302 近況報告
報告
「ごめんなさいね、文化祭来れなくて」
美味しそうにお菓子を食べる千鶴ちゃんを微笑ましく見守っているとそんなことを言う父さん。
「仕事忙しかったんでしょ?大丈夫だよ」
「でも、結局健斗のイベント事はほとんど行けなかった・・・あなたには悪いことしたわね」
「いいんだよ。だって、父さんは俺達を養うために頑張ってくれてたんだからね」
確かにイベント事に誰も来ないのは少し寂しかったけど・・・ちゃんと、理解してたからいいんだ。むしろ俺はそれを支えないといけないとわかってるからね。それに・・・母さんがいなくなって1番辛い父さんが頑張ってるのに俺が頑張らない理由はない。
「それより、ご飯はちゃんと食べてるの?外食ばっかりじゃなくてたまには自炊しなよ」
「・・・もう、大丈夫よ。心配性ね」
「そりゃ、家族の心配はするよ」
「私より海斗の方が心配よ。この前風邪ひいたって知ってる?」
「聞いてはいないけど、やっぱりか・・・」
隠し事があると連絡を増やす癖があるから嫌な予感はしてたけど・・・やっぱり1度様子を見に行くべきかな?日帰りにはなるけど、まあ、様子を見るだけだしね。
「健斗こそ最近はどうなの?」
「どうって?」
「遥香さんやちーちゃんとよ」
キョトンとする千鶴ちゃんの頭を撫でながら俺は微笑んで言った。
「まあ、仲良くできてるよ」
「そうみたいね。瑠美ちゃんから聞いたけど2人でデートしたんですって?」
瑠美ちゃんって・・・まあ、いいや。
「うん。まあね」
「仲睦まじくていいわねぇ。あ、そうそう、誕生日もごめんなさいね。今年もちゃんとお祝い出来なかったわ」
「気にしなくていいってば。それに・・・本当に色々貰ったから俺は満足だしね」
誕生日のことを思い出して笑みを浮かべていると、父さんは思い出したように何やら鞄を漁ってから何やら封筒と小さな包みを取り出して言った。
「遅くなったけど、誕生日おめでとう。プレゼントよ」
「ありがとう。これは・・・温泉のタダ券?」
「ええ、知り合いに貰ったの。隣のスキー場の入場券込みで使えるやつよ」
「それで、これは・・・時計?」
随分と古い型だけど凄く良さそうなものに驚いていると父さんは懐かしむように言った。
「それね、健斗の18歳の誕生日に渡してって言われてたのよ」
「・・・誰に?」
いや、なんとなくわかっていた。多分という予測はつく。それでもそう聞くと父さんは少し瞳を潤ませながら言った。
「私の妻・・・あなたのお母さんにね、頼まれたのよ」




