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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

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作戦会議・・・化け物達

ジュリアスとの舌戦を終えた俺たちは、作戦会議のために用意された一室にいた。

 重苦しい沈黙を切り裂いたのは、鋭い一言だった。


「――馬鹿なの?」

 氷のような声で吐き捨てたのは、エルフの女性、**セレスティア**。

 総合一位のエルフィの妹であり、その美貌は入学式だけでファンクラブが結成されたという。だが、今はその超絶美人が、般若のような形相で俺たちを睨みつけていた。


「すまない、セレスティア。俺が軽率だった」

 兄であるエルフィが落ち着いた声で謝罪する。この兄にしてこの妹あり。だが、妹の剣幕にはさすがのリーダーも形無しだ。


「謝って済む話? やったこともない競技で勝負を受けるなんて、どうかしてるわ!」

「いや……見ていて楽しそうな競技だと思ってな」

 どこまでも冷静なエルフィ。妹の扱いには慣れきっているのだろうが、セレスティアの怒りの矛先は、元凶である俺へと向けられた。


「で、あんたよ、ルーシュ! 何勝手に巻き込まれちゃってるわけ!?」

 黙っていれば完璧な聖女、口を開けば毒舌の女王。それが彼女だ。


「止めてくれ、不可抗力だ。エルフィのあの真面目な性格、お前も知ってるだろ。あんなジュリアス放っておけばよかったんだ」

 俺がエルフィに詰め寄るように言うと、背後から地響きのような低い声が混じった。


「しかし、ルーシュ。お前には『一旦は大人しくしておけ』と言われていたが……次はもう、暴れてもいいということでよろしいかな?」

 ドワーフのリーダー、**バルカス**が巨大な槌を指先で弄びながら、野獣のような笑みを浮かべる。


「ああ、なるほど。手加減抜きで戦っていい、と。さすがドワーフ、察しが良くて助かる」

 リザードマンの誇り高き戦士、**ザルガ**もまた、鋭い眼光を光らせて同調した。


「あんたたちは黙ってなさいってのっ!!」

 セレスティアの一喝。世界トップクラスの猛者二人が、一瞬で借りてきた猫のように縮こまる。……この女、ある意味最強かもしれない。


「試合形式に関しては、こちらのミスだった。だから、強力な助っ人を呼んである」


 俺が扉を指すと、一人の少年が静かに入室してきた。


「はじめまして、アーサーです。子供の頃から『クリスタル・シージ』の教育を受けてきました」


 王族の間では嗜みとして行われるらしく、彼はこの競技の上級者だ。ロロから「俺より詳しい」と紹介を受け、この場に呼び出したのだ。


「ルールは単純です。城を模した戦場で拠点を奪い合い、攻防を繰り広げる。フィールドは学園の模擬戦室と同じ仕様で、死ぬことはなく、脱落しても一定時間で復活可能です。ただし、最大の特徴は『使う魔法は一種類のみ』という制約」


 アーサーは淡々と、しかし的確に説明を続ける。


「隠密、攻撃、防御、強化……どの魔法を選び、どう戦力を分散させるか。その駆け引きこそが醍醐味です。そして最大の勝利条件は、敵陣の最深部にある『キングクリスタル』の破壊。これを成せば、ポイントに関係なく勝利となります」


「なるほど。ただ腕力が強い方が勝つという、単純な遊びではないのだな」

 バルカスが面白そうに鼻を鳴らす。


「ええ。圧倒的な戦力差は勝敗を左右しますが、プロや学生同士の戦いでは常に緊張感のある駆け引きが求められます。……しかし」

 アーサーの言葉が止まる。


「しかし?」

 エルフィが先を促した。


「ジュリアスは学生の中では敵なしです。僕も何度か手合わせをしましたが、勝った試しはありません。彼は反射神経とスピードのすべてを雷魔法による『電気信号』に依存した、超攻撃型の特攻役アタッカー。一人で戦局を壊してしまうほどの化物です」


「ほう……そんなに凄いのか」

 ザルガの瞳に、戦士としての闘志が宿る。


「ええ。でも逆に言えば、奴の作戦は読みやすい。強化魔法で来るのか分かってるので情報がある分、こちらが有利です。他のメンバーも有名選手ばかりですから、対策は立てられます」


 俺は頷き、役割を振った。

「よし。アーサーは作戦立案。セレスティアは競技経験者として特訓係を頼む」


「……はぁ。わかったわよ。ちゃんと付いてきなさいよ、トップ3!」

 セレスティアの威勢の良さは、チームに活気を与える。


「ルーシュ、あともう一人のメンバーは?」

 エルフィが問う。

倉庫の競技は5人の出場者が必要だった。


「俺とお前ら三人は確定だ。最後の一人は、経験者のセレスティアで行く」


「はぁぁ!? ちょっと、嫌よ! なんで私がこんな『化け物パーティー』に入らなきゃいけないのよ!」

 セレスティアは本気で嫌そうな顔をするが、周囲の猛者たちは動じない。


「はっきり言って、ルールさえ覚えればあんたたちに誰が勝てるっていうのよ。四人で十分でしょ!」

 嫌がる彼女を全員でなだめる光景は、どこか微笑ましくもあった。


「あの……ルーシュさん? 勝つ方法を僕に聞きに来たんじゃなかったのですか……?」

 自信満々の他種族たちを前に、アーサーが不安げに声を漏らす。


「細かい話は後だ、アーサー。ロロたちにも言ったが――」


 俺は口角を上げ、不敵に笑った。

「面白いものが見れるぞ」


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