305.5 義母からのメッセージ
健斗が洗い物に出てから、遥香は先程の腕時計の中に入っていた手紙をもう一度読み返していた。ペアウォッチというのも驚きだが、デザインも自分好みなので本当に偶然なのかと疑いたくなるほどだ。しかも・・・
「この内容だもんなぁ・・・」
思わず苦笑してしまう。
『健斗のお嫁さんへ。はじめましてかな?私のお墓に2人で行ってたらお久しぶりね。まあ、きっと健斗のことだから年上の人をつかまえてきそうだけど、私からしたら可愛い息子のお嫁さんだし、気にしないかな。これを受け取ってくれたってことは、きっと健斗と歩いてくれるって決めてるんだろうけど・・・あの子は本当に色々抱え込んじゃうから、支えて欲しいの。多分私がいなくなってからも、旦那と海斗のことで色々頑張り過ぎたんじゃないかな?まあ、だから私からあなたに送る言葉は1つだけ・・・健斗と幸せになりなさい。浮気したら化けてでるからね。あ、あとお供えは小倉亭の苺大福がいいなぁ。可愛い孫とお墓参りくるの楽しみにしてるね♪P.S.これは健斗には見せないこと。あと襲うなら優しくね♪』
「全く・・・お義母さんとは仲良く出来そうだよ」
手紙からでも伝わってくる人柄。きっと、自分の死期を悟っても明るく振る舞っていたのだろう。遥香としても1度会って話してみたかったと思うが・・・それは、次の墓参りの時にでも色々報告しようと思うのだった。
「遥香さん?」
「うん?どうした?」
「いえ、嬉しそうな表情してたので」
嬉しいか。確かにそうかもしれないと思うのだった。名実共に両親から健斗のことを任されたのだ。嬉しくないわけがない。
(まあ、私の方がちーちゃんのことも含め世話になってるが・・・それでも、健斗の隣にいたいからな)
そう、結局はこれで健斗との絆がまた1つ増えただけなのだ。健斗の卒業まであと数ヶ月・・・長いようで短いこの時間にさらに絆を深めていくだけだ。
(それまで襲わないのは結構大変だが・・・卒業までの辛抱だ。お義母さんから襲っていい許可は出たが・・・流石にあいつの気持ちを置き去りにはしたくないしな)
自分でも驚くぐらいに健斗のことが愛おしすぎるのだ。のめり込みやすいのを差し引いても清い関係というのが生殺しにも感じるのは初めてかもしれない。嫌ではないが・・・遥香としては今すぐ確実に健斗を自分のものにしたいという気持ちもあったりするのだ。
そんなことを知らずに楽しげに家事をする健斗をみてから遥香は腕時計を着けて、またひとつペアグッズを増やすのだった。




