310 サウナ
サウナ
「そういえば、けんちゃん。聞いたでござるか?」
「何が?」
久しぶりにサウナに入っていると、涼しい顔で普通に話しかけてくる斉藤。俺は早々に暑さにやられそうなのに丈夫だなぁと思っていると斉藤は言った。
「今、クラスで卒業旅行を企画してるそうでござるよ」
「そういえばそんなこと言ってたね」
クラスメイト同士仲良しが多いから、皆で旅行に行こうって話しをしてたのは聞いたような気がする。まあ、俺は全く興味ないんだけど。
「その反応・・・やっぱりけんちゃんも不参加でござるな」
「斉藤もでしょ?」
「クラスメイトには悪いでござるが・・・拙者は生憎とやることがあるでござるからな」
「まあ、いいと思うよ。雅人辺りも行く気なさそうだけど・・・雅人行かないと皆テンション下がりそうだしね」
良くも悪くもムードメーカーの吉崎と、圧倒的カリスマの雅人。この辺が軸になってるクラスだからこそ、この2人はいた方がいいのだろう。
「けんちゃんは結婚式の準備はどうでござるか?」
「まあ、少しづつかな。かなり小規模な予定ではあるけど・・・こだわれる所は拘りたいしね」
「日取りが決まったら教えて欲しいでござる」
「うん。そうするよ」
流石に熱くなってきたのでサウナから出て水風呂で軽く体を冷やしてから外に出る。露天にそのまま入ってもいいけど、この涼しさを味わいたいので近くの椅子に座ると後を追って出てきた斉藤も隣に座って言った。
「今年もあと1ヶ月・・・あっという間でござるな」
「俺はやっとって感じかな。来年が楽しみで仕方ないよ」
「けんちゃんらしいでござるな。でも、1番早く結婚するのがけんちゃんなのは予想通りでござる」
「そうかな?」
「けんちゃんは優良物件でござるからな」
そんなことはなさそうだが・・・むしろ地雷源のような気もする。
「拙者は収入が安定したら彼女にプロポーズするでござるよ」
「そしたら結婚式は呼んでよね」
「もちろんでござるよ。ただ式的にオタク文化が強いのは許して欲しいでござる」
どんな結婚式をやるのやら・・・まあ、斉藤らしくはあるが。
「けんちゃん。高校生活ってあっという間でござるな」
「まあ、そうだね」
「中学より早く感じたでござるよ」
「俺はこの1年の方が色々あった気がするよ」
本当に色々あったが・・・少なくとも先生や千鶴ちゃんに出会えたのは嬉しかったりする。こんな関係になれたのも幸せだし、今年はやっぱりいい年だったと言えるだろう。色々あったからこそ、そう思うのだった。




