301 久しぶりの再会
お久しぶりです
ピンポーン。
翌日の昼過ぎのこと。休みだったのだが、なかなか来ないので千鶴ちゃんに先にご飯を食べさせてから、文字を教えていると、遅れてやってきたのかインターホンがなる。ドアを開けるといつも通り女装した父さんがおり、微笑んで言った。
「久しぶり健斗。元気にしてた?」
「父さん、頼むから時間くらいは守ってよ」
「ごめんなさいね。ちょっと立て込んでたのよ」
「全く・・・あ、千鶴ちゃん、お祖父ちゃん来たよ」
「う、うん・・・」
ちょこっと俺の後ろから顔を出しながら千鶴ちゃんは言った。
「こ、こんにちは・・・」
「こんにちは。元気そうで良かったわぁ」
まだ、やっぱり少し慣れないか。まあ、お祖父ちゃんなのに女装してるのも違和感あるのだろう。
「父さん、ご飯は?」
「駅弁食べたわ。美味しかったわよー」
「ならいいか。あ、お祖父ちゃんのところにもたまには顔出しなよ?」
「そのうちねぇ。あ、そうそう、これお土産ね」
そう言って渡されたのはお菓子だろうか?しかも結構色々あるな。あとは・・・ビールかな?結構種類ある。
「蟹だけでも十分だったのに・・・」
「あらあら、だって孫と息子の嫁にもいい所見せたいのよ」
「ま、とりあえずあがってよ」
そう言ってから家にあげて俺はお茶の準備をする。と、後ろからてくてく雛鳥のようについてきた千鶴ちゃんが俺の服の袖をクイクイと引っ張って言った。
「おにいちゃん、あのね・・・ちーがはこんでもいい?」
「うん?いいよ。重いから気をつけてね」
ゆっくりと渡してから千鶴ちゃんが運ぶのを見守る。
「ど、どうぞ・・・」
「あらあら、ありがとうちーちゃん」
父さんに頭を撫でられて、少しびっくりしながらも頷いてから急いで俺の後ろに隠れる千鶴ちゃん。
「よく頑張ったね。偉いよ」
「えへへ・・・」
頑張ったご褒美に頭を撫でる。こうして少しづつでも自分から歩み寄れるのは本当に千鶴ちゃんの長所だと思う。本当に優しくて賢くて頑張り屋さんな我が娘。
「じゃあ、貰ったお菓子もあるし千鶴ちゃんもおやつにしようか」
「うん!」
「一応手を洗ってくるんだよー」
「はーい」
そんな俺と千鶴ちゃんの様子を嬉しそうに父さんが見ていたけど・・・やっぱり、親として嬉しかったりするのかな?俺が父さんの立場だったら・・・というか、もう既にそこにいようとしてるけど、それでもそんなことを考えてしまう。
これが親になるってことなのかな?それとも単に意識の違いなのか・・・まあ、どちらにしても、可愛い娘がいるのでお父さんは満足です。




