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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

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終焉の地……鏡合わせの敗北


「……なんだか、拠点が遠すぎないか?」

ジュリアスチームの一人が、焦燥を堪えきれずに零した。

「……索敵を避けて回り道をしているんだ。当然だろう」

ジュリアスは内心の動揺を打ち消すように吐き捨てる。

(何かがおかしい。迷ったか? いや、そんなはずはない!)

「敵に出会わないだけ幸運だと思え。……見えたぞ!」


ようやく視界に捉えた「他種族の拠点」に、ジュリアスは安堵の溜息を漏らす。

時間をかけすぎたが、ここまで来ればこっちのものだ。


「この時間帯に全員で攻めてくるとは思うまい。気づいてから戻っても手遅れだ」

「五人揃っている俺たちが圧倒的に有利……。なんとかなったな」

メンバーの顔に、卑屈な勝ち誇りの中の安堵が広がる。


「守りはあの雑魚剣士一人だ。魔法を叩き込んで退場させろ。キングクリスタルを粉砕して、この茶番を終わらせるぞ!」

ジュリアスが吠える。

「やられっぱなしだったからな。少しは花を持たせてやったと思えば、退学という結末も慈悲深く聞こえるだろうよ」


---


「……そろそろかな」

拠点の前に立つルーシュが独り言ち、パチンと指を鳴らした。


直後、ジュリアスの放った雷魔法が虚空で相殺される。

続けざまに飛来するチーム全員の総攻撃。だが、ルーシュは抜刀術の構えを崩さず、リズムを刻むように指を鳴らし続けた。


【パチンッ、パチンッ!】


鳴り響く音と共に、ジュリアスたちの渾身の魔術が、目に見えぬ「斬撃」によって次々と霧散していく。


「なっ、何だよ!? なぜ魔法が斬られているんだ!」

「……こいつ、本当にただの剣士か!?」

「攻めろ! 攻め続けろ!」

ジュリアスは叫ぶが、その声は上擦っていた。

(なぜ攻撃が通らない。逃げ回るだけの前衛が、一体何をした!?)

「くそぉぉぉぉ!!」


「……なんて、か細い悲鳴かしら?」

嘲笑と共に、セレスティアが風を切り裂きジュリアスを強襲する。


「またお前か!」

死に物狂いで回避するジュリアス。だが、そこへ――。


「今度は、私が相手をしよう」

冷徹な声と共にエルフィが姿を現し、至近距離から光の矢を番える。

「お前は、ルーシュの援護に行け」



ザルガとバルカスも、飢えた獣のような笑みを浮かべて合流した。

「こっちは四対二だ。今度は俺もいる!」

守備担当だったメンバーがジュリアス以外のメンバーに加勢に入るが、ザルガたちは気にも止めず攻めてくる。

「邪魔だ、俺の獲物だぞ!」

「うるさい、俺の方が近い!」

もはや戦闘ではなく、獲物の奪い合い。ジュリアスたちは、その圧倒的な「格」の差に、もはや防御に徹することすら叶わない。


「……ルーシュ! だからこの化け物チーム、嫌って言ったのよ! 私の分が残ってないじゃない!」

戻ってきたセレスティアが、頬を膨らませてルーシュに詰め寄る。


「まあそう言うな。お前の魔法が必要だったんだから、作戦通りだろ?」

おれもすることがないので観戦にまわっている。


「……ふん。まあ、あの絶望する顔が見られるなら、少しは許してあげるわ」

セレスティアは小悪魔のように唇を舐め、獲物を追い詰める仲間たちを見守った。


---


「ジュリアス! 戦闘では勝てない、クリスタルを狙え!」

ザルガたちの猛攻に耐えかねたメンバーがジュリアスの加勢に動く。

その一瞬の隙――。

ジュリアスは溜めていた全魔力を放出。エルフィが放った牽制の矢を潜り抜け、クリスタルへと肉薄した。


「これで……終わりだぁぁぁ!」

渾身の一撃が、青く輝くキングクリスタルに叩き込まれる。

それと同時に追手に阻まれ、退場させられるジュリアスメンバーたち


メキメキ……パリンッ!!


「……あーあ、壊れちゃった」

セレスティアの脱力した声が響く。



ピィィィィィィィィィィィィィィ!

「最後はやはりこの男!ジュリアスが決めたぁぁぁ!!」

実況の声共にホイッスルが鳴り響く。


「勝った! 勝ったぞ!!」

ジュリアスは歓喜の声を上げ、勝利の余韻に浸ろうとした。


だが、リスポーン地点から戻ってきたメンバーたちの顔に、歓喜はない。

「勝ったぞ、お前たち! ……ん?」


ジュリアスは、背筋が凍るような違和感を覚えた。

「なぜだ……。なぜ、リスポーン地点がここなんだ?」


彼らが今、息を切らして立っている場所。

そこには、自分たちが粉砕したはずの――**『ジュリアスチームの拠点マーク』**が刻まれたキングクリスタルの残骸があった。


「な……何だ? どうなっている……?」

「ジュリアス……おい、ジュリアス!」


崩れ落ちる仲間たち。

彼らが十数分かけて必死に走り、守り手を蹴散らし、ようやく破壊した「敵のキングクリスタル」……。

それは、最初から最後まで、一度も動くことのなかった**自分たちの拠点**だった。


「…………嘘だ…………」


歓喜は瞬時にして極北の絶望へと塗り替えられ、スタジアムにジュリアスの力ない声だけが虚しく響いた。


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