斗とちょいちょい連絡取ってるんだな」
「うん、まあ必要な時はね。嫉妬かな?」
図星なので遥香はコーヒーを一口飲んでから頷いて言った。
「まあな。例え妹だろうが独占欲が湧くのさ。私の健斗には変わらないからな」
「熱々だねぇ。姉さんから寝とるなんて出来たら面白そうだけど、健斗くん多分絶対私には手を出さないしねぇ」
恐らく瑠美がどれだけ迫ろうとも絶対に靡くことはないだろうという確信が瑠美にはあった。まあ、それ以前の問題で姉の恋人寝とるつもりなど毛頭なかったが。
「私だって我慢してるんだ。ここで邪魔なんかされてたまるか」
「姉さん本当に肉食なのに頑張ってるねぇ。卒業式終わったら健斗くんその反動受けてやばそうだよね」
「まあ、否定はしないが」
入籍出来れば多分遥香はこれまでの分も健斗にせまるだろうという確信があった。絶対に止まらないのが目に見えてるが・・・まあ、そんな自分のことも健斗は優しく受け入れてくれそうだとも思うのだ。
「というか、なんで今プレゼント渡すんだ?」
「え?だってお正月まで会うことないだろうし・・・それに、せっかくの家族水入らずを邪魔なんて出来ないよ」
「なるほどな・・・まあ、とにかくありがとう」
「うん。あ、あとこれは恵さんから新しく仕入れた健斗くんの写真ね」
その渡された写真の方がプレゼントよりもずっと嬉しそうだったという事実は瑠美の胸の内に閉まっておくのだった。まあ、今年は健斗もいるしきっと遥香にとって人生で1番幸せな誕生日になるだろうとも思うのだった。




