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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

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翻る戦況……絶望への招集


「何だこの気配は……。何が起きている!」

ジュリアスは得意の雷強化魔法を全身に纏い、放電のパチパチという音と共に森を駆ける。

B地点へは最速で到達するはずだった。だが、眼前に広がっていたのは、無残に砕け散ったクリスタルの残骸だけだ。


「なぜだ……なぜもう割られている!?」

異変を察知し、辛うじて近くの茂みに身を潜める。しかし、安息の時間は一秒たりとも与えられなかった。


シュッ――!


空気を切り裂く鋭い音が響き、白銀の光矢が頬をかすめる。

「……っ!? 早すぎる、なんだコイツら!」

正確無比な射撃。こちらの魔力を完全に読み切ったかのようなタイミング。

混乱するジュリアスの脳裏に、すぐさま二射目が襲いかかる。それは、迷いなく眉間を撃ち抜こうとする「死の矢」だった。


「場所も分からない位置から……。クソッ、引くしかない!」

屈辱に顔を歪めながらも、ジュリアスは反転して撤退を試みる。

だが、その瞬間――。


「――ざぁんねんっ♪」


鈴を転がすような、しかし氷のように冷たい少女の声が頭上から降ってきた。

見上げれば、木々の隙間から舞い降りるセレスティア。

撤退の判断、逃走の初動……そのすべてが「背を向けた」という致命的な悪手。

閃光のような一撃がジュリアスの視界を白く染め上げ、彼はなす術もなくリスポーン地点へと強制送還された。


---


「な、なな、何が起きているんだ……っ!?」

リスポーン地点で意識を取り戻したジュリアスは、目の前のスコアボードに目を剥いた。


**【 0 : 50 】**

**【 チームリスポーン数:10回 】**


「50点差……!? それに、もう10回も殺られたというのか!?」

「戻ってきたか、ジュリアス……」

先にリスポーンしていた仲間の一人が、力なく声をかける。


「お前ら、何をしていた! 三回ずつ殺られたのか!?」

「……俺は拠点の守護にいたから何とも言えんが、五分もしないうちに、こいつらが次々と送り返されてきたんだ」

「リスポーンしてすぐに動いたさ! 殺られた場所の裏を取るのが定石だろ!? だが、奴らはそのさらに裏にいやがるんだ。動くたびに、あのリザードマンとドワーフに狩られた……」


「奴ら、バラバラに動いているくせに一人ひとりが強すぎる。居場所も完全に割れているぞ!」

絶望に打ちひしがれるメンバーたち。少し前までの余裕は消え失せ、チーム内には険悪な空気が立ち込める。


「……お前も、何もできずに戻ってくるとはな」

「うるさい! お前らがすぐに殺られるから、その気配の乱れでこっちまで狂わされたんだ! 敵は二人もいたんだぞ!」

「ハッ、楽勝だなんだと言っておいて、二人相手に言い訳かよ……」


ジュリアスは、握りしめた拳を震わせる。

「なぜだ……。奴らの魔法は、索敵用ばかりだったはずだろう……っ!」

事前に得た資料では、リザードマンもドワーフも索敵魔法を選んでいた。


「普通は索敵担当が動いて、攻撃担当が合わせるものだ。だが奴らは、索敵役が一人で待ち構えて、そのまま一人で殲滅してやがる……。化け物かよ、あの『亜人』どもは!」


得点ボードは刻一刻と動き、**【 0 : 80 】**へとその差を広げていく。


「……こうなれば、キングクリスタルを落とした方の勝ちだ。まだ逆転の目はある……っ!」

もはや勝ち筋を見失ったジュリアスは、なりふり構わぬ最後の一手に縋るしかなかった。


---


「ふん、『キングクリスタルを落とした方の勝ちだ』とでも考えているのでしょうね」

セレスティアが、リスポーン地点の方向を指して小馬鹿にしたように笑う。


「やめておけ。自分たちが俺たちの術中に嵌まったことにも気づけないのなら、もう勝負は見えている」

エルフィは余裕の表情で、手入れの行き届いた武器を見つめる。


「手応えがなさすぎるな。いいのか、こんなので? 人間の先が思いやられるぜ」

キル数トップを走るザルガが、自嘲気味に鼻を鳴らす。


「たまたま貴様のところに敵が流れただけだ。三人を片付ける速さなら俺の方が上だったぞ」

バルカスが負けじと斧を担ぎ直す。


「まあまあ、運も実力のうちだろ。楽しもうぜ、初めてのクリスタルシージを」

俺はまだ、一歩も動いていない。今回は彼らの晴れ舞台だ。


「でも、もう終わっちゃうわよ? 三十分の前,後半戦って聞いてたけど」

時計を見れば、開始からわずか十五分。


「あとは見物してるだけでも勝てるが……どうする?」

俺の問いかけに、仲間たちは顔を見合わせ、不敵な笑みを浮かべた。


「もう少し、遊んでやるか」

「そうね。あの絶望に染まった顔、間近で拝んであげたいわ」

「決まりだな。――なら、**『()()』**に集合だ」


エルフィの静かな、だが冷酷な宣告が、森の空気を凍らせた。


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