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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
4章 ヴァーミリオン王国と呪われし少女

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奮闘ヴァーミリオン・・・沈黙の一閃

### 避難所の攻防と王妃の決意


 王都内部を走っていたルーシュたちは、予想していたよりも被害が少なかったことに違和感を覚えた。侵入した魔物は暴れているようだが、転がっている死体はほとんどが魔物ばかりで、市民の被害は最小限に抑えられているようだった。


「どうなってる?」


 ルーシュは魔力感知を広げ、リリスたちがいるであろう、最も魔力の集中する地点へと急いだ。


「みんな無事か?」ロロが勢いよく、不安を隠さずに尋ねる。


「ルーシュ遅いっ!」リリスが、安堵と苛立ちが入り混じった表情で怒鳴った。


「悪かった。どんな状況?」


 俺たちは一息つきながら、状況を訪ねた。


「わたくしから」王妃マリンが、避難所の奥から凛とした姿で出てくる。


「現在、ほぼ100%の避難が完了しております。逃げ遅れた方々も、ギルドやリリスさんたちが戻ってきてくれたので、なんとかここまで逃げることができました。ほとんどが城内に入れず、ここに避難できております」


 避難所となっていたのは、数百人がひしめく大きな孤児院の建物だった。ここは強固な造りではないため、城壁を破った魔物が大挙して押し寄せれば、簡単に崩壊するだろう。


 ギルドメンバーや王国騎士団たちは、城内の魔物を掃討するために向かい、この孤児院は俺たち学園のメンバーが守っていた。


「そこまで強い魔物ではなかったです。ただ、**数が多くて**」そう言うアーサーは、だいぶ無理をしたのだろう。能力を解放した直後のようで、もう変身はできないとのことだった。


「その分、私はまだまだ行けるからねっ」リリスが自信満々に胸を張る。


「一応、敵のボスのことを考え、リリスさんは温存しました。ルーシュさんが来たならもう大丈夫でしょうが」そう言うヴィニーも、だいぶ魔力を消費したようだった。


「よし、こっからは殲滅戦だ。王国の方は数で勝っているだろうから、侵入した魔物を叩いていくぞ」


「ヴィニー、アーサー、ここからは任せとけ」ロロが頼もしく立ち上がる。


「こんなにめちゃくちゃにして、私怒ってるんだからねっ」リリスも闘志を燃やした。


### 再び呪いの少女


「うわぁ!なんでお前がいるんだよっ」


 奥で騒いでいる声が聞こえた。誰かが罵っている。


「お前が来ていいところじゃないだろ、消えろ!」


 そこに立っていたのは、疲弊した市民たちだった。


「私もなにかできるかなって」その声は弱々しかった。


「また私達の家を壊すつもりなの?」


 その言葉に、ライカは**俯いてしまう**。すると、その足元から、彼女の周囲の物が**煤けた塵**になり始めた。ライカの自責の念が、再び能力を暴走させ始めたのだ。


「きゃぁ!やっぱり呪いに来たのね!」周囲の避難民が悲鳴を上げる。


 これに気づいたルーシュは咄嗟にライカに近づこうとする。しかし、そこに割り込んできたのは、なんと**王妃マリン**だった。


「違うよね。ずっと後悔していたもんね。私たちは知ってるよ。覚えてる?私のヒールが壊れちゃって歩けないってリックに駄々こねてるとき。『直せばいいじゃんって』笑いながら直してくれたよね?とても綺麗に笑う娘だなって、その時私たちはあなたを迎え入れたいって思ったのよね」


 マリン王妃はそう言って、ライカを**強く抱きしめる**。彼女の肌が傷つき、触れている部分のドレスが音を立てて劣化していくのが見えた。


「王妃!」ルーシュは急いで近づく。


「大丈夫。私は知ってるの。この娘が本当はいい子だって」


 しかし、ライカの負の魔力は止まらない。


「もう大丈夫です」


 ルーシュは、魔力で王妃をそっと引き剥がした。マリン王妃の腕には、触れていた場所がひどくただれたような跡が残っていた。


「ヴィニー、応急処置できるかっ?」


「やってみます」ヴィニーは顔を青ざめさせながらも、すぐに王妃の手当を始めた。


 ライカは、王妃に抱きしめられたことで、過去の楽しかった日々を思い出していた。


「ライカはここにいろ」


 ルーシュはライカを建物の隅に座らせた。



### 殲滅戦とロロたちの成長


 俺とロロたちは、残党を狩りに行った。


 王国の方も負傷者は出たようだが、魔物の討伐に成功していた。


「ロロ!」


 声をかけてきたのは、昨日今日と模擬戦をしたヴァーミリオン校と王国ギルドのメンバーたちだった。彼らはロロたちとの模擬戦で学んだ連携と戦術を活かし、苦戦しながらも勝利したことを教えてくれた。


「なんだ、ちゃんと戦えるじゃないか」ロロは嬉しそうだった。


「街の中心街、状況はひどいんだけど、そこにまだ魔物の主力が溜まってる」


「ボスっぽいのもいて、あそこだけはまだ苦戦しているんだ」


「おし、遅れてきた分、良いところは俺達がやってやるか」ロロは息巻く。


「私も本気出しちゃうからねっ。ルーシュ、指示お願いっ」リリスもやる気満々だ。


「よし、これを片付けて終わりにしよう」


「いくぞっ」

「おうっ」

「はいっ」


 俺はロロとリリスの3人で、中心街へ向かった。



### 賢者の怒りと沈黙の斬撃


 中心街にいたボスは、**オルクマンサー**、オーク系の魔術師だった。道理でオーク系の種族が多かったようだ。通常はハイオークが指揮するが、この群れは異様に知力の高いオルクマンサーが仕切っているようだった。


 相当機嫌が悪いみたいだった。最初だけの勢いで次々とやられていく部下たちに、オルクマンサーは**苛立ちをぶつけるように**魔法を放っていた。通常よりも大きい、家ほどもある巨体。これから放たれる魔法は想像以上の威力だろう。


「裏をかいたようだが、俺達の実力を見誤ったな」


 ルーシュはパチンと指を鳴らし、**居合の抜刀術のフリ**と共に、近寄ってきた群れを一掃した。


 ロロとリリスも、一瞬で連携を決め、残りのオークたちを蹴散らしていく。


「この程度の数、問題ない」


 ロロは、使いたくないと言っていた広範囲の**炎魔法**を使う。あたり一面が火の海に変わり、もがくオークたち。リリスがその隙に次々と斬りつける。俺は、ハイカークや上位種を確実に仕留めていった。


 雑魚がリリスに寄っていき、囲まれる。リリスは余裕で凌いでいたが、その時、**巨大な刃のようなもの**が、リリスめがけて飛んできた。


「嘘でしょっ!」


 それはオルクマンサーが放った**風魔法**だった。あの城壁を吹き飛ばしたものだろう。味方がいるにもかかわらず放った魔法は、リリスの予想外だったらしく、ロロが防御魔法を間に合わせたが、それでも大きなダメージを受け、リリスは吹き飛ばされてしまう。


「味方もろとも…なんなんだよこいつ!」ロロがリリスに駆け寄る。


「大丈夫っ、まだやれるっ」立ち上がるリリス。しかし、二人の背筋に、**冷たい氷のような異様な空気**が走った。


「**それは俺が一番嫌いな戦い方だ**」


 ルーシュは静かに、しかし、**底冷えする怒り**を込めて話した。


 前の魔王戦で魔王が行った、仲間もろとも狙ってくる非道な攻撃。そのせいで前勇者レオが負けたと言ってもいい。ルーシュにとって、それは決して許せない戦い方だった。


 ルーシュがパチンと大きな音を立てて指を鳴らす。**ハリボテの刀の「抜きフリ」**と共に放たれた一撃が、オルクマンサーめがけて斬りかかる。向こうも負けじと風魔法で相殺してくる。


「その程度で調子に乗るなよ」


 ルーシュがもう一度指を鳴らすと、**目に終えない速度の斬撃**がオルクマンサーの体を切り刻み始めた。それは**魔法陣が指先に浮かび上がる**、賢者による魔法の斬撃だった。巨体から大量に血を流したオルクマンサーは、どんどんと傷つき、倒れ込む。周囲の魔物も殆ど死んでいた。


「マジで、1人で良いんじゃないのかあいつ……」その光景に、ロロは驚愕した。


「ぐおおおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


 大きな雄叫びと同時に、オルクマンサーから先ほどとは比べられないほどの**強大な魔力**が放出される。威力だけならスザクを超え、この街に甚大な被害及ぼしていただろう。


「俺がいなければな」


 おれは大きく息を吸った。


**(低く、速く、口の中で呟く)**

**"Focus 'Point'.**

**Mark 'Target'.**

**...** **DECAY ABSOLUTE** **...**

(『点』を貫け。 『標的』を刻め。… 《絶望的に崩壊せよ》 )



 敵の大きな魔力の塊に向かって、**ハリボテの刀を使い、居合斬りの動作**を行い、一気に腕を振り抜く。


**『パチンッ』**


 周囲の音に掻き消されない、**綺麗な、しかし異様な音**が響く。敵の攻撃は完全に破壊され、そのままオルクマンサーの半身を持っていった。


 ルーシュがこの斬撃を気に入っているのは、なぜなら**音がない**からだ。


 **静かできれいな沈黙。**


 それが、すべて終わったと教えてくれるからだ。

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