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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
10章 王【聖域】と魔王【混沌】

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【聖域】・・・大精霊

 翌朝。

 宿舎の食堂に、今回のメンバーを集めた。

 ヴィニーは、昨夜倒れたことなんて忘れたみたいに、ぼーっとスープを飲んでいる。


「……ルーシュ、急にどうしたんだ?」


 ロロがパンを片手に、不思議そうに聞いてくる。

 昨夜、ヴィニーの体を借りて王が語りかけてきた事実は、こいつらにはまだ伏せておくべきだろう。


「詳細は話せないが、魔王絡みの事態だと思っている」


 俺の言葉に、食堂の空気が一瞬で凍りついた。


「えっ!? ま、魔王……?」

 ロロが絶句する。


「今回は、その情報を得るために『聖域』に行く。そのためのメンバーだ」


 俺がそう告げると、ロロの顔色がさっと変わった。

「『聖域』? ……なんだ、それは?」


「……は? ちょっと待って、あんた王族でしょ?なんで自分の国の伝説を知らないのよ!」

 今回呼んだエルフの王女、セレスティアが椅子を鳴らして立ち上がった。


「声がでかいんだよ!バレるだろ」

 ロロが不機嫌そうに返す。


「すいませんセレスティアさん、ロロ様はそういう方面に少し疎いお方でして」

 ヴィニーが苦笑いしながらフォローに入る。

「ロロ様、『聖域』とは選ばれた王のみが行けると言われている伝説の場所ですよ」


「……あ、なんか聞いたことあるな。セレスティアは詳しいのか?」


「私より、兄様のほうが詳しいわよ?」

 一緒に学園に鍛えルフィのことを言う。


「エルフィが依頼で戻れないらしくてな。でもあいつがお前の方が適任だって言ってたぞ?」


「……なんでだろ? 私、そんなに光魔法が得意ってわけでも……」

 セレスティア本人は、まだピンときていないようだった。


「その『聖域』に行くとして……おい、隣で本を読んでるこのオコチャマは何だ?」

 ロロが、隣で無心に頁をめくる少年に目をやる。


 テオが顔を上げた。

「……知らないよ」

 城塞都市ピューターの街で、無意識に超級魔法の産物である神器を造り上げた8歳の少年。


「テオは……ぶっちゃけるが、『大精霊の加護』持ちだ」

 精霊の件はこれまで伏せていたが、このメンバーなら隠し通すのは無理だろう。


「なっ……大精霊の加護!? お前、まだ何か隠してるな!」

 ロロたちが驚愕して俺を睨む。


「リザードの里で、あの魔族の術式を消したのも……」

 セレスティアも、これまでの俺の不自然な強さを思い返して詰め寄ってくる。


「これもぶっちゃけるが、大精霊は俺にしか呼び出せない。召喚とは違って、色々面倒なんだ。……昔、ヴァーミリオンの帰りに話したよな。こいつらを大人しくさせた男がいたって」


 俺は、以前ロロたちに聞かせた「伝説の男」の話を思い出させた。


「あの超級魔法の話……? ……やっぱり、あれもお前だったのか。妙に誤魔化しやがってとは思ってたんだよ」

 ロロが呆れたように溜息を吐く。


「……まぁ簡単に言えば、今の時代でまともに使えるのは俺含めて2人だけだ。現代のエルフが使う時空魔法なんてのは、初級魔法に過ぎないんだ」


 俺の言葉に、テオの顔が微かに曇った。

 ピューターで彼らに立ちふさがった男【魔導の王冠(アルカナクラウン)】マティアスの影を感じ取ったのかもしれない。


「だが、現代にも例外的に使える者がいる。『大精霊』に気に入られて加護を受けているパターンだ。テオみたいに自覚がある場合もあれば、ライカみたいに自分でも気づいていない場合もある。二人とも、経験を積めばとんでもない魔術師になるだろうな」


「ライカも加護持ち……。道理であいつ、おかしな奴だと思ってたよ」

 ロロが納得したように頷く。


「ロロ様、失礼ですよ」

 ヴィニーが静かに窘める。


「加護があれば、自分の魔力を根本から書き換えられる。だから超級魔法に手が届くんだ。王族が光の性質を持っていて、光魔法が得意なのと同じ理屈だな」


 俺は、大精霊の力を噛み砕いて説明した。


「今回はこのメンバーで行く。はっきり言って『聖域』は面倒な場所だ。俺一人で行くより、王族のロロとセレスティアがいる方が、門をくぐるのは早い」


 エルフィがいない分、セレスティアが「自分がやらなきゃ」と、気合の入った顔で杖を握りしめる。


「……でも、おれ、光魔法なんて使えないぞ」

 ロロが嫌そうに肩をすくめた。


 いつものやる気のない態度を見て、俺は最後のカードを切る決心をする。


「魔王絡みだと言ったが、国王陛下も絡んでいる。……だからこそ、『聖域』なんだ」


「……っ! お前、そんな大事なことを今まで隠してたのか!」

 ロロが勢いよく立ち上がった。その瞳には、今までにない真剣な怒りが宿っている。


「そういう調子のいいのが、お前の駄目なところだ。気を引き締めろ」


「うるせぇ! ……さっさと行くぞ!」

 ロロは怒りに任せて、足早に食堂を出て行った。


 ――この時、俺は正直に伝えたことを後悔するとは思わなかった。


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