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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
28章 穢れと鬼

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「これぐらいがいい流れだろう。ラフテリアの性格を考えると、これ以上細かく決めても意味がない」


 大方の話が決まったところでモルテ王が締めた。

 そもそも、ラフテリアに頼むことが無謀だと思っているシェリーは反応を見せない。

 相変わらずカイルの膝の上に抱えられているので、死んだ魚の目をしているので聞いているのか聞いていないのかも判断できなかった。


「こんなので、俺が逆に死なないか?」


 身の危険性を感じている炎王はうつむいてブツブツと言っている。


「さっきのもいいんだが、どちらかと言えば最初のヤツのほうがいい。形をそっちにしてくれ」

「炎王。さっき回収したやつ返してくれ」


 イゾラとシュロスの側には、いったいいくつ創ったのだろうとい剣が積み重なっていた。それも装飾が多く実用性があるのかわからない武器がだ。


「そうだね。何かあれば僕が動くよ。それでなんとかなるんじゃない?」


 そして、モルテ王の言葉に反応したのはただ一人、ロビンだけだった。

 本人であるラフテリアは、我関せずと言う感じで、いったい何個目だろうというケーキを食べている。

 元々関係ないオリバーは、シェリーの隣で、何かを書き留めていた。シュロスでは話にならなかったことを、ロビンから聞いてまとめているというところか。


「でもさぁ、仮にもエルフの王となる者だったんだよね。逆にラフテリアが危険じゃないのかな?」


 ロビンは敵などいないだろうというラフテリアの心配をする。


 エルフ族は数千年間も世界を支配していた種族だ。

 その王となる者だったレイグレシアを危険視しているようだ。


「それは大丈夫だ」

「あれが偉そうにしているのは、種族で周りを固めているからだ」


 そのレイグレシアと相対したことがある二人の人物が反応する。目の前のラフテリアと比べるのもおこがましいという感じでだ。


 その昔、何かあったのであろう炎王と、先代の聖女の件で関わったことがあるオリバーが答えた。

 いや、現にオリバーはレイグレシアをボコボコにして心をへし折ったのだが。


「だそうだ。そもそも初源の魔人と戦って勝てるものがいるのか?」

「ほら、そこの彼とかだとそうじゃない?」


 ロビンは、また新しい刀を創っているシュロスに視線を向ける。


「アーク族の王はラフテリアと同類だ。敵になるのは本人次第だ」


 ラフテリアと付き合いが長いだけあって、同類のシュロスのことをモルテ王は理解していた。

 カウサ神教国の王子であった頃と、今とでは違うのだと。

 あのままカウサ神教国の王子として蘇っていれば、ラフテリアとこのように話せる関係ではなかったと。


「うーん。でも不安だよ」


 これは聖女の守護者としての言葉なのだろうか。だが、誰がみても魔人と見えるラフテリアに戦意を向けるものはいないだろう。

 なぜなら、魔人の逸話が人々の戦意をへし折るからだ。


「何かあれば、そこの黒の聖女が止めるだろう」


 モルテ王は死んだ魚の目をして聞いているのか聞いていないのかわからないシェリーに責任を押し付けようとする。

 いや、そもそもこの話を持ってきたのはシェリーだ。


 最終的な責任はシェリーということになるのかもしれない。


「私はラフテリア様が現れた時点で戦意喪失だと思います」


 聞いていたようだ。

 シェリーは、ラフテリアの存在そのものが危険視されるので、その時点でこの作戦は完了だと示す。


 そもそもこれは、星の女神ステルラの神威を叶えるもので、恐怖を撒き散らしては意味がないからだ。


「ロビンさまの心配は不要です。それから、炎王。モルテ王にお願い事があるのですよね」

「佐々木さん!この雰囲気で無茶振りしないでくれ!」


 シェリーはこのままだと絶対に話を出さないだろうとふんで、唐突に別の話を持ち出す。

 いや、炎王がレイグレシアに喧嘩を売って、ラフテリアが仲裁に入るということが決まったのだ。それで話に切りがついた。

 だから、別の話になっても構わない。


 ただ、ここで個人的な話を持ち出すのは違うだろうというのが炎王の意見だ。


「なにだ?黒龍。龍族と出会うことは滅多にないことゆえ、話なら聞こう」


 モルテ王は炎王の話を聞くというが、その願いを利くかどうかは別の話ということだろう。


「モルテ王。正式の場でない、ここで言うことではないのですが、その昔ギラン共和国の隊商がモルテ国内を通行していたと思うのです。その陸路の交通の許可をいただきたく……」


 モルテ王の様子を伺いながら、いつもの言葉遣いではない炎王が要件を言葉にするが、途中で止めてしまった。


 なぜなら、モルテ王が何を言っているのだという疑問に満ちた表情を浮かべたからだ。


 確かにこの場で言うことではなかったのかもしれない。

 強いて言うなら、別の日に話がしたいと謁見の予約を取るべきだったということだ。


「あの水龍の商会であろう?」


 いや、モルテ王は何かを知っているようだった。


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