第六十五話『逃げるが勝ちにゃん』
第六十五話『逃げるが勝ちにゃん』
「アタシたちが走り出すのを合図に、『スタート』となるのわん。
ミアン。判っているとは思うけど、
踏破するのは、ここ『遊び場』から、オーブンが据えつけられている小山の頂上まで。
どちらも『遊びの広場』内にあるし、楽勝、とは思うんだけど、
敵も少なからず居るわけだからね。ここは、ぐっ、と気を引き締めていこうわん」
「そうにゃにゃあ。
勝負とにゃった以上、勝たねばどうしようもにゃいもんにゃ」
「ふふっ。なぁんかアタシ以上にやる気満々じゃない。
なら、意気盛んな今のうちに始めちゃおうか。
ミアン! スタートなのわん!」
「んにゃ。行っくのにゃん!」
たったったったったっ。
「どうやら始まったみたいだね」
「直ぐにこちらへ来ますですよ。
どうやって、にゃめろんを奪う気でありますかぁ?」
「もちろん、真正面からぶつかってやる。
突撃あるのみ。出たとこ勝負さ」
「無策でありますかぁ。それもまたいいかもしれませんですねぇ」
たったったったったっ!
「ミアン君! いざ覚悟ぉっ!」
「ミーナ! 勝負でありまぁす!」
たったったったったっ!
「イヤにゃん!」
「イヤなのわん!」
ぼむっ!
「にゃおぉぉん!」
「うぉっ!
ボクの頭を前足の踏み台にして飛び越えちゃった」
ぼむっ!
「とおぉぉっ!」
「ぐがっ!
ミムカの頭もですよぉ。ミーナに両手で突かれて」
くるっ。
くるっ。
「あ、あれは!」
「宙返りでありまぁす!」
ぐるん。
ぐるん。
「へぇ。ふたり同時に、とはねぇ。
上はミーナ君で、下はミアン君かぁ。
さっすがだねぇ。息がぴったりと合っているよぉ」
「これはもう、お見事、としかいいようがありませんですねぇ、はい」
すたっ。
すたっ。
「ミーにゃん!」
「うん。逃げるが勝ちわん!」
たったったったっ!
「し、しまったぁでありまぁす!
脇目も振らずに、すたこらさっさ、と逃げていくでありますよぉ」
「ぼけぇっ、と突っ立っている場合じゃない。
ボクたちも直ぐにあとを追おう」
「了解でありまぁす」
たったったったったっ!
「くそぉっ。あともう少しなのに、なかなか追いつけないや」
「ミムカにお任せあれえっ。『妖力風車』ぁっ!」
「ミーにゃん!
目の前に風がぐるぐると回ってにゃ。進めそうににゃいのにゃん」
「うっうっうっ。進むどころじゃないわん。
充填なし、で発動したから、
『妖力爆流渦』のお手軽版、ってとこなんだろうけどぉ……うっうっ。
きっついわん。ちょっとでも気を抜いたら吹っ飛ばされてしまいそう」
「ふふっ。どうやら足どめは成功したみたいだ。
なら、ここは一つ奥の手でも使おうかな」
しゅん!
「おぉっ!
ミクリのネコ毛が、赤青二色から、青一色へと変わったのでありまぁす」
「技の戦士だよ。
ドロウ(=霊描筆)を使うには、この姿が一番だからね。
ミーナ君、ミアン君。これでも食らいなさぁい!」
ずばずばずばずばっ!
「おぉっ!
全ての指先から放たれた霊糸が、
網目状の霊波となって繰り出されていますですよぉ!」
くるっ。
「ミアン、大変なのわん!」
くるっ。
「ふにゃっ! あれって霊網にゃん」
「こっちへどんどん延びてくるわん」
「ウチらを絡め取るつもりにゃん。
でもにゃ。
そうそうミクリにゃんの思い通りにはにゃらにゃいのにゃよぉ」
「なにか秘策でもあるのわん?」
《にゃんと答えるかを楽しみに、つづくのにゃん》




