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第六話「桃から…」
むかし、むかし、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から「どんぶらこ」「どんぶらこ」と大きな大きな桃が流れてきました。
おばあさんは桃を拾って家に持ち帰ると、おじいさんと一緒に桃を割ろうとしました。
すると、ひとりでに桃はぱかっと割れて、中からその桃より少し小さな桃が現れました。
すると、その桃もまたぱかっと割れて、その中からまた桃が現れました。
そしてその桃が割れ、また桃が現れました。
そしてさらにその桃も割れ、さらにその中からまた桃が現れ、さらにその桃から桃が現れました。
そして桃から桃が現れ続けると、最後に普通の桃がぱかっと現れました。
食べてみると、それは本当に普通に美味しい普通の桃でした。
おじいさんとおばあさんは食べられる部分の桃をきれいに切り取ると、丸一日かけて食べました。
そして、このおかしな桃の話を人にしてみましたが、誰もが「桃から桃が出た」と聞くと、何の不思議そうな顔もせず、「それはそうだろう」と答えたということです。
おしまい




