第八十五話『ミーにゃんは熱いのにゃん』
第八十五話『ミーにゃんは熱いのにゃん』
「にゅくにゅくにゃん」
「ははっ。ぬくぬくだねぇ。
きっと、
『これ以上はない』っていうくらい、ぬくぬく、なんじゃないかなぁ。
こんなにもぴっちりと隙間なく収まっているんだもの」
「はたから見るとウチらって、
陶器の丸鍋につめ込まれた具のように見えるのかもにゃん」
「だと思いますですよ。ふふっ。
本当、笑いたくなるくらい、ぬくぬく、でありまぁす」
「いいわねぇ。ミアンたちって。
わたしもネコ型だったら良かったのにぃ。ふぅ」
「しかしなぁ。毛むくじゃらの翅人型というのはどうも」
「違うわ、ミロネ。
別に毛むくじゃらになりたいとか、あこがれを抱いているとか、
そんなんじゃないの」
「だったら、お鍋に収まりたいとか?
それもまたおかしな趣味のような気が」
「だから、違うって」
「ではなんなのだ?」
「温もりよ、温もり。
『お互いに心のあったかさを、しっかと感じ合えたら』
なぁんてことをね。柄にもなく、ふと思っちゃうの」
「やさしいのだな。ミスト殿は」
「まっ」
ぽっ。
「そうじゃなくって。
今いったじゃない。柄にもなく、ふと思っちゃうだけよ。
本当よ。本当なんだからぁ」
「だったらアタシが、ぴったり、なのわぁん!」
ぱたぱたぱた…………すたっ。
「アタシは今、『どうにもとまらない』現象に身を包んでいるのわぁん!
なもんで、かっかと熱い情熱に燃え滾っているのわぁん!」
「本当に熱そうね。一体なにがあったのかしら?」
「目が潤んでいる。
きっと独りぼっちでいたから、さみしくなったんだ」
「ネコ恋しくなったのね。
お元気さんかさみしがりやさんか判断に苦しむ妖精ね。
あら。丸まっていたネコたちが揃ってお鍋から出てきたわ」
すたすたすた。すたすたすた。すたすたすた。
「本当だ。熱く煮え滾っているね」
「のんのん。
『煮え滾っている』ではなく、『燃え滾っている』が正解なのでぇす。
凄まじいばかりに燃え盛る炎のオーラを纏っているのでありまぁす」
「さみしかったのですね。
私が『慰め合う同交会』を造っていさえすれば、
こんな風になんてならなかったでしょうに。心が痛むばかりです」
「でもさ、ミアン君。
今日の寒さにはこれくらいがちょうどいいんじゃない?」
「ほにゃら」
ぺたん。ぱっ。
「ミアンったらぁ。
なにおっさん座りでアタシに手なんてかざしているのわん?」
「今日は三連太陽の調子が悪くてにゃ。寒いのにゃん。
おおっ。にゅくいにゅくい」
「だったらボクも。今日は冷えるからねぇ」
「わたしも遠慮なく。うん。これならちょうどいいわ」
「ミムカも、あったまりたいでありまぁす」
「オレもまぜてくれ。寒くて叶わない」
「私も。
ほぉ。身も心もあったまりそうですねぇ」
ぬくぬく。ぬくぬく。
「あのね……。
アタシは焚き火じゃないわん!」
「ミーにゃん。利用出来るものは利用しにゃいとにゃ」
「ほら、見てよ。
みんなが揃ってそんなことをするから、すっかり冷めてしまったのわん」
「本当だ。ぬくぬく、が消えちゃったね」
「わたし、帰るわ」
「ミムカも」
ぞろぞろぞろ。ぞろぞろぞろ。
「んもう。アタシから情熱のオーラが消えた途端、
まるでネコの子を散らすように消えてしまったのわん」
「にゃら、ウチも」
すたすたすた。
「あっ、待って。
ミアン、お願い。冷え切ったアタシの身体と心をあっためてわん」
ぱたぱたぱた。
ひしっ。
「ほっ。ぬくい。ぬくいわん。
やっぱここがいいわん。アタシにはミアンが一番なのわん」
「ミーにゃんったら、お腹にしがみつくにゃんて。
しっかと張りついていにゃいと落ちてしまうのにゃよぉ」
「大丈夫。霊圧でちゃあんとくっついているのわん」
「にゃらいいのにゃけれども。
しかし、にゃんにゃにゃあ。
ミーにゃんがあったまるってことは、
代わりにウチのあったかさが奪われるってことにゃ。。
これじゃあミーにゃんに、ぬくくしてもらった意味がにゃいのにゃん」
「ふふっ。さっきのミアンの言葉。そのままお返しするわん」
「うん? にゃんにゃの?」
「利用出来るものは利用するのわん」
「にゃんとまぁ。
ウチのセリフまで奪われてしまったのにゃん」




