ステータス
「興味ない。」
青髪少女がきっぱりとそういった。
「そこを何とか。」
「しつこい。」
食い気味に返事が来る。
取り付く島もない。ロッド達に感化されてやる気を出した俺が、いっそ、後ろの少女をパーティに誘うか?と思い立ち、声を掛けた結果がこれである。うん、まぁ知ってたけど。
心の中で"はぁ"とため息を吐く。仕方ない、今日も今日とて一人でダンジョンに潜るか。
「なんで嘘をついたの?」
がっくりする俺に彼女が逆に問いかけてきた。青い瞳が俺を批判する様に見ている。
「?」
「なんで嘘をついたの?」
再度問いかけてくる。襲撃の後始末のことを言っているのか。ヴィアも俺の嘘に怒っている一人なのかもしれない。
「あれは俺なりにソムセスを助けようと・・・」
「そっちじゃない。」
俺が言い訳しようとすると彼女が遮って言った。
『そっちじゃない?』
襲撃の時の話じゃないという事か?でもそれ以外でヴィアの前で嘘なんて吐いたことは無い。そもそも話すのだってこれで2回目の筈だ。
「・・・・・・・」
「初めて会った時、魔法使い見習いだって言ってた。」
「言ったな。」
確か、初対面の時そんなを話した。でもそれが嘘?
「無詠唱でファイアの魔法撃った。」
「ああ、なるほど」
ようやく、彼女が何を言いたかったのか理解した。俺が撃ったのは最下級魔法の“プチファイア”だ。ただ、知力が高いせいで無詠唱でかつ、威力も本来より強く出る。
そのせいで、彼女は一つ上の“ファイア”を撃ったと勘違いしたのだろう。で、ファイアを使えるなら、魔法使い見習いではない、と。
「もっと楽に凌げたはず。」
ファイアを連発出来るなら。四人も死ななくて済んだ、暗にそう言いたいのだろう。口調には非難が混じっている。
「・・・」
誤解を解くのは簡単だ。貧弱ステータスの冒険者カードを見せればいい。
「・・・」
沈黙が続く。ヴィアは冷たくこちらを見ている。力はあるがどこか弱い瞳。前世の記憶が頭をよぎり、脳を焼く。
「・・・」
「・・・」
「確認してくれ。」
沈黙に耐えきれなくなった俺は、冒険者カードをヴィアの前へ出した。
疑われたままでも構わない。そういのは、慣れている。けれど、あの“眼”だけはダメだ。
ヴィアは一瞬びっくりした様子だった。まぁ、パーティを組む人間か、よほど信頼した人間しか見せないからな。手を伸ばし、俺の冒険者カードを手に取る。
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リグノ(16) 男
レベル:10
魔力:3/3
ちから:25
かしこさ:9999
きようさ :42
- 魔法 214 -
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「わかったか、俺は魔力量(MP)が低いから魔法を一発しか撃てない。撃ったのも”ファイア"じゃなく、"プチファイア"だ。」
まあ、誤解が解けたところで、別に何かが変わるわけじゃない。そう思いながら、俺はカードを返してもらおうと手を伸ばした。
「まって・・・」
「?」
「魔法・・使える魔法欄見ていい?」
勘違いはもう解けたはずなんだけど、ヴィアは、なぜか別のところへ興味を移してしまったようだ。
「そこまで見る必要は無いだろう。」
釘をさす。"魔法欄"とは冒険者カードの"- 魔法 214 -"の部分をタップする事により覚えた魔法が表示される画面の事である(214は覚えた魔法の数)。スマホの画面遷移と同じだな。ステータスと同様、使える魔法もプライベートな情報だ。
「ん・・・・」
ヴィアが、そっと自分の冒険者カードを俺の前へ差し出した。その仕草だけで、何を求めているのか分かる。
自分のカードを見せるから、交換条件として“魔法欄”を見せろ、と。
興味はある。俺が知っているステータスなんて、前のパーティで一緒だったエイデンたちのものくらいだ。イビルコング三体を相手に、あの大立ち回りをやってのけたヴィアのステータスが、どれほどのものなのかは、是非 知りたい。
「わかった。」
俺は少し考えた後、頷いて、代わりにヴィアのカードを受け取る。まぁ、見られて困るような魔法は覚えていない。それに俺の場合は殆どが、MP不足で唱える事が出来ないので意味もない。
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ヴィア(17) 女
レベル:29
魔力:18/25
ちから:178
かしこさ:52
きようさ:125
- 魔法 4 -
- スキル 1 -
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うわっ、凄ぇえ。は?レベル29?この年齢で?それに剣士なのに魔法も使えるタイプか、ちからも戦士職であったエイデンよりも上、それにスキルもある。いるんだな神に愛されし人間というのは・・・。
一方彼女は、俺のカードの魔法欄を見ながら1ページずつ確認しているようだ。俺が使える魔法は"214"だから、ページ数は"22"ある。確認するだけでも結構大変である。
やがて、確認が終わったのか、視線を上げる。そして、はぁ、とため息を尽きながらカードを返された。微妙にいや、かなり失礼だな。
無能扱いされたみたいでショックだ。その通りなのだが。
「何かの魔法を使える人間をを探しているのか?」
初対面の時も魔法使いかどうか聞かれた。
「ごめんなさい。」
「へ?」
「疑った事。」
「ああ」
会話嚙み合わないな。答えたくないから事だからはぐらかしたのだろうか。
俺も黙ってカードを彼女に返す。確かにパーティを組むのは無理だな。実力が違う者同士が組む事はあるにはあるが、ヴィア側が俺とパーティを組む利点はないだろう。




