299 夕飯前の団欒
家族の団欒
「お、美味そうだな」
帰ってきてから、今日の夕飯の茹でてる蟹をみてそう言う先生。
「蟹なんてどうしたんだ急に?」
「父さんが贈ってくれたんです。明日本人が来たらカニ鍋にでもしましょうか」
「そうか、お義父さん随分と奮発したんだな」
そう頷いてから、近くで蟹の絵を描く千鶴ちゃんを見て微笑ましそうにしてから言った。
「蟹なんて普段は食えないからな。海も遠いしな」
「ですね。今度北海道に海鮮丼でも食べに行きますか」
「お、それもいいな。どうせならお前が作った海鮮丼食べてみたいがな」
「海鮮丼は作ったことないですけど・・・まあ、やってみます」
要望なら応えないわけにはいかないしね。
「そういえば、明日はお義父さん何時頃来るって言ってたんだ?」
「昼頃には着くそうです。まあ、日帰りになるらしいので、夕飯食べたら帰ると思いますが」
「忙しいな。折角なら泊まっていけばいいのにな」
「まあ、恐らく気を使ってるのでしょうね」
千鶴ちゃん的にも長居は禁物と思っているのだろう。あとは多分仕事の関係もあるのだろうしね。結構忙しいみたいだし。体調管理もしっかりしてるか心配にはなるが、まあ、俺からあんまりとやかく言い過ぎるのもどうかと思うし、本当にまずい時に手を貸せるようにすればいいだろう。
「まあ、泊めてもお前は私とちーちゃんがお前を独占してるからな」
「ですね」
「そういえば、テストお疲れさん」
「ありがとうございます」
「高校最後のテストはどんな感じだ?」
どうと言われてもなぁ。
「うーん、そこそこですね。出来るだけ努力はしたので、あとは結果を待つだけです」
「お前らしいな。まあ、これであとは卒業まで出席日数稼ぐだけだからな」
「教師がそれを言いますか」
相変わらずな先生に苦笑する。そんな風に話していると絵が出来たのか千鶴ちゃんが駆け寄ってきてから嬉しそうに蟹の絵を見せてきた。
「みてみて、かにさん」
「おー、上手いな流石ちーちゃんだ」
「うん。とっても上手だよ」
「えへへ」
嬉しそうに微笑む千鶴ちゃん。にしても、本当に千鶴ちゃんは先生のハイスペックさを全部持っててプラスにしたようなところがあるから凄い。身びいき、親バカ抜きでもそう思う。将来何をするにしても、要領よくこなせるのはプラスになるしね。
将来か・・・俺はもうすぐ高校を卒業するけど、千鶴ちゃんが高校生になるのもあっという間なのだろうか?きっとすぐなんだろうな。俺たちの元から離れるのもそう遠くはないが・・・今は、可愛い娘を愛でることを優先するとしよう。




