表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/116

賢者の隠し事……1500年越しの邂逅

入学式の前、それよりもう少し前のことだ。

「ノアの件もあった。戦力の補強を図りたい」

俺はギルドマスター室で、イリノイにそう切り出した。


「どうしたいのですか?」

相変わらず、彼女は山積みの書類から目を離さずに応じる。


「……相変わらずだな。俺の話を聞く気があるのか、それとも『勝手にするんだろうから早く出ていけ』という意味か?」

俺は、この見透かしたような態度がどうにも苦手だ。


「分かっているでしょう? 私が何を言ったところで、あなたは結局自分のやりたいように動くのですから」

イリノイは、俺の回りくどい言い回しが心底面倒なようだ。


「そうだけどさ……たまには興味を持って驚いてくれてもいいだろう」

俺は少しだけ寂しげに肩をすくめる。


「あなたが『賢者』だったという事実に比べれば、この世の何に驚けというのですか」

彼女の視線は、依然として書類の上を這っている。


「……いいんだな? エルフとドワーフ、そしてリザードマンを学園に入学させるぞ」

俺は流すように、しかし確信を持って告げた。


「……は? また何を突拍子もないことを……」

流石のイリノイも、その言葉にはペンを止めた。


「お前が提案したんだろう。『学園はギルドとの連携を高め、実戦を増やすべきだ』とな。ギルドには各街の手も借りる。そこに他種族が混ざってもいいはずだ。彼らは魔王討伐にも協力的だからな。手始めとして、他種族との親睦を深めておくことは無駄じゃない」

俺は、1500年経ってもなお、断絶したままの種族間の交流に、強い違和感を覚えていたのだ。


「……まぁいいですけれど。アリゾナの許可は取っているのでしょうね?」

イリノイがちらりと視線を向けたが、すぐにまた書類へと意識を戻す。


「『勝手にしろ。ただし、私に迷惑だけはかけるな』……だそうだ」

俺は、アリゾナから得た回答をそのまま伝えた。


「……他種族との仲が悪い理由について、彼は何か?」

イリノイが、要点に触れようとしないアリゾナへの苛立ちを露わにする。


「いや何も。どうせ『後衛主体』の戦闘が主流になり、前衛気質の他種族が『不要』だと切り捨てられた。……そんなところだろう」

俺は推測を口にする。


「たぶんね。それに……ガル様が他種族との共闘には、あまり積極的ではなかったことも一因でしょう」

イリノイの口から、予期せぬ名前が出る。


「それは初耳だな。なぜだ?」


「さぁ?」

彼女は興味なさそうに肩をすくめた。


「……まあいいさ。こう見えて、俺は奴らと仲がいいんでね」

俺は内心で笑う。


「……いつの時代の話ですか、全く」

呆れ果てた彼女の溜息が、執務室に小さく響いた。



「さて。エルフは海辺、ドワーフは洞窟、リザードは森……どこもかしこも遠いな」

俺は行き先を思案している。


「まずはエルフのところへ行くか。連中、どんな顔をするだろうな」

俺はニヤつきながら、次の予定を頭の中で描く。


「ロロ、少しの間ここを空けるぞ」

寮に戻り、身支度を整えながら俺は告げた。


「……また何かしでかすつもりか? 世界が消滅するような事態は、もう真っ平御免だからな」

ロロは冗談めかしつつも、その瞳には切実な本音が宿っている。

出かけるたびに世界を滅ぼしかけた男が相手では、牽制もしたくなるだろう。


「今回は大丈夫だ。昔の友人に会いに行くだけだからな」

俺は肩をすくめて、軽やかに返した。


「……お前に友人がまだ残っているとでも?」

ロロは心底呆れ果てた様子で言い放つ。


「……流石に、もういないか」

俺は苦笑をこぼすと、期待に胸を躍らせながら部屋を飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ