304 カニ鍋
お鍋
「どうぞ、お義父さん」
「あら、ありがとう」
普通は夕飯の時にお酒は飲まないけど・・・まあ、帰る前に1杯ってことで父さんにお酌する先生。
「ふふ、本当は今日何もなければ夜までお酒飲みながら昔話にでも付き合って欲しかったけど・・・生憎と明日用事があるのよね」
「それはまたいずれお付き合いしますよ」
「そうね、その時はよろしくね」
そうして大人2人が和やかにしてるので、俺は俺で千鶴ちゃんに鍋をよそって言った。
「はい。熱いからふーふーして食べるんだよ」
「うん、ありがとう、おにいちゃん」
ふーふー、っと懸命に息を吹きかけて冷ましてからもぐもぐと食べる我が娘。うん、やっぱり可愛い。
「そういえば、健斗。年始の挨拶ウチには来るのかしら?」
「行っていいなら行くけど・・・人通せる状態?」
「失礼ね。足の踏み場はあるわよ」
まあ、昔からそういうのは苦手だったしねぇ・・・予想通りと言えば予想通りの言葉に苦笑して言った。
「お祖父ちゃんの家に行く時にでも、タイミングが合えばかな?あと、やっぱり掃除しに行こうか?」
「ダメよ。嫁入りした息子に頼むなんてお父さんのプライドが許さないわ」
嫁入りしたって・・・まあ、不思議とそれに近いのは否定しなけど、違うからね。まあ、本人がいいと言うのだからしばらくは様子見かな。
「お義父さん」
「あら、何かしら?」
「私達に変に気を使わなくてもいいんですよ?もちろん私もちーちゃんも健斗のことを独占したいですが・・・まあ、それでも、必要なら言ってください」
その先生の言葉に父さんは少し驚いてから苦笑して言った。
「そうね。でも、私はこれまで散々健斗には負担をかけたから、しばらくは1人でやらせてちょうだい」
まあ、別に負担だとは思ってないが・・・父さんなりの意地みたいなものもあるのだろう。男親としての矜恃というか・・・まあ、俺にも地味になくはない要素なので納得はできる。
「おにいちゃん、おにいちゃん」
そんなことを話していると千鶴ちゃんが俺の袖を引っ張ってきたのでそちらを見るとちゃんと野菜も綺麗に食べたようなので俺は千鶴ちゃんの頭を撫でて存分に褒めた。
「うんうん、よく食べたね。この調子で頑張ろうね」
「えへへ・・・おにいちゃんのごはんならおやさいもおいしいー」
本当に天然でおだて上手な我が娘に癒されると、それを微笑ましく見守っている先生と父さん。まあ、父さんは孫の可愛さを心底微笑ましく思っているのだろう。初孫は可愛いと言うしね。




