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双子の赤い糸  作者: 黒猫キッド
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7/12

7・香織の想い

 7・香織の想い


 やがて今日の授業は全て終わり、香織は帰りの支度をしていた。

「香織」

 その時、前に居た香音が話しかけてきた。

「何? 香音お姉ちゃん」

「実は急に今日、各クラスのクラス委員が集まって会議をする事になったの! 多分遅くなると思うから、夕ご飯の買い物お願いして良い?」

「勿論だよ! 僕にまかせて!」

「ありがとう♪ じゃあお願いね♪」

と言って香音は、カバンを持って教室から出て行った。


※           ※


「さぁてと・・・先ずはルーとお肉と人参と・・・それと玉葱とジャガイモだね!」

 香織は上野駅近くのスーパーに辿り着くと、籠を持ちながら、買う物を想定した。4時近く為か、スーパーの中はかなり混んでいた。

 野菜のコーナーに着くと、香織は目当ての野菜を見つけると、次々と籠に入れた。

「あとはお肉とルーだね」

 野菜コーナーから肉のコーナーまで近かったので、香織は肉のコーナーに向かった。肉のコーナーに着いた時、一人の人物を見つけた。

「あっ、真由!:

「香織!?」

 其処に居たのは、和馬と恋人になった真由であった。

「買い物?」

 真由が訪ねてきた。

「うん、そうだよ」

「香音は? どっかに居るの?」

「お姉ちゃんは、クラス委員の会議で、まだ学校。それで僕一人で、夕ご飯の買い物をしているの・・・真由は?」

「私も買い物! 今日和馬の所に行くから・・・」

「あ~・・・そういえば真由も和馬と同じで一人暮らしだったね」

 香織は以前、真由から一人暮らしをしている事を聞いた事があったのだ。

「展開が速いね・・・恋仲になって直ぐ、相手の家に行くなんて・・・」

「別に良いでしょ・・・そういえばさぁ、アンタ私が『シスコン』って言っても怒らないよね? 何で?」

「?・・・・何でって、真由は僕がシスコンって気づいているんじゃないの?」

「えっ!? アンタ本当に、シスコンだったの!?」

 真由は驚いた様に言った。どうやら本気で言っていた訳ではなかった様だ。真由は大きな声であったが、幸いにも周りに人には気付かれていなかった。

「別に驚く事じゃ・・・今までシスコンって言ってたんだから・・・(苦笑)」

 香織は苦笑い気味に言った。

「それもそうね・・・・・じゃあ私は行くから、香音にも宜しくね♪」

 そう言うと、真由は人ごみの中に消えていった。


※           ※


 やがて買い物が終わると、香織は自宅に向かう為、上野公園を抜けていた。

「香織ク~ン!!!」

と、香音の声がした。香織は振り返ると、香音が走ってきた。

「あっ、お姉ちゃん! 会議は終わったの?」

 香音は香織の前まで来て・・・

「そうだよ・・・ハア・・・・予想より早く終わったから・・・ハアハア・・・香織クンが此処に居る気がして・・・走ってきたんだ・・・」

と、息を切らせながら、香音は香織に言った。

「大丈夫?」

 香織が心配そうに尋ねる。香音は息を整いて言った。

「うん大丈夫だよ! もう買い物は終わったんだね・・・そうだ! 香織クン、ちょっと来て!」

「えっ? えっ?」

 香音は、買い物袋を持った香織の手を掴むと、何処かに向かって走り出した。


※              ※


 二人がやって来たのは、弁天堂が見える不忍池の一角だった。夕方の為か殆ど人は居らず、香音と香織が居る所には、二人以外人は居なかった。

「懐かしいね♪ 子供の頃は、良く此処で遊んだね♪」

と、池の縁の柵に寄り掛かりながら、香音は香織に言った。香織はその横に並び、香音に尋ねる。

「懐かしいけど、どうして今此処に?」

「ん~・・・何となくかな♪」


 ガクッ


 その言葉を聞いて、香織はガクッとなった。もっと深い理由があるのかという考えが、僅かながらにあった為に、力の抜ける衝撃は大きかった。

「香織クン!」

「!?」

と、突然真剣な口調で、香音が尋ねてきた。香織は香音の顔を見ると、その顔も真剣な表情だった。

「お姉ちゃんの事・・・好き?」

「・・・・・好きだよ・・・だって僕のお姉ちゃんだもん」

と、香音の唐突な質問に、香織は冷静に返した。答えは勿論『好き』、ただ此れは表面上は『姉として好き』だが、実際は『香音という一人の女性が好き』である。しかし香織は、その事を伝えれば、『姉は間違いなく自分を嫌う』という予想がある為、あえて『お姉ちゃん』という単語を追加したのだ。

 香音はその言葉を聞くと、軽く俯いてから、香織の顔を見た。その表情は何時もの香織であった。

「そっか良かった♪・・・私も香織クンの事は好きだよ♪ もう帰ろうか!」

 そう言うと香音は、柵から離れて歩き出した。香織もその後を追った。香音の言った、『私も香織クンの事が好き』という言葉を気にしながら・・・。


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