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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
3章 魔王軍進撃と失った英雄

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世界最強の敗北・・・30年前の誓い

### 緊迫する会議室


「全滅……?」


 沈黙の中、最初に口を開いたのはアラバマだった。


「そう聞いております……」


 アラバマの気配に怖気付いたのか、報告者の声が強張る。


「ガル様……」カロライナがガルの方を向く。


「いや。早すぎる。避難誘導も途中だったはずだしあそこには周辺の村の避難地帯となっていたはずだ」ガルが驚きを隠せずに話す。


「まずは偵察部隊出せ。どんな状況で今何が起きているかだ」バージニアが動く。


「こちらも情報を下に作戦を考える」


「地図をもってこい!」「何人動ける?」


 各マスターたちが指示を出し始める。慌ただしい会議室は一層緊張感が生まれた。


(おれはここにいれないな)


 俺は隣の部屋に移動した。


 後をついてきたのはガルだった。


「賢者様申し訳ない。私がいながら……」


「いやいい。戻ってこれただけで十分だ。悪いが勝手に行動するぞ」


「わかっています。くれぐれも無理をなさらないように」


 そういうガルの目は、何か隠しているようにも見えた。


### ロロの焦燥と、王の告白


 学園内。「なんかやばいことになったらしいぞ」廊下から色々な学生の慌てた声が聞こえる。様々な憶測や噂が飛び交い、情報はめちゃくちゃだった。


「賢者様よ。一体どうなってんだ?」寮でロロが話しかけてきた。


「ガルが負けた」おれは振り向きもせず答えた。


「え!!ガル様が?」ロロもヴィニーも流石に驚いたようだった。


「どうすんだよ。この状況」


「一応マスターたちが作戦を考えている。まだ状況も掴めていないのが本音だが」


「何だよ後手後手じゃねぇかよ」ロロが不機嫌そうになる。


 当たり前だ。王がいないとはいえ自分の領地内の街が一つなくなったのだ。被害は尋常じゃない。まだ抱え込むような年齢じゃない。王がいないのが国に大きな影響を与えている。


 ロロはなにか抱え込むように自室にこもってしまった。


「ヴィニー来い」


「え?何でしょうか」


 おれはヴィニーの頭に手を置いた。


「なんとなく状況は把握した。賢者様には少し歴史を話す必要があるようだ」


 喋りだしたのはヴィニーの中に精神を逃がした王だった。


「こんな事になり残念です。歴史とは?」おれが話す。


「世界最強、ガルという男……レイモンドという街がどいうものなのか」


「なにか理由がありそうですね」


 ヴィニー、いや王は椅子に座り話し始めた。


「あれは30年ほど前、ちょうど私が王になった年だった。私は若くして王になった。20歳ときだった。父、先王が病弱だったのもあり。若くして血気盛んだった私は早い目に引き継ぐことを提案した。実質の政治はまだ父がしていたが平和過ぎたこともあり私は簡単に王になれた」


「何百年も人同士の戦争もなくなり、本当に平和な世界が続いていて、外交や色々な文化交流、世界が大きく動き出して魔物も各所でちらほら見られる程度、簡単にギルドに討伐されていた。私は退屈だった。父には政治に参加しろと強く言われていたが私は興味がなかった。王子だった権限をつかいギルドと一緒に討伐メンバーを率いて戦っていた。そんなこともあり呆れた先王は落ち着けば……と王にする案が通ったのだと思う」


「もちろん私はそんなことで政治に参加するつもりもないし王の権限でもっと好き勝手やっていた。これには弟も呆れていたが、まぁそういうところは弟のほうが向いていたし私も雑務は全部弟に投げていた」


(弟というのはアーサーの父親のことだ。5年ほど前に暗殺された)


「ここからが本題だ。当時はまぁ酷かった。前衛の囮、差別、何なら後衛は見ているだけで前衛がやられるのを見て笑っていた。私も剣士のはしくれ、光魔法もあり自分で言うのもあれだがまぁまぁ強かった。王というのもあり私のいる場所でそういうことは起こらなかったのだが、レイモンド……そう今回全滅したと言われる街だ。あそこを拠点に討伐隊を率いて進軍したときのことだった」


「レイモンドという街はそこそこ大きく城主も信頼の置ける者で私は何不自由していなかった。もちろんレイモンドにもギルドがあって多少の魔物の討伐もできる。今回は私の暇つぶしもあってギルドには歓迎されていなかった。そこのギルドマスターをしていたのが当時25歳のガル、そう世界最強の男ガルだった」


「小規模だといえ30人ほどのギルド。300人を超える私たちには足元にも及ばない。それも気に入らないのか、最初はもちろん反発もあった。王族がとか前衛が偉そうにと全く協力的ではなかった。ムカついて首を飛ばそうかと思った日もあった」


(めちゃくちゃだなこの人……)俺は作り笑いで聞いていた。


「とある廃村に群がる魔物の討伐依頼が急遽舞い込んできた。私はその依頼のことは知らなかった。ガルは私に連絡せずに10人で勝手に出ていっていた。それに気づいた私は3日ほど遅れて同じく10人でいくことにした。これがいけなかった。なぜそこで情報を得ようとしなかったのか。3日もかかるような依頼じゃなかった、何も考えなしに遅れをとらまいと飛び出した。焦っていたと言うよりムカついていた私は大失敗した。今までにないほどの劣勢。9人全員を死なせた。大規模な戦争ならともかく簡単だと高をくくっていた依頼でやらかした。魔物は30体ほど。1体だけ強いのがいた。鎧を着た騎士のような出で立ち。見たことがなかった。魔王族だったのか?今では言葉も理解出来ていたのかもしれないと思う」


「一旦逃げ回り森に隠れることができた。小さな洞窟で私は気を失った。何時間寝ていただろう?ふと目を覚ますといい匂いがした。と同時に人の気配を感じ構えた」


「元気なこって」


 笑いながら答えたのはガルだった。


「お前生きて……」


「当たり前だろ? と言いたいが、見たところ同じ境遇らしいな」また笑って話す。


「同じってお前も一人か?」


 ガルは強かった。当時から最強と言われていた。田舎者と言われレイモンドから離れなかったこともあり噂だけだと思っていたが。


「言っとくけどな。30体どころじゃなかったんだぜ。あいつら連携するわ、分断させてくるわ、こっちもお手上げ、仲間全員失って俺もこのザマよ」にこやかに話すが目は笑ってなかった。


「まぁお前がここまで馬鹿だったとは、ちょっと残念だわ」計画もなしに飛び出したことを言っているらしい。


「お前も勝手に出ていっただろ」俺も反発した。


「なぁ知ってるか?昔は前衛と後衛は仲良く戦っていたんだとさ」


「知っているも何も俺は賢者の書いた戦術書が一番好きだよ」


「おっそうか?何だ、あんなの読むやつ俺だけだと思っていたよ」目も笑って嬉しそうに話すガル。


「245ページ 戦略ベース第85章……」ガルに続けて、


「少人数における強敵への対処……」私が言った。


「お前すごいなぁ」


「お前も覚えてるじゃねぇか、まぁまぁ無理難題案件だぜあれ」


「「しかも2人」」


 同時に喋ると向かい合いお互いに笑う。


「噂じゃ魔王討伐したとき勇者と賢者2人で魔王軍に突っ込んだらしいぜ。すごいと思わねぇか?勇者が囮役じゃなく賢者が勇者の背中守るんだぜ。おれはこれ聞いたとき、こんな世界が存在していたことにすごくワクワクしたんだ」


「後衛を守る立ち回る前衛、前衛をサポートする後衛。1つでも噛み合わなかったら終わり極限の状況。でもそれをやり遂げた。勇者と賢者。この2人には何があったんだろう?そう思わねぇか。これだけがどんなに書物を読み漁ってもわからない。この一瞬がおれは欲しい」


「おれたちはこの状況が最悪だとしても、なんとか抜け出せる方法を話し合った。敵の分析、お互い何ができるのか。全部出しきった。短い時間だった。おれがレイモンドに来て1月、ガルとは何度もいがみ合った。お互いがライバルのように。一晩で考えた、あの魔物を倒す方法」


 当時を振り返る王様。


 俺は話を聞きながら1500年前、いや転生する前たった45年前のレオのことを思い出していた。


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