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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
7章 近代魔法と教皇

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賢者の杖・・・勇者到来

「あいつ、何が『杖の封印は……』だよ」

私は金庫に遺されていた地図を頼りに、その場所へと辿り着いていた。


「最後の最後まで、全く……」

そこは、かつて私がヴァレルと過ごした古びた建屋だった。


賢者であった私は人目を避けるように山奥に住むことが多く、その道中で出会ったのが赤子のヴァレルだった。学校も何もない奥地で、私は仕方なく、けれど大切にあいつを育てたのだ。


「にしても、まだ形を保っているなんてな。たまに手入れもしていたか……」

一五〇〇年。それだけの月日が流れたはずなのに、そこには当時の匂いまでもが残っているかのように、そっくりそのまま残されていた。


「まあ、地下室かな」

私は短く詠唱を唱える。


何もない床から石造りの階段が現れた。コツコツと靴音を響かせながら降りるたび、脳裏に当時の記憶が鮮明に蘇る。


「……でっか」

地下に降り立った私は、思わず声を漏らした。

その空間は、当時とは比較にならないほど巨大に拡張されていた。いたるところに配置されたトラップ、執拗に侵入者を拒む召喚獣の襲撃。

ここに立ち入る者を排除しようとする、強固な防衛機構が張り巡らされている。


「弟子は卒業したとは言ったものの、この程度じゃ全然ダメだな」

パチンッ、と指を鳴らす。


私は片っ端から魔術の対処を行っていった。弟子の本気を受け止めるように、あえて真っ向から。

「一五〇〇年生きていた割には、まだまだだな」

そう毒突きながら、私はついに最奥へと辿り着いた。


そこには、神々しく光を放つ一本の杖があった。

「最後のトラップは……っと」

パチンッ。


剣士を始めてから、この指パッチンはすっかり板についた。

最初は魔法の起動を誤魔化すための小細工だったが、今ではあらゆる術式を簡易的に、かつ最速で展開できる。

その甲斐あって、剣士としての立ち振る舞いには一切の違和感がなくなった。今の私を「賢者」だと見抜ける者など、この世にはいない。


「おれも、まだまだ成長している」


私はその杖を手に取った。

その瞬間、地下室の空気が爆ぜた。一五〇〇年という時を経て、主の手へと戻った杖が歓喜の咆哮を上げているかのように、狂暴なまでの魔力が全身を駆け巡る。


「……ッ、落ち着け」

私はその奔流をねじ伏せるように、魔力を掌に収束させた。

すると、光の残滓が揺らめき、目の前に十八歳の頃のヴァレルの幻影が現れた。

奴は何も言わなかった。ただ、かつて私がそうしたように、不敵な笑みを浮かべて私の肩を拳で「コツン」と叩く。


――『あとは、頼みましたよ』


そんな声が聞こえた気がした。幻影はそれだけを残し、吸い込まれるように杖の中へと消えていった。


「……言われなくても、わかってる」

手に残ったのは、確かな魔力の重み。しっくり来るな……待ってろよ、魔王。


杖をひと振りすると、地下室の空気が鋭く裂けた。以前のようなハリボテの魔法ではない。今の指先には、一撃で城一つを消し飛ばしかねない「本物の賢者」の威圧が宿っている。

私は杖を懐に収め、迷いなく地上へと駆け上がった。


杖を探しに出て約一ヶ月。

教団の整理や杖の調整で学園を離れていた私が戻ると、街は異様な熱気に包まれていた。

「勇者が現れた」

そのニュースが、盛大な祝祭のように国中を駆け巡っていたのだ。


勇者――それは単なる称号ではない。

魔法抵抗力が極端に強く、自ら魔法を扱うことはできなくなるが、代わりに魔法をも凌駕する力と、強化魔法以上の身体能力を宿す個体。

血筋が関係しているとも言われるが、その覚醒時期も過程も、未だ謎に包まれた領域だ。


転生直前、預言者が言っていた。

『大きな闇と、光が二つ現れる』

魔王と私、そして勇者。全ての役者が揃ったということか。


「ルーシュ!」

不意に声をかけてきたのは、ロロだった。


「久しぶりだな、どうした?」

「勇者の件だよ! 王国がおかしくなってる!」

ロロの表情は、いつになく切迫していた。


「どういうことだ?」

「いいから来いって! お前の力がいるんだ!」


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