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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

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入学試験・・・亜人

3月はじめ。俺たちが終業式を迎え、春の陽気が満ち始めた頃。


「ジャララァン・チャチャチャチャ~・ラララララン!」

 けたたましいファンファーレが鳴り響き、校庭に集まった参加者たちが一斉にざわつく。


「皆さん、お待たせしました。当学園RVR SCHOOLの特別最高顧問、アリゾナ・アリンゾロフです。まあ、私の名は誰もが知っているでしょうが」


去年と同じ、尊大なセリフから始まる入学試験。

今年は例年以上の盛り上がりを見せ、定員を遥かに上回る2000人以上が門を叩いた。他校からの腕試しや冷やかしも多いが、その熱気の中に、ひときわ**異彩を放つ集団**がいた。


「何だあれ? 珍しいな」

「あいつらも入学するつもりかよ……」

「……ねぇ、なんか綺麗」「でも、少し怖いね」

「おい見ろよ、あっちのやつ、牙が剥き出しだぞ」


ヒソヒソと交わされる好奇と拒絶の視線。

そこには、陽光を反射させるほど美しい金髪の**エルフ**

岩のように頑強な体躯を持つ黒い肌の**ドワーフ**

そして鋭い爪と鱗に覆われた**リザード**

が、それぞれ5名ずつ整然と並んでいた。


在校生も見学が許可されているため、俺はロロと共にその光景を眺めていた。


「俺は会ったことあるけど、試験にいるってことは入学希望だよな?」

王族として他種族との外交経験があるロロが、少し意外そうに呟く。


「俺にとっては昔から馴染みのある連中だ。むしろ、1500年経っても交流が深まっていない今の状況の方が不思議なくらいだよ」

俺にとっては、魔王討伐を共に戦った戦友たちの末裔だ。魔族に苦しめられているのは彼らも同じ。本来なら手を取り合うのが自然なはずだった。


「ふーん。やっぱり見た目が違うと違和感があるんだろうな。文化も食事も違うし」

ロロが語る「現代の常識」は、俺の知る過去よりもずっと排他的だった。


--


今回の試験は身体能力の実技が主軸だ。

強大な魔力を扱うには、器となる肉体が強くなければならない。今の学園の方針は「心身の剛健さ」にあるようだった。


試験が進む中、受験生の中に一人、スザクほどではないが群を抜いた魔力値を誇る青年がいた。

「あれ、誰か知ってるか?」


「ああ。**ジュリアス・フォン・アステリア**。ギルド評議会の重鎮の御曹司だよ。僕も何度か会ったけど、印象は最悪。典型的な後衛至上主義で、前衛を『脳筋の盾』としか思ってないんだ。俺のことも弱虫だって……まあ、昔はな、今なら勝つよ」

1年が過ぎ自信をつけたロロ、学園への入学は正解だったようだ。


ロロの言葉通り、ジュリアスの振る舞いは傲慢そのものだった。

平民を見下し、汗を流す前衛職を汚物を見るような目で見る。

「……もったいないな。どの時代も、力を持つ貴族はああなるのか」

「そりゃ、彼らにとっては権力こそが世界の理だからね」

「お前が言うか? 王子様」

「うっせ、てか身分を隠すのにあいつ邪魔だよな」

「流石に話せば分かるだろ」


そんな俺たちの会話を遮るように、怒号が響いた。


「どけ、長耳! 亜人ごときが出しゃばるな!」

ジュリアスが、エルフの一人に噛みついた。

『亜人』――人間以外の種族を家畜同然に貶める、この時代特有の差別用語だ。


「これから苦学を共にする仲だ。言い争いはやめよう」

落ち着いた声で返したのは、エルフのリーダー格の男……**エルフィ**だった。


「何だ腰抜け。亜人ごときが、この学園で人間様と仲良くしてもらえるとでも思っているのか?」

ジュリアスが嘲笑うと、取り巻きたちが同調して下卑た笑い声を上げる。


「……友達は、自分で選ぶよ」

エルフィは相手にせず、静かに背を向けた。


「殺しますか?」

背後で別のエルフが低く呟くが、エルフィは首を振る。

「やめとけ。何の利点もない。……それに、見られている」


エルフィの視線が、一瞬だけ俺を捉えた。

「だからこんな学園やめときましょって言ったのに……」と、女性エルフの**セレスティア**が面倒そうにこぼす。


「いいんだ。**『()』**が、俺たちをさらなる高みへ連れていってくれる。……ね? バルカス、ザルガ」

エルフィは、ドワーフのリーダーとリザードのリーダーに視線を送り、穏やかに微笑んだ。


---


試験の締めくくりとして、アリゾナが壇上から受験生たちを見渡す。

「今回の試験で他種族が混じっていることに驚いた者もいるだろう。だが、募集要項に『人間に限定する』とは一文字も書いていない。私たちは大人になれば、貿易や討伐任務で彼らと背を合わせることになる。同じ空の下に生きる者として、敬意を示し、共に学べ。……人間が馬鹿な種族だと思われないよう、君たちがその代表として振る舞うことを期待する」


アリゾナの訓示をもって、試験は幕を閉じた。


「……なぜ急に他種族が来た。お前、何かしたのか?」

背後から声をかけてきたのは、いつの間にか現れていたスザクだった。


「なんにも。というか、興味なさそうなフリして見に来てたのか?」

「エルフが来ると聞いてな。……なかなか面白い。ドワーフにリザードか、一度手合わせをしてみたいものだ」

スザクの瞳には、1位としての余裕だけでなく、未知の強者に対する純粋な武人としての好奇心が宿っていた。


「お前の方が強いと思うけどな」

「……お世辞はいらん」

それだけ吐き捨てて、スザクは去っていった。


「で、賢者様の感想は?」

ロロが茶化すように尋ねる。

「昔と変わらんよ。エルフの戦い方は知ってるし、ドワーフやリザードは……酒を飲むと最高に面白い連中なんだ」


俺は、かつて共に杯を交わした友たちの面影を思い出し、一人小さく笑った。


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