293 何故かの再会
再会なのかな?
「こんにちは先輩」
そう笑顔で挨拶してきたのは、前に俺に告白をしてきた後輩の女の子・・・確か百瀬さんだったかな?まあ、それはいいんだけど・・・
「あのさ、百瀬さん」
「はい。なんですか?」
「なんでここにいるの?」
場所は保育園の入口付近。まあ、答えは分かりきっているが、それでも聞いたのはせめて偶然であって欲しかったからだろう。
「先輩に会いに来ました♪」
「そういう冗談はいいって」
「連れないですねぇ。まあ、本当に偶然ですよ。妹のお迎えを母に頼まれたんです」
「やっぱりレナちゃんのお姉ちゃんだったのか・・・」
予想はしてたけど、嫌な事実にため息を漏らすと百瀬さんはくすりと笑って言った。
「心配しなくてもここで会ったことは誰にも言いませんよ。先輩が失恋して女装に走ってくれるなら話しますが・・・先輩の場合多分自滅覚悟で付き添いそうな感じがするので。それに秘密の恋をしてる同士として精一杯見守りますよ」
なんか物分りがいいようだけど・・・やっぱり先生との関係について地味に勘づかれてるのかな?保育園の前だしロリコンという路線も考えられなくはないが・・・それはそれでアウトだな。うん。
「千鶴ちゃんでしたよね?レナがいつも嬉しそうに話すお友達なんですが・・・昨日その友達のお兄さんがカッコよかったってレナ嬉しそうに話してましたよ」
「確かに千鶴ちゃんはレナちゃんと仲良しだけど、そのお兄さんは別にそうでもないでしょ」
「ふふふ、謙遜がお上手ですね」
なんだろう・・・あまり長く話したくない人だな。こちらの内側を探るような会話もそうだけど、変な誤解を招きそうで怖い。
「まあ、私はそれほど迎えには来ませんからご安心を。確かにレナは可愛い妹ですが、彼女とデートする方が大切なので」
「君はわかりやすいねぇ・・・」
俺にカミングアウトしたからか、遠慮なく言ってくるので苦笑してしまう。
「それが売りですから。それに好意だろうが、悪意だろうが、明確に相手に伝えるのが本当の優しさだと思いますから」
「ま、一理あるけど」
相手からの好意に対して曖昧な態度で誤魔化すのはあまりいいとは言えない。本当に好きな人がいるのなら誤魔化さずにきちんと言うのがお互いのためだが・・・まあ、それが出来ないからなかなか難しいのだろう。
「さ、先輩。可愛い妹を迎えに行きましょうか」
「・・・そうだね。そうしようか」
どのみちそれほど会う機会はなさそうだし、気にしなくてもいいかと思い俺は千鶴ちゃんを迎えに行くのだった。




