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しかし、MPが足りない。~ 記憶持ちのリグノ君の地獄ハーレム ~  作者: 土家右玉
青髪の少女

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20/23

スキル

身支度を整えたあと、三人がマリ姉の部屋へ集まった。


部屋の空気は重い。ヴィアが作戦の内容を知った以上、失敗した事実も伝えなければならない。残り五日で何もかもは無理だ。せめてもう少し時間があれば。いや、それでも同じか。


『単に馬鹿一人が空回りして、失敗した。』

それだけならよかった。でも、そこに他人の期待が乗っていたら?


「・・・」


短い沈黙。これは俺が言わないといけない。


「ヴィアさん」

静かに息を吐くように呼ぶ。ヴィアの肩が少しだけビクリとした。ここに呼ばれた時点である程度 察しはついてるのだろう。


「マリ姉から聞いてたと思う。俺がレベルを上げて、最大MPを上げようとした事。」

自分で言いながら、残酷だと思った。


「今回の探索でレベル11になって。」

冒険者カードをヴィアの前に出す。


ヴィアが一瞬だけカードに目を落した。


そして、"ふぅ"と息を吐く。

「別に元々期待してなかった。」


「うん」

その言葉はヴィアの優しさなのだろう。結局 俺は誰一人救う事が出来ないのだ。


「・・・・どうして?」


「?」


「あなたには全く関係ない。なのに、どうして私に関わろうとするの。」

感情がこぼれ落ちるような声だった。


ヴィアからすれば、俺は勝手に踏み込んできて、ひっかきまわして、結局何の成果ももたさらなかった迷惑な人間、それ以外の何物でもない。


ヴィアを見る。氷のような瞳の奥で風の揺(ゆ)らぎが見えた。


『ヴィアに関わる理由』

前世からの宿題だから、娘に似ているから。命の恩人だから。マリ姉に頼まれたから。全部正解で全部間違いのような気もする。


イビルコング三体相手に、一瞬観た美しい剣舞、すべての柵(しがらみ)を脱ぎ捨て、冒険者として成功するヴィアをみたい。そんな気持ちもある。


「そうしたいと思ったから。」

出た言葉は、答えになっていなかった。でもそれしか言えない。


「マリアーナさんから聞いた、リグノは無暗に人を傷つけたりしない。」

チラリとマリ姉(ねぇ)を見る。


「・・・・」


「私は男が嫌い。」

それは知っている。好きなだけ罵(ののし)ればいい、サンドバックぐらい。いくらでもやる。


「確認したい。本当に、MPの最大値が増えれば、"解呪"の魔法を覚えてくれた?」

青い瞳。脳がチリチリと焼かれる。


「そのつもりだった。」

不毛な問答だ。覚えてはいけない魔法。でも、そんなの関係ない。


「私は男が嫌い。」

また同じ言葉。しかし、続きがあった。

「だけど、リグノのその言葉は信じたいと思う。」


ヴィアが冒険者カードを取り出す。

/////////////////////////////////////////////

ヴィア(17) 女


レベル:29


魔力:7/25

ちから:178

かしこさ:52

きようさ:125


- 魔法 4 -

- スキル 1 -

/////////////////////////////////////////////


相変らず高いステータス。2枚並べると俺の貧弱ステータスが一層際(きわ)立つ。だが、ヴィアが何をしたいのかは分からなかった。


「スキルのところ」

ヴィアが付け足すように言った。スキル?タップしろという事か。言われるがままにタップする。


/////////////////////////////////////////////

マジックExp.

接触している間、対象のマジックポイント(MP)の最大値を5倍に出来る。但し、異姓には効果がない。

/////////////////////////////////////////////


ヴィアのスキルが表示された。マリ姉も後ろから覗(のぞ)き込んだ。


「対象の|魔力量(MP)を5倍に出来る?」

もしそれが可能なら、MPが足りない問題は解決する。だけど。


「異姓には効果がない。」

ヴィアが静かに言った。


「よくわからないよ。」

今度は俺が説明を求めるようにヴィアを見た。


「このスキル、昔からあるの。・・・でも、昔はこんな限定条件はなかった。たぶん、私が男を信用しなくなったから・・・」

ヴィアが顔を伏せながら言う。嫌な思い出でも思い出しているのだろうか。


「うん」

先を促(うなが)す。


「増加量も3倍だった。」

範囲が狭まった分、増加量が増えたという事か。スキルには謎が多い。


「もし、私が男を信用できるようになれば、スキルも元に戻るのでは無いかと・・・」

言ってて自身が無いのだろう、最後のは声が小さくなった。


「なるほど」

要するに、ヴィアが男を信用できるようになればスキルが戻り、俺に最大MP増加をかけられる。俺が解呪を覚えれば、ヴィアの妹を救える。そういうことだ。


でもどうやって?男嫌いなんてすぐに治る者ではない。それに、ヴィアの仮説が正しいかも分からない。


「私はリグノの言葉を信じたいと言った。」

それも聞いた。しかし、それだけでスキルが戻るなら苦労はしない。


「うん。」


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


長い沈黙、お茶をゆっくりと飲む。


それが合図だったかのようにヴィアがポツリと言った。


「私とセックスして欲しい。」


「ゴバッ!!ゴホッ、ゴホッ!」

盛大にお茶を吹いた。

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