第八十七話『あれこれ話パート10にゃん』
第八十七話『あれこれ話パート10にゃん』
《もう10回目とはにゃ。うんうん。感慨深いのにゃん》
「ミーにゃんミーにゃん」
「なぁにぃ? ミアン」
「あのにゃあ」
ぐいっ。
「うわっ。度アップな顔わん」
「ウチにゃあ、ちまたのネコを見てつくづく思うのにゃけれども」
「つくづく、ねぇ。
どうせろくなことじゃないんだろうけど、一応、聴いてはあげるわん。
さぁいってみて。ネコに対する化けネコの辛口批評を」
「辛口かどうかはさておきにゃ。
あんまりにものんびりで、あんまりにも愛想良すぎにゃ。
みんにゃひょっとしたら、ネコをかぶっているのかもしれにゃいにゃよ」
「あのね……。
ネコがネコをかぶってどうするのわん?
真顔でなにおかしなことをいっているのわん?」
「にゃってウチ、アホにゃもん」
「あっ、そうか。なら、いいわん。
……なぁんて思わず納得してしまう自分が情けないのわん」
《実はウチもネコをかぶっているのにゃん》
きいぃぃっ!
「こうやってチョークを引いておけばいいにゃん」
くるっ。
「にゃあ、ミーにゃん。
ウチはにゃ。ミーにゃんとは一線を画す者にゃん」
「んもう、ミアンったらぁ。
いくらアタシが、『イオラの森』のお姫様だからって、
なもんで恐れ多いからって、
線引きなんてしなくてもいいわん。
アタシたちの間に遠慮なんて無用なのわん」
「ただ今ぁ。ミーナちゃん、ミアンちゃん」
「あっ、イオラ。お帰りなさいわん」
「イオラにゃん、お帰りにゃさぁい」
「うんうん。いつもながらの元気いっぱいのお出迎え、ご苦労さま。
ふたりの元気をもらってますますワタシも若返って、
(……じゃないわっ!
なんてことをいっているの、ワタシったら。
若返って、なんて言葉を口にするのわね。
自ら『老い』を認めたようなものじゃない。
本当、もうどうしようもないわねぇ。
あり得ないわ。断じてあり得ないわ。
……ってことで、
それと気がつかれないように、すぐさま訂正しなくっちゃ)
ごっほん。
疲れていた身体が潤っていくようで、とおってもうれしいわ」
「はて? なぁんかおかしいのわぁん?
『若返って、』から、『ごっほん』までの間に、
不自然な沈黙があったのわぁん」
「(さっすはが迷探偵。つまらないところに鋭いわね)
ふふっ。気のせいよ、ミーナちゃん」
「にゃあんか自分に叱咤していにゃかった?」
「(うわっ。ま、まずい! 鋭いどころか、見抜かれているわっ!)
ふ、ふ、ふふっ。き、気のせいよ、ミ、ミアンちゃん」
「でもって今、あたふたしてにゃあい?」
「…………。
(沈黙は金なり、だったかしら)」
「(話題を変えて、とぉ)
ねぇ、聴いて聴いて。
今日という今日は本当の本当に驚いちゃったの。
どういうことかというとね。
いつものように沼の水面を這っていったら……あらっ?
なにかしら、これって」
「ふぅ。ミアン、今の聴いた? やっと気がついたのわん」
「しかとこの耳で。でもにゃあ。
ここまでくるのにこれほど時間がかかるとは思わにゃかったにゃあ」
「だったら、『想定外』と認めるのわん?」
「うんにゃ。『想定外』と認めるのにゃん」
「言葉の流行りは、とぉっくの昔にすぎているのわん。
でもまぁ久し振りということで」
『ばんにゃあい! ばんにゃあい!』
「ええと、ふたりでなに喋っているのかしら?」
「ううん。なんでもないのわん」
「にゃんでもにゃいのにゃん」。
「そうなの? なんでもないの?」
「うんにゃ。にゃんでもにゃいのにゃん」
「そう……。なんでもないの」
いらいら。いらいら。
「ねぇ、キリがないわん。
『なんでもないの』で話を引っ張るのはここまでにしない?」
「イオラの『なにかしら』って、このチョークの跡でしょ?
ミアンが引いた線なの。どうしてかというとねぇ」
「待って、ミーナちゃん。みなまでいう必要はなくってよ。
直ぐに、ぴぃぃ、と閃いちゃったの」
「やっぱ判るわん?」
「もち。
ええと、それじゃあワタシは」
ささっ。
「こっちね。ミーナちゃん、よろしくぅ」
「やっぱ判ったのにゃん」
「当然よ。誰だって判るわ]
「ちょ、ちょっと待つのわん。
なんでイオラがそっちなのわん?
さぁっぱりのぱり、なのわん」
「あらあら。ミーナちゃんったら、自分が判っていないのねぇ」
「そうにゃんよ。ふぅ。困ったもんにゃあ」
「本当本当。ふぅ。困ったものねぇ」
「なにふたりして、ため息をつきながら困っているのわん?
仲間はずれになんてしないで、
アタシにも良ぉく判るように説明して欲しいのわん」
「説明するほどのことでもないと思うけれどぉ。
だってこっちが安全圏なんでしょ?」
「安全圏って……どういう意味わん?」
《そのままの意味にゃのにゃけれども》
「ミーにゃん。『少年よ、大志を抱け』というのにゃら、
美少女にゃって当然、大志を抱いていいはずにゃん」
「まぁいいんじゃない?」
「にゃら、も少し奥深く突っ込んでにゃ。
ネコにゃって当然、大志を抱いていいはずにゃん」
「ネコまでは考えていなかったと思うけどね。
別に問題はないと思うわん」
「美少女でもよし。ネコでもよし。
にゃらウチでも、よし、ってことにゃん。
ミーにゃん。ウチは決心したにゃよぉ」
「なにをわん?」
「ウチは将来、『ヨモギ団子屋』をおっ始めるのにゃん」
「なんか無謀なことをいい出したのわん。
まっ。ミアンがやりたいというなら、とめはしないわん。
出来る出来ないは別としてねっ。
悔いが残らないよう、社長を思いっ切りやるがいいわん」
「うんにゃ。よろしく頼むにゃ。会長にゃん」
「ふぇっ! アタシが会長なのわん!」
《親友にゃもん。高みの見物で済むはずがにゃいのにゃん》




