297 教えてお兄ちゃん
お兄ちゃんティーチャー
「おにいちゃん」
千鶴ちゃんを迎えに行ってから、家に帰ってきて夕飯の支度まで少し時間があるなぁと思っているとクイクイと千鶴ちゃんに袖を引っ張られた。毎回の癖で反射的に千鶴ちゃんを抱き上げると嬉しそうにしてから、はっとして言った。
「あのね・・・おねがいがあるんだけどいい?」
「もちろんだよ。何かな?」
「えっとね・・・ちーに、おてがみのかきかたおしえて」
その言葉に少し驚いてしまう。手紙?
「お友達にあげるの?」
「うんうん、あのね、ままのたんじょうびにあげたいの」
なるほど・・・先生の誕生日プレゼントとしてか。確かに悪くないな。
「ちー、まだちゃんとかけないから・・・だから、おにいちゃんにおしえてほしいの」
「うん、そういうことならもちろんいいよ」
読み聞かせをよくするからか、千鶴ちゃんはひらがなカタカナなら問題なく読めるのだ。この歳からすでに物覚えがいいのは本当に凄いと思う。あとは書けるようになるだけだが・・・まあ、ギリギリ1ヶ月あるしなんとかなるだろう。
「じゃあ、可愛い便箋とかレターセットはそのうち買ってくるとして・・・まずは、少しづつでも書けるよう練習しようか」
「うん!」
満面の笑みを浮かべる千鶴ちゃん。まあ、俺が全部文章考えてその通りに書かせるのが1番楽で確実だろうが・・・折角なら、千鶴ちゃん自身で考えたことをちゃんと文字に出来るようにするのが1番だろう。
途中でギブアップすることはないだろうが、した場合にもちゃんと何を書きたいのかを確認して仕上げれば問題ないだろうしね。
しかし、この歳から文字の練習とは本当に賢い子だと思ってしまう。俺なんてこのくらいの頃はお祖母ちゃんに付き添って買い物に行って値段と計算とどれが安くてどれがいいのかを教えて貰ってたくらいだろうしね。
そういえば・・・
「ねぇ、千鶴ちゃん。手袋はぷにきゅあのやつがいいかな?一応俺が作ったのもあるんだけど・・・」
作ってから、キャラものの方が良かったかもしれないと思ってそう聞くと千鶴ちゃんは迷わずに答えた。
「おにいちゃんのがいい!」
「そう?欲しかったら遠慮なく言ってね」
そこまで甘やかしてる自覚はないが、この子は我慢をすることに慣れすぎている節がある。もちろん我慢も大切なことだが・・・行き過ぎもよくない。だから、ちゃんと耳を傾けることが大切なのだが・・・
「おにいちゃんのてぶくろ〜♪」
うん、なんか可愛らしく喜んでるしいいかな。本当にうちの娘は今日も可愛いです。




