315 山の上は
雪山へゴー
「ゆきだぁ!」
パァと顔を輝かせる千鶴ちゃん。12月に入っても俺たちの地域ではまだ雪は降ってない。今千鶴ちゃんが嬉しそうに眺めているのはスキー場近くの山の降り積もった雪景色に対してだ。
父さんから貰ったチケットを早めに使いたかったのでテストが終わったタイミングでスキー場へと赴いていた。今日はスキー場で目一杯遊んでから、一泊して明日には帰る予定だ。
「しっかし、標高高いとこはやっぱ雪凄いな」
「ですね。スタッドレスに変えてなかったらやばかったかもですね」
道中、紅葉の終わりを迎えるように途中から別世界に変わったのだが・・・その変化も千鶴ちゃんは嬉しいようで大はしゃぎである。
「タイヤ交換サンキューな」
「いえ。そのくらいなんてことないです」
「しっかし、お義父さんは車持ってないのによくやり方知ってたな」
「雅人の家の車を手伝ってたので」
雅人の父親に習っていたのでタイヤ交換自体は大した労力ではなかったりする。冬が近づくとよく手伝ってたのを思い出して苦笑していると先生は思い出したように聞いてきた。
「なあ、お前はスキーの経験はあるよな?」
「ええ、まあ。小学校高学年と中学の頃に少しやった程度ですが」
「ま、この辺の子供ならだいたいやってるよな」
「スケートは流石にやり方忘れてますけどね」
山が近かったりすると結構学校行事でウィンタースポーツをするところは珍しくないだろう。俺も小学校低学年ではスケート。高学年ではスキーをやったしね。
「まあ、今日は千鶴ちゃんと一緒に遊ぶので滑りませんが」
「気にせずやって来てもいいんだぞ?たまには私がちーちゃんの面倒みるし」
「いえ。そこまでスキー得意じゃないんで。遥香さんはスノボーとかですか?」
「まあ、昔はやってたな。とはいえ正直そこまで好きじゃないがな」
まあ、ウィンタースポーツは好みわかれるしね。アウトドア系統って本当にやれば楽しいけどその過程が大変だったりするから。
「んじゃ、今日は3人で遊ぶとするか」
「それがいいかと」
「ゆっきー♪ゆっきー♪」
嬉しそうに窓の外を見ながらはしゃぐ千鶴ちゃん。本当に可愛い反応だけど、雪って確かにテンション上がるよなと思わず微笑むと千鶴ちゃんは言った。
「おにいちゃん、まま。おそとまっしろできれいだね」
「うん。そうだね」
「だな」
本当に雪が嬉しいのか大はしゃぎな千鶴ちゃんにほっこりしつつも、今夜は早めにバテそうだなぁと少し思ってから同じことを思っていたのか先生とともに微笑んで頷いてしまうのだった。




