317 ソリ
ソリ
「おー♪」
「やっふー♪」
楽しそうに2人でソリに乗る先生と千鶴ちゃん。借りてきたかいがあったが、流石に3人では乗れそうにないので順番で千鶴ちゃんと乗ることにした。今は先生のターンだ。
ゲレンデの一角の短い小さな坂で滑る2人の母娘にほのぼのとする。いやぁ、なんだかこうして見守ってるのがとてつもなく楽しく感じる。千鶴ちゃんと一緒に滑るのも楽しいけど、こうして2人が仲良くしてる姿を見るのが俺は何より楽しかった。
やっぱり血の繋がりを感じる2人の態度に心底癒されていると、ソリを引きずりながら先生が言った。
「次はお前の番だぞ」
「おにいちゃーん!」
「すぐ行きますよ」
なんだかとても尊いものを見せて貰ったのでほっこりしながら千鶴ちゃんとソリに乗って滑る。思ったより速度が出てるけど、危なくはないので、前で楽しそうにはしゃぐ千鶴ちゃんと一緒に風になる。
そうして何回か滑っていると、上に登るときに少しだけ息を乱している千鶴ちゃんを見て俺は言った。
「千鶴ちゃん。ソリに乗って掴まっててくれる?」
「こう?」
がっしりと掴んだようなので俺も少しだけ重くなったソリを引いて上まで登る。少し疲れるが、千鶴ちゃんの遊ぶ体力のためにある程度は仕方ないと思っていると、千鶴ちゃんは嬉しそうにはしゃいで言った。
「おにいちゃんすごい!ちからもち!」
「千鶴ちゃん軽いからね」
「すごいすごい!」
本当にいつもよりテンション高くて可愛い。いつもの控えめな感じも好きだけど、やっぱり笑顔の千鶴ちゃんが何より尊いのだ。
「私にもしてくれるかー?」
遠くからそんな先生の声が聞こえてくる。この距離で聞こえていたのかとびっくりしながら俺は苦笑気味に言った。
「2人きりでしたらしますよー」
聞こえたのか手を振る先生。まあ、なんだかんだで先生も楽しんでるみたいで良かった。そうして何回か滑って先生と交代してをしばらく繰り返していると、少し千鶴ちゃんが飽きてきたように見えたので、今度は千鶴ちゃんと先生をソリに乗せて俺が引っ張るという遊びをする。
千鶴ちゃん的に「さんたさんみたいでかっこいい!」と嬉しい声を頂いたので精一杯トナカイをさせて貰った。まあ、本当のクリスマスでは俺がサンタさんをやるのだが・・・可愛い娘へのプレゼントは既に決まっているので大丈夫だ。
あとは先生へのプレゼントだが・・・そちらも抜かりはない。クリスマスと先生の誕生日まであと少し・・・それまでの時間を精一杯楽しむだけだということで午前中はソリ遊びに興じるのだった。




