322 ピンポン
卓球
「えい」
ポンと軽くピンポン玉を打つ千鶴ちゃん。
「ほい」
それに対して手加減して返す先生。台のサイズが子供用だからか少し打ちづらそうだが・・・それでも、楽しそうで何よりだ。
そんなこんなで3人で個室の露天風呂に入ってから、飲み物を買いに出た先で、行きは気に止めてなかった卓球台を物珍し気に見つめていた千鶴ちゃんに付き合って現在俺たちは卓球をしている。
子供用のサイズの卓球台まであるとは正直に言うと思わなかったが・・・まあ、千鶴ちゃんも楽しめるのでありがたい。
「あう」
と、そんな風に微笑んでいると、思ったより高くはねたピンポン玉が千鶴ちゃんの頭を上を通り過ぎて地面に落ちてしまった。
「すまんすまん。大丈夫かちーちゃん?」
「うん。だいじょうぶ」
てこてことピンポン玉を追いかける千鶴ちゃんを見てから先生は俺に視線を向けると言った。
「そろそろ交代するか?」
「満足するまで待ちますよ」
これを勝ち負けとか関係なしのただのピンポン玉を返す遊びと捉えてるからこそ、ギリギリセーフで千鶴ちゃんと遊べるが・・・まあ、それでも先生みたいに器用に千鶴ちゃんに返せる自信もないのでそう答える。
「ちーちゃん一段落したら、私達も軽くやるか?」
「卓球あんまし得意じゃないんですが・・・」
「ままとおにいちゃんがやるの?」
ピンポン玉を拾ってきた千鶴ちゃんにそう聞かれる。その言葉に先生は何やら閃いたように言った。
「ならあれだな。賭けをするか」
「賭けですか?」
「私が勝ったら、私とちーちゃんの言うことなんでも聞くこと」
「俺が勝ったら?」
「私がお前の言うことなんでも聞いてやるよ」
なんとも先生らしい言葉に苦笑するが、正直腕力はともかく運動神経はそこまで良くないので負けフラグが確定してしまった。娘のまえで負けるのはカッコ悪いかもしれないが・・・でも、下手に勝つより、負けて2人の言うことを聞く方が良さそうな気もしたのだ。
そうして1ゲームだけ千鶴ちゃんに見学して貰ってやったが・・・うん、先生普通に強かったわ。スピンとか平気で使ってくるし、サーブも強烈でこれで久しぶりとか有り得ないレベルだ。
まあ、あっさり負けたわけではなくそれなりに接戦らしさは演出出来たので及第点かな?千鶴ちゃんも楽しそうに見ててくれたし。
ただこの後に何を要求されるのかは少しドキドキではあるが・・・とりあえず今は楽しそうに2人で緩くピンポン玉を打ち合っているのでそれを微笑ましく見守ることにしときますよ。




