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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
9章 入学式と他種族

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鱗の英雄・・・世界を巻込む学園

案内された先では、リザードマンの王が、負傷した戦士たちの手当を自ら行っていた。

 魔族の軍勢に攻め込まれ、防戦一方でほとほと困り果てていた……そんな重苦しい空気が、王国全体から漂っている。


「……助かった、旅の者よ。貴殿らが来なければ、この森の半分は灰になっていたところだ。聞けば……賢者だと」

王の視線が、おれに向けられる。その瞳には、感謝とともに、計り知れない存在への畏敬が込められていた。


「はい、人間側では一部の者を除き、賢者という身分は隠していますが。改めて魔王討伐の際の手助けを申し込むとともに、戦力の拡大、そして他種族間の仲を取り繕うつもりで伺いました」


おれが差し出した「学園への招待状」を、リザードマンの王は大きな手で受け取った。震える手でそれを広げ、感銘を受けたように大きく頷く。


「1500年……になるのか。我らは寿命が長いと言っても人間の倍程度。この年月の重みが、どれほど貴方に苦労を強いたのか、計り知れん」


「そうでもないですよ。1500年経っても、おれのほうが誰よりも強いみたいなので」


おれはフッと笑みを浮かべる。その余裕の態度、そして先程の魔族を一掃した圧倒的な力は、周囲のリザードマンたちにとって、何よりも強烈な「威圧」として映っていた。彼らの本能が、おれを「上位存在」だと認識し、畏怖しているのがわかる。


「そうか……。恩人の頼みだ。それに、魔王の脅威を肌で感じた今、若者に外の世界を学ばせる重要性は痛いほどわかる……。ザルガ、お前が若いやつを4人連れて行け。こっちはなんとかする」


「ハッ! 謹んでお受けいたします!」

王の言葉に、一人の若いリザードマンが進み出た。ザルガは力強く拳を胸に当て、おれに向かって深々と跪く。

 ドワーフの時の二日酔い騒動とは違い、こちらは至極真っ当な「恩義」と「実力」への敬意による快諾だった。


「ザルガは20歳にして副騎士団長だ。わしの倅ということもあり特別だが、絶対に後悔はさせない実力を持っておる」

王の自慢げな言葉に、おれは頷く。


「いえ、あの戦いを見れば十分です。おれが知っているかつてのリザードマンの英雄にも劣らない実力があることは分かります」

劣勢にあっても果敢に敵陣へ切り込む姿は、士気を高める英雄として申し分ないものだった。


 こうして、エルフ、ドワーフ、そしてリザードマン。

 想定していた全ての種族から、「最強の五人」ずつの派遣を取り付けることに成功した。


「……これで、準備は整ったな」


おれは、遠く王都の方向を見据える。

 エルフ、ドワーフ、リザードマン……多種族が入り乱れる前代未聞の入学式。

 保守的な魔法至上主義者たちが待ち構える学園に、おれは史上最強の「問題児軍団」を引き連れて乗り込むことになるのだ。


「いいかお前ら、まず敬語はなしだ。学園では同じ学生、おれは17歳だからな。……あと、決闘できると言ったのは嘘だ。むやみに拳を振るうなよ」

それを聞いたバルカスが、「話が違う!」と突っかかってきたが、おれは軽くあしらう。


「徐々にお前たちの実力を人間に認めさせ、協力関係のハシゴを築く。それが、来たるべき魔王討伐への備えとなる。……1500年前は戦場だらけだったが、今の平和ボケした世の中で、お前たちの腕は鈍ってないだろうな?」

おれはみんなに目的を伝え、歩き出す。


「楽しそうな時間になるな」

エルフィは静かに、だが瞳に期待を宿して言う。


「おれより強い奴らが居るのか不安だが……暴れていい時は、とことん()るぞ」

バルカスも、不満を抱えつつも、戦いへの渇望を隠さない。


「ただ暴れてるだけだろ、脳筋が。おれのほうが早く、確実にリザードマンという存在を世に知らしめてやる」

攻撃的な種族の副団長であるザルガも、人間との戦いには興味があるようだ。


「まって……こんな化け物たちと学ぶとか無理よ。ルーシュ、なんとかしなさい!」

セレスティアだけは、不安しか無いようで、おれの袖を引っ張る。


「まてまて。最初はおとなしくしてろよ。仲良くするために行くんだからな」

おれはそう言って、彼らを牽制した。……はずだった。


_______________________________


「……ちゃんと牽制をしたんだよ、おれは。まさか、初日からあんな喧嘩を売るとは思ってなかったんだ」


おれは昔話を終え、頭を抱えて目の前のメンバーに訴えた。


「売られたのよ。一方的にね」

フンッ、とセレスティアはそっけなく言う。


「いいじゃないか、こうなったものは仕方ない。これで、我らをバカにしてくる連中はいないだろうよ」

ザルガが、勝ち誇ったように言う。


「次はいつ戦えるんだ? 人間はこんなもんじゃないだろ? もっと強い奴はいないのか?」

バルカスが、物足りなそうに聞いてくる。


「いや……こんな奴らに勝てる人間、本当にいるのか?」

ロロは、信じられないものを見る目でヴィニーに問いかける。


「お、おそらく……本当にトップクラスじゃないですか……?」

ヴィニーが、引きつった笑いで答える。


「そうだろうな。各国の次世代を担うメンバーだ。おれが選んだんだ、これくらいじゃないと話にならんよ」


おれはコイツらの評価は元々高い。


「今後の活躍に期待だな」


彼らは期待通り、実戦形式の任務も次々とこなし、後衛の多い人間と前衛の多い他種族の連携、そして何より前衛の必要性を、おれと同じように周囲に広めてくれた。

去年の最初、おれがスザクたちと戦った時期よりも、彼らの戦い方はずっと様になってきている。


その裏で。


神器を追っている【魔導の王冠(アルカナ・クラウン)】。

そして、着々と力をつけ目覚めようとしている【魔王】。


その脅威が、すぐそこまで迫っていることも知らずに――。


9章 ~完~



第9章、ここまで読んでいただきありがとうございます。


エルフ、ドワーフ、そしてリザードマン。

それぞれの種族との繋がりが形になり、「問題児軍団」がついに揃いました。


正直、この章は“準備”の意味合いが強いパートでしたが、

その分、ここから一気に物語が動いていきます。


学園という閉じた環境に、異質な存在たちが入り込むことで何が起こるのか。

そしてその裏で進む、もう一つの脅威――。


次章では、これまでとは少し違った形での衝突や、

新たな敵の気配も見えてくると思います。


引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです。


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