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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
4章 ヴァーミリオン王国と呪われし少女

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時空回帰の王・・・希望の魔法

### 賢者の介入と大精霊の領域


「仕方ない。……賭けるしかない」


 俺は、ライカの暴走する魔力の渦の中心へ、足を踏み入れた。


 瓦礫に埋もれるマリン王妃の姿が、俺の脳裏に焼き付く。俺が治療の補助をしても、このままでは後遺症は免れないだろう。そして、ライカの暴走は、**不可逆的な崩壊**を加速させる。


 ライカは絶望の渦に飲まれていた。しかし、俺との会話、そしてマリン王妃の最期の言葉が、彼女の純粋な心に抗う力を残していた。


「大丈夫か?」俺がそっと近づく。


「駄目!まだ抑えられないっ」


「大丈夫、おれは大丈夫だから。目をつぶってマリン王妃の言葉思い出して」


「分かった……」


 幼いときの記憶が、ライカの心を駆け巡る。まだ人を傷つけたことのない純粋な子供だった頃の記憶。友達のおもちゃを直して感謝されたこと。街で見つけたゴミを復活させたこと。


 そして、あの日の記憶。王妃の靴を直した時の記憶。傷ついた小鳥を見たときの悲しい感情。


> 「ライカ……まだこの鳥さんは生きようとしているよ。私たちで看病してあげようよ」


 王妃が羽に傷を負っても飛ぼうと頑張っている鳥を優しく持っているライカに話しかける。ライカは笑顔になり、「うん!**絶対治してあげるっ!**」その感情が奇跡を起こす。傷ついた羽が綺麗に治ったのだ。


> 「ライカすごい!こんなこともできるの?」王妃は笑顔で話す。

>

> 「ううん知らない。でもすっごく嬉しい!」


 その笑顔は、純粋な子供でしかできないような、一点の曇もない綺麗な笑顔だった。


「ルーシュ、私、いっぱい楽しいことあったっ。みんなにすごいねって言われたり、直ると嬉しいんだ。みんなの笑顔が好きなんだっ」


 その言葉を聞くと、俺は躊躇を捨てた。


 俺はライカの暴走する力に、**賢者としての自分の魔力**を同調させ、詠唱した。


> ~~~~~~~~~~~~~~~

>

> **時空のクロノス、我に** **『回帰』** **のことわりを与えよ。**

>

> **《全ては原点オリジンへ》**

>

> ~~~~~~~~~~~~~~~


瞬間、周囲の空間から色が消え、キィィィィィィンという高周波の音とともに、純粋な白銀の空間へと世界が変わった。クロノスの領域だ。



### 賢者と大精霊の対話


> 【またお前か賢者よ】

 空間の中心で、長く美しい銀色の髪を揺らす大精霊クロノスが、**明らかに不機嫌そうに**俺を見つめる。


> 【俺はお前が一番嫌いだ】

 俺は精霊語で即座に答えた。**(この瞬間、俺の表情筋はピクリとも動かない。クロノス相手に感情を出すのは、疲れるだけだと知っている。)**


 《クロノス》。時を司る大精霊だ。俺と契約してくれない大精霊の1人。


> 【お前、俺があの家に来たときに気づいていたよな?】


> 【だから能力を抑えていただろ?お前と関わるのは私も嫌いなんだよ】


> 【俺の修復魔法が効かないって理に干渉しすぎだ。それにでもライカは困っていたぞ】


> **(クロノスは少し目を伏せる。)** 【この家族は髪が綺麗でな。生まれたときに一人になってしまったから気になっていたんだよ。それにお前のような無邪気な笑顔が好きだった】


 クロノスは自慢の髪を見せびらかすように言う。


> 【でもな、私の魔法の使い方を間違えた。せっかく面白いと思った人間だったのに】


> 【珍しいことをするなよ。お前らと話せるのは俺しかいないだろ。だから付いてこいって言ったのに】


> 【なんで私が人間に使えないといけないんだよ?】


> 【こういうことが起きるからだろ?契約しててもなってたと思うが】


> 【時を司る大精霊だぞっ!時間の流れが早いお前たちは嫌いなんだ】


 クロノスはムッとして言った。その子供っぽい反応に、張り詰めていた俺の心が、わずかに緩む。


> 【ごめんって、それに大袈裟なんだよ。寂しがり屋め】


 俺は笑った。


> 【そうそう、その笑顔だ。久しぶりに見た】


 俺自身、賢者となって気を許せる人はいない。でもレオといた時や昔の俺を知っている大精霊たちはとは、こんな風に笑っていたんだな、と思い出す。その一瞬の郷愁が、俺を少しだけ楽にした。


> 【ちょっとイラツイていたのは事実だ。だがお前見てちょっと元気が出たんだ。この娘も良い方に感情が動いていた】



「ライカ、急で悪いが大精霊のクロノスだ。時を司る大精霊、簡単に言うと魔法の原点の一人」


 俺は驚いて動けないライカに話しかける。ライカは俺の**「賢者としての本質」**に触れ、混乱している。


「どういうこと?何を喋ってたの?あんた何者?」**(ライカの声は震えながらも、目の前の異常な光景を理解しようと必死だった。)**


「今はどうでもいい。こいつと話してくれ」


「話すって?」


「翻訳はおれがするよ」


 そう言い、ライカを大精霊の前に連れて行く。


### ライカの真実


 キィィィィィィンという音に包まれ、ライカは何かに吸い込まれるような感覚になった。大精霊クロノスが見ていたライカの過去の光景が、鮮明に頭に浮かぶ。それは、**ライカの母の記憶**。


> 「この娘はライカ……ごめんね、私が弱いばっかりに、一緒にいられなくて」


 クロノスが見ていたライカの母の記憶が流れ込む。**(ライカは、今まで孤独だと思っていた自分の傍に、優しさがあったことを知り、心が震える。)**


> 『なんでこんなに簡単に壊れるのかな?』—割れた食器を見て考えるライカ。

>

> 『直せばいいじゃん』—王妃に言った言葉。

>

> 『うん!絶対治してあげるっ!!』—小鳥にかけた言葉。


「あなた……ずっと傍にいてくれたのねっ」**(涙が頬を伝いながらも、ライカの表情は希望に満ちていく。)**


「何度も何度も感じた温かい力……あなたの優しさが伝わってきていたよ」ライカは涙しながら、過去のことを鮮明に思い出していた。


「それなのにごめんなさい、私、あなたのことを……」些細なことだったが、子供だったライカはそれを抑えきれずに復讐に使ってしまった。強大な力は暴走し、事故を招いた。**(ライカは自分の過ちを、もう誰のせいにもせず、受け止めた。)**


> 【お前その時何していたんだ】


> 【そんな私だっていつも付きっきりなわけないでしょっ】場が悪そうにそっぽ向くクロノス。**(精霊の気まぐれが、人間の悲劇を招く。それが真実だ。)**


> 【お前なぁ】俺は呆れる。**(呆れとともに、俺自身も大精霊の力を制御しきれていないという自覚がよぎる。これは、俺自身への戒めでもあった。)**


 こんな強大な力、間違って使ったらそうなるに決まっている。クロノスの怠慢、ライカの感情、全て悪いことが重なった悲劇だ。


> 【そんで怒ってライカの邪魔してたのか?】


> 【ふんっ、私を誰だと思ってるのよ。こんな失敗、みんなに笑われちゃうでしょ。罰よ、罰っ!】


> **(クロノスは必死に虚勢を張っている。本当に寂しかったのだ。この失敗を誰にも知られたくなかった。)**

【時を司るクセに一番子供なんだから】


「実際、クロノスを呼び寄せたのはお前だ。それが気まぐれだろうがなんだろうが、強大な力をうまく使えないとこういう惨事になる。十分魔法の怖さを知ったよな」**(俺はライカに、魔法の力を使いこなすことの『重さ』を叩き込む。)**


 髪が綺麗、笑顔が好き。これは一つの要素でしかない。大精霊を呼び寄せるのは、それなりの素質、天性的な魔力がないとありえないのも事実。


「ごめんなさい、もっと魔法のこと知りたい。昔は大好きだったからっ!」


 その目には、一点の曇りもなかった。**(絶望を乗り越え、彼女は初めて、純粋な意志で力を求めた。)**


> 【だそうだ】俺はクロノスに向き合い言う。


> 【分かったよ。今回は私の不備もあったことを認める】


> 【ライカ、君との時間は物凄く楽しかった。これからは魔法は良いことに使うんだよ】


> 【ルーシュもこれからはもっと私と遊ぶこと分かったぁ?】


 そう言うとクロノスはライカに力を分け与え、銀色の光となって消えていった。



### 絶対的な修復


「クロノスは時を司るって言っただろ?リック王が言っていた修復魔法、そんなレベルじゃない。**物の時間を操れる。**どういうことかわかるね?治したんじゃない『元に戻したんだ』時空魔法・・・俺も少ししか使えない超級魔法。クロノスは詳細教えてくれないしね。そして崩壊は時を進めまくった物自体の寿命それを一瞬で行える魔法だ」」


 俺はライカの瞳をまっすぐ見つめた。


「**時間への干渉、それがお前の力だ。**」


「……っ」**(ライカの瞳に、強い光が宿る。)**


「そして崩壊は、時を進めまくった、物自体の寿命。それを一瞬で行える魔法だ。分かっているんだろ、この力が強大だったこと。大丈夫、**今ならちゃんと使えるよ**」


 ライカは強く頷いた。


「分かってるっ!みんなごめん!ちゃんと謝ってなかったっ。私がしたこと、みんなに迷惑をかけたこと。あんな事が起きたのに、逃げたことっ!」**(ライカの懺悔が、抑え込んでいた巨大な魔力を解き放つ。)**


 ライカの目から涙が溢れると同時に、彼女の魔力が増幅した。元の世界に戻された俺たちの目の前で、ライカの周りの瓦礫がみるみると孤児院の形へと戻っていく。マリン王妃の傷も、その朽ち果てた瓦礫も、**まるでビデオを巻き戻すように**修復されていく。


 ライカは両手を広げ、悲しみと決意を込めた声を上げた。


**「《リジェネシス・テンポラル》っ!」**


 その強大な魔力は、孤児院だけでなく、街の中心街、そして王国すべてを飲み込むような光となって広がった。


挿絵(By みてみん)

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