290 喧嘩もコミュニケーション
対等だからこそ
「ほう、喧嘩なぁ」
晩酌の時にそれとなく報告すると、そんな風に軽く流される。まあ、予想してなかったわけではないが。
「千鶴ちゃんには怪我はなかったですが、友達の女の子が少し怪我をしたそうで、それで千鶴ちゃんも悲しかったんでしょうね」
「ま、あの年頃だとなぁ。まだイマイチわかってなさそうだしな」
先生は喧嘩というのもをある程度は許容してるようだ。まあ、仲良しだとコミュニケーションの1つという認識なのだろう。
「私も、友人とはよく喧嘩するし、必要なら別にいいんだが・・・まあ、なんにしても大事なくて良かった」
「ええ、本当に」
「そういえば、お前は誰かと喧嘩したことあるのか?」
「俺ですか?うーん・・・ちゃんとはあんまりないですかね?」
思い出せる範囲ではあんまり・・・基本的に争う前にギブアップするか逃げるし。
「お前が怒るのはあんまり想像出来なくて怖いな」
「そうですか?」
「ああ、怒ったらマジで怖そうだ」
「俺が怒るとしたら、その必要がある時だけですよ」
理不尽に怒ったりとは無駄なことはしたくないしね。そうしないといけなかったり、そうすることでプラスになることが前提になってくるだろう。
「怖い怖い・・・ちなみに私に怒るとしたらどんな時だ?浮気とか?」
「浮気では怒りませんよ。ただ、愛が足りなかったとみてみっちりと愛を叩き込むだけですから」
そう微笑むと先生は何故かちょっと嬉しそうな表情を浮かべていた。
「する気は全くないし、お前以外の男なんてどうでもいいが、お前からそうされるのは悪くないな」
「あと、悲しくなりますね」
「なら絶対しないさ。というか、お前が浮気したら間違いなく私は壊れるからな」
「絶対しませんて。むしろ遥香さん以外を女性として愛せませんから」
どんな美少女や美女に会ったとしても先生しか愛せないだろう。何より先生以外を愛したくない。それくらい大好きなのだ。
「まあ、2人が俺を怒らせるようなことはほとんどしないと思いますよ」
「そうなのか?まあ、でも必要ならやってくれ」
「ええ。まあ、2人はちゃんと理解してるからそんな心配してませんがね」
もちろん、躾として怒ることは間違ってない。ただ、それは理解してる人間にすることではないとも思う。確かにこのストレス社会にはその耐性も必要なのだろうが・・・千鶴ちゃんは十分闇を経験しているのだ。
これ以上はむしろ逆効果だし、これからは存分に幸せにならないといけないだろう。いや、絶対に幸せになって欲しい。そう願わずにはいられないのだ。




