第八十四話『寒いのにゃん』
第八十四話『寒いのにゃん』
《久々に冒頭から、ちょいとひと休みにゃん》
「しまったのにゃん」
「どうしたわん?」
「八十一話とか、八十二話とか、
『つづく』のに『つづく』と入れにゃかったのにゃん」
「それはいけないのわん。……ってことで」
『ごめんにゃさい』
《ひと休み終了にゃん。どうもご迷惑をおかけしましたのにゃん》
「さぶさぶっ。にゃあんか寒いのにゃん」
「うん。ボクもそう思う。うぅぅ、さぶさぶっ」
「どうにゃん?
隠れんぼはここまでにして、洞穴で暖をとるというのは?」
「いいねぇ、ミアン君。
君がいい出さなければ、ボクがいってたよ。
霊体とはいっても、ボクらはまだ幼児。
無意識のままでは実体波を纏っている君と同様、
実世界の影響をもろに受けちゃう。
暑いのも寒いのも痛いのも擬似感覚として心に伝わってくるんだ。
とまぁそんなこんなで、
冷たい風にさらされながら鬼を、じぃっ、と待っているだけ、
っていうのが、どうにもガマン出来なくなっていたところさ」
「にゃあ。ほかのみんにゃはどうにゃん?」
「アタシはもっと遊びたいのわん。
隠れんぼがダメなら追い駆けっこにして激しく動き回ればいいじゃない。
あっという間に、あったかくなるに決まっているわん」
「ミーにゃんはやる気まんまんみたいにゃ」
「アタシだけじゃないと思うわん。
ねっ。ミムカんもそうでしょ?」
「ミムカはですねぇ。
大変申しわけありませんですが、遠慮させて頂きますですよ。はい」
「えっ。どうしてわん?」
「世間の冷たい風が身に沁みる昨今、
追い討ちをかけられるが如く現実の風までが吹きつけられては、
ミムカの繊細なる心が崩壊の憂き目に遭うのは必然でありますから」
「そんなぁ!
じゃあじゃあ、ミストんは?」
「寒風にさらされると、お肌に良くないのよね。
だからわたしも却下」
「ミストんまで!
だったら、ミリア……はやめといて、ミロネんは?」
「寒風になぶられる趣味はない。だからオレも暖をとるのに賛成だ」
「んもう、アタシと意見を同じくする者が誰も居ないなんてぇ」
「はいはい! はいはい!」
「でもまぁたまにはそういうこともあるか」
「はいはい! はいはい!」
「ふぅ。なんといっても圧倒的多数。ここはおとなしくみんなと一緒に」
「はいはい! はいはい!」
「暖をとったほうが」
「はいはい! ……って何度もいっているのにぃ。
こうなったら、『無気力波』ぁっ!」
びょおんびょおんびょおん。
「おぉっ、とぉ! ぼやいている場合じゃないわん!」
ささっ。
びょおんびょおんびょおんびょおんびょおん…………。
「はぁう。何事もなく通りすぎてくれたわん。
でも我ながらうかつだったなぁ。なんせ顔の直ぐ真横だもん。
まさにぎりぎりセーフだったのわん。
……ということで。
こらぁっ! ミリアん!
いきなり、なんてことをしてくれようとしているのわん!」
「ミーナさん。文句をいいたいのはこっちですよ。
『ミリアは……やめといて』から始まって徹頭徹尾こちらを無視。
いっくら手や声をあげても知らんぷり。おかげで、
『一緒に遊びますから寒風耐久ガマン同好会に入ってくださぁい』
なぁんて勧誘を口にするチャンスが全然回ってこないじゃありませんか」
「それと気づいたから、徹頭徹尾無視したのわん!」
「やれやれ、にゃん。
熱く語り合っているミーにゃんとミリアにゃんはこのままにして、
平穏無事を地で行くウチらは洞穴に入るとしようにゃん」
「そっだね」
ぞろぞろぞろ。ぱたぱたぱた。
「やっぱあったかいのにゃん」
すたすたすた……ぴたっ。
「ふにゃ! いいモノを見つけたのにゃん!」
「なんだい? ミアン君」
「ここにゃよ、ミクリにゃん。この岩場にゃん」
「へぇ。不自然なくらい、『お丸な鍋』といった造りになっているね」
「大きさも手頃にゃし、どうにゃん?
ウチらもここで丸っこくにゃるっていうのは?
ぎゅうぎゅうづめ、の状態にゃら、にゅくにゅく、にゃよ」
「だろうねぇ。
君のもわんもわんな毛並みなら、さぞかしやあったかいだろうなぁ」
「ミムカも参加したいでありまぁす」
「でもにゃ。今のミムカにゃんは翅人型姿じゃにゃいの」
「だから、であります」
ぱぱっ。
「ほぉら。ネコ型に変化しましたですよぉ」
「やれやれ。都合のいいことにゃん」
「でも白地に黒の縞模様ってさ。
綺麗なだけじゃなくって、ふわふわ感がいっぱいだよ」
「にゃあるほどぉ。これまたあったかそうにゃ。
にゃら、ミムカにゃんもOKにゃん」
「ありがとうございますでぇす」
「私も賛成です。
一緒に丸まってお互いの温もりを確かめ合おうじゃありませんか」
「ミリアにゃんも大歓迎にゃよ。
同好会の勧誘さえしにゃいと約束してくれるのにゃら」
「ううっ。大変難しい選択です。一体どうしたら……」
「ミリアにゃん。どうせ考えるのにゃら、
丸っこくにゃってから考えればいいじゃにゃいの」
「それもそうですね。グッドアイディィアです」
「グッドって、あんたいつから……」
《最近、見事に忘れててごめんにゃ。今回もつづくのにゃん》




