実力試験・・・結果
早いもので、転生から一年が過ぎていた。
「そろそろ実力試験だな」
手元の資料に目を落としながら、ロロが何気なく呟いた。
「ですね。新入生の入学試験ももうすぐですし」
ヴィニーがそれに相槌を打つ。
「俺は適当に連れてこられた身だからよく知らねえんだけど、そもそもこの学園の仕組みってどうなってんだ?」
ロロの問いかけに、ヴィニーが「えぇ!?」と素っ頓狂な声を上げた。
「今更ですか? もう一年も経ってるんですよ」
「……去年は、少し状況が特殊だっただろ」
呆れるヴィニーを余所に、ロロは興味なさそうに視線を逸らした。
「そうですね。簡単に説明しますと、去年はルーシュさんと魔王の件があったため、在校生も含めた『一括入学試験』という異例の形でした。ですが本来は、毎年行われる実力試験と入学試験で、徹底した人数調整が行われるんです」
ヴィニーの説明によれば、学園のルールはこうだ。
* **在籍期間:** 基本的に12歳~22歳まで。
* **ギルド編入:** イリュウのように若くしてギルドに所属する者もいるが、本格的な編入は18歳から。
* **入れ替え制:** 成績不振者は容赦なく、優秀な新入生と入れ替えで退学となる。
* **授業形態:** クラス概念はなく、全年齢一括の自由選択制講義。
「今年からは定員が300人にまで引き上げられるそうですよ」
「300人か。随分と増やしたな」
「校舎の増築も進んでいますし、講義数も増えます。何より、今年からは実戦形式のカリキュラムが大幅に強化されるみたいです」
これには、ギルドマスターの一人・イリノイの意向が強く働いているらしい。実力の伴わないギルド員が増えている現状を打開するため、学園を「ギルドの予備校」として機能させ、現役ギルド員を講師に招いて生徒を鍛え上げる……その代わりに、簡単な依頼を「特別授業」として生徒にこなさせる算段だ。
さすが仕事のできる女性だ。
「ルーシュみたいに、講義に出なくても実力試験で結果さえ出せば残れるんだろ?」
ロロが少し毒づくように言った。
「俺は講師としても駆り出されてるんだ。後期は問題山積みでお前らより忙しいんだよ」
おれは傀儡を使ってフォミィという人物でと講師も兼業している。
「へぇー。そうやってサボる口実を作って、どっか遊びに行ってるんじゃなくて?」
「お前なぁ……。そもそも、俺が今更受けるような講義なんてねえんだよ」
「……なら、せめて歴史でも勉強しとけよ」
去年の入学試験で、俺が歴史をほぼ白紙で出したことをロロはまだおちょくってくる。
「バイオレット王国第12代国王、エドワード・バイオレットによる徴税制度の改革と、それに伴う南国との通商条約の変遷……」
俺は淀みなく、ここ数百年の歴史の重要事項をそらで唱えてみせた。
「…………は?」
ロロもヴィニーも、開いた口が塞がらないといった様子で固まった。
「いつまでも馬鹿にできると思うなよ。俺を舐めるな」
俺は勝ち誇った笑みを浮かべ、コーヒーを啜る。
「……結局、天才は何をやらせても天才かよ。あーあ、世の中理不尽だぜ」
ロロは深いため息をつき、すっかり戦意を喪失したように机に突っ伏した。
とはいいつつも今年も実力試験を落とす生徒は居なかった。
卒業生を入れると80人がそのまま残ることになる。
「なんか拍子抜けだなあれなら入学試験のほうが難しかったんじゃね?」
ロロが余裕な表情をしている。
「アリゾナが言っていたけどここで落とすような連中は入学すらできないからほとんど心配しなくていいらしい」
俺はアリゾナから聞いたことを言う
「220人の新入生も大変だが今後の実力試験は難易度上がりそうだな?」
ロロは人数が増えることによる懸念をしているようだった。
「次からは入学式が先で実力による入れ替えをするのでノルマ達成で安泰とはいかないっていていましたね」
ヴィニーが年度末の終業式で言っていたことを話す。
来年から実力でどんどん入れ替えを行うらしい
が流石に300人規模の学園となると大陸中の優秀な生徒が集まっており
受験生は一度落ちたものが多く目新しい新人ぐらいしか入れ替えも起きないとのことだが
これはアリゾナの経験でロロたちには黙っておく。
「今年の新入生は面白いものが見れるぞ~楽しみにしておけ」
俺は意味深に伝えた。
「なんだよ急に、せっかくの春休みが台無しじゃねぇか」
ロロのセリフを他所におれはワクワクしていた。




