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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
8章 勇者と勇者

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勇者の違和感・・・討伐隊

ロロに強引に連れられて王国のメインストリートへ出ると、そこは異様な熱気に包まれていた。

「勇者様だ!」「勇者様が魔族を討ち取られたぞ!」

民衆の耳をつんざくような歓声。その中心を、金色の鎧を纏った一人の男が馬に跨り、傲慢な笑みを浮かべて進んでいた。


「……あいつが、勇者?」

俺の問いに、横にいたロロが苦虫を噛み潰したような顔で頷く。


「名前はカイル。一週間前に突然覚醒したと名乗り出てきた。見てなよ、彼が連れてきた『手土産』を」


男が引き連れた荷馬車の檻の中には、二体の魔族が転がっていた。それを見た瞬間、俺はわずかに目を細めた。

「……魔族か?」


「ドロリス大空洞の幹部、ガザとミリスだ。数年前、あの総指揮官ガルですら進軍を止めるのが精一杯だった脅威だよ。王国中が驚いてる。だが……」


ドロリス大空洞を拠点に数百年、その地域を恐怖と暴力で支配してきた高位魔族。王国騎士団やギルドですら手を出せずにいた「既知の脅威」を、新星の男が二人同時に仕留めたという。


ロロの視線の先には、バルコニーからその様子を見下ろすギルドマスターたちの姿があった。参謀役のバージニアはニヤリとした薄笑いを消し、騎士団統括のカロライナは不機険そうに腕を組んでいる。彼らの目は、あれを単なる「救世主」とは見ていない。


「怪しいんだよ。全くの情報がなかった。ガルに撤退させられてから大人しかったが、ここらじゃ一番の脅威と言われていて、見張りもいたにも関わらずだ。どこで、どうやって倒したのかが不透明すぎる」


そこへ、ギルドの使いがやってきた。

「ルーシュとロロだな。 ギルド本部へ急げ! カロライナ様がお呼びだ」


「……嫌な予感しかしないな」

俺が呟く間もなく、ギルド本部へ引き摺り込まれた。



中では四人のギルドマスターたちが揃い踏みで、こちらを待っていた。全員が揃ったのを確認し、カロライナが重々しく口を開く。

「世間を騒がせている勇者と名乗る男カイルが、『ドロリス大空洞からいつの間にか出てきていた魔族を仕留めた。その《残党狩り》の編成を組んでほしい』と頼まれている」


「残党狩りということで、騎士団から討伐隊を出す予定となった。よって、学園側からも数名の同行をお願いしたい」

危険が少ないとの判断で、学生の実地訓練も兼ねて連れていくことにしたらしい。


「残党狩りならおれはパスだ。忙しい」

俺が即答すると、政治担当のバージニアが眼鏡の奥の目を光らせた。


「そうもいかないのだよ。あの勇者はドロリスの拠点を壊滅させると息巻いている。我々ギルドとしては、あの『手柄』が本物かどうかを現場で見極める必要があるのだ。君の『剣士』としての力は、ギルド内でも評価が高くてね」


「……要するに、マスターどもは忙しいから、おれに現状を把握してこいと」


「話が早くて助かるよ。君のとこのメンバーは、『賢者』だと知る者の中から選んでいい。明朝、ドロリスへ出発だ」


俺は深いため息をついた。

せっかく杖を手に入れ、自分のペースで調整をしようと思っていたのに、これでは台無しだ。



ギルドマスターたちとの話を終え、部屋に戻ると俺はすぐに準備に取り掛かった。


「ロロ、お前も行くだろ?」


俺の問いに、ロロは肩をすくめて応える。

「そうだな。賢者と知ったもので編成しろってことは、ギルド側もお前を好きに動かせたいんだろう」


「ああ、万が一のこともあるということだ。何かあった時に動ける奴じゃないと足手まといになるからな」


「なら、ヴィニーとアーサーしかいないぞ……」


「そういうことだな」


俺を『賢者』だと知る学生は限られている。

王子のロロ。従者のヴィニー。そしてロロの従兄弟である格闘家のアーサー。

攻撃、支援、格闘、そして俺の「剣士(偽)」。


「うまいことバランス取れててよかったな」


「全くだ。表向きは学生の後方支援だが、実戦になれば俺が抜けても問題ない構成なのは助かる」


俺は荷物をまとめ終えると、ヴィニーに向き直った。

「にしても急すぎだろ……。悪いがヴィニー、アーサーに明日早朝出発だって伝えてきてくれ」


「分かりました、すぐに向かいます」


ヴィニーが部屋を出ていくのを見届ける間もなく、俺は上着を脱ぎ捨てた。

「おれはもう寝るぞ」


「おい、もっと緊張感持てよ……」というロロの呆れ声を背中で受け流しながら、俺は一目散に布団へと潜り込んだ。



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