二十七
家でわずか三日間、謹慎していただけで、范琼は拘束され、紹興府大理寺に収監されて裁きを待つ身となった。
「范琼は罪に問われるのかな? もし有罪になったら、罪の性質や重さはどの程度になる?」
韋小宝は養父の秦桧に尋ねた。
「本来なら、范琼の事件は枢密院か大理寺が審理すればよく、皇帝が口を出す必要はない。だが、御史台の全官員が一斉に范琼を弾劾するというのは極めて異例だ。だから今回の事件は格上げされ、『詔獄』となった」
秦桧は韋小宝に説明した。
「詔獄は、その過程で皇上が直接目を通さねばならず、最終的な判決も皇上自身が決める」
十夜連続で、趙構は大臣たちを御書房に呼び、詔獄の細部について協議した。
秦桧によれば、三省六部の有力者たちは皆、范琼に罪があると考えており、そのうえ「昔の罪も新たにまとめて清算すべきだ」と主張していた。
張邦昌が皇帝だった時、范琼は兵を率いて張邦昌を支持した――この件については、かつて趙構自身が追及しないとの詔を出していた。
范琼は戦場で何度も敵前逃亡し、軍法を犯している。
さらに、范琼は反乱勢力の苗傅や劉正彦に取り入っていた……。
「祖訓にもある。『大臣を殺してはならぬ』」
詔獄の協議中、趙構はしばしばこの言葉を口にしていた。
「皇上は殺す気になったな」
秦桧はそう分析した。
「范琼を殺すかどうかなんて、どうでもいいさ」
韋小宝は養父に言った。
「范琼なんて小物だよ。大宋には、今はまだ正式に舞台へ登場していない、とんでもない人物が一人いるんだ」
「誰だ?」
秦桧が尋ねた。
「俺の幼なじみ」
韋小宝は言った。
「岳飛、岳鵬挙だ」
秦桧は笑っただけで、何も言わなかった。
どうやら、韋小宝が冗談半分に口にしただけだと思っているらしい。
韋小宝は趙構に拝謁し、京官の職を辞したいと願い出た。
趙構は上の空で、あっさり辞職を許した。
韋小宝が立ち去ろうとしたところ、趙構が尋ねた。
「お前は范琼と接したことがあるな。あの男をどう思う?」
韋小宝は考え込むふりをし、しばらく黙った後、答えた。
「靖康の乱の時、金人は民衆を騒がせないという理由で汴梁の内城には入らなかった。それなのに范琼は太上皇と、あなたの兄上である趙桓に宮門を開けさせ、城外へ出て投降するよう迫った。その後、金軍が北へ帰還した際、太上皇を護送したのも范琼です」
「当時は誰もが自分の身を守るので精一杯だった。金軍の威勢に脅され、范琼もやむを得ずそうしたのだ。范琼がやらなければ、別の誰かがやっただろう」
趙構は言った。
「皇上、それならご存じですか? 二人の皇帝を城外へ護送した時、范琼は太上皇の歩みが遅いのを嫌がって、太上皇を思いきり蹴飛ばしたんですよ」
趙構は目を見開いた。
「そんなことがあったのか?」
「臣がこの目で見ました。その一蹴りは太上皇の右の尻に入り、太上皇は危うく地面に転がりそうになりました」
韋小宝は言った。
趙構の眉間には、今にも結び目ができそうなほど深い皺が寄った。
韋小宝は空気を読んで、辞去した。
城を出て岳飛を訪ねることになったその日、韋小宝は騾馬に乗っていた。
その途中、城壁に貼られた最新の告示が目に入った。
そこにはこう記されていた。
「荊湖北路制置使、慶遠軍節度使范琼、大理寺にて罪を認め、斬刑に処す」
江陰県城外の兵営で、韋小宝は幼なじみに尋ねた。
「金軍の『山を捜し海を探る』作戦はもう終わった。大斉が建国されたばかりで、南へ攻め込んでくる可能性も低い。江陰には戦もない。岳飛、お前はいったいいつまで江陰にいるつもりだ?」
「毎日酒ばかり飲んで、腐ったような暮らしをしている。そんなことをしていたら、せっかくの大志まで磨り減っちまうぞ」
「小宝、この世で俺がうまくいってほしいと心から願ってくれているのは、母上とお前くらいだ。だが……」
岳飛は言った。
「泰州の戦では、俺は戦わずに逃げた。今は罪を背負った身だ。朝廷から正式な処罰が下るのを待つ以外、何もできない」
「鵬挙よ、鵬挙。お前のどこが一番嫌いか分かるか?」
韋小宝は一字一字、言い聞かせるように言った。
「俺が一番嫌いなのは――自分を卑下することだ」
「何を卑下するって?」
「鵬挙、お前が『罪を背負った』のは今回が初めてじゃないだろ。王彦の部下だった時、お前は二度も敵前逃亡したじゃないか。忘れたのか?」
「小宝、あれはお前が逃げろと言ったから逃げたんだ」
岳飛は言った。
「それに『青山を残しておけば、薪がなくなる心配はない』とか言ってたじゃないか」
「俺の言ったことは間違ってないだろ。金兵に出くわして逃げなかったら、お前はとっくに死んでる」
韋小宝は手を振って、自分がたった今放ったすかしっ屁を追い払った。
「大事なのは今だ。お前は今や百人あまりを率いる七品の武将だ。官位は低いとはいえ……いいか、俺を信じろ、鵬挙。自分自身を信じろ――いつか必ず、後世の誰もが宋国に岳飛という人物がいたことを知るようになる」
韋小宝は頭をぐっと近づけ、岳飛と鼻先を突き合わせ、目と目を合わせた。
「俺について言え」
韋小宝は言った。
「俺は自分を信じる。俺は必ず頭角を現す!」
「俺は自分を信じる。俺は必ず頭角を現す!」
岳飛に「自分を信じる」という言葉を五回言わせてから、韋小宝はようやく向かいの藤椅子に腰を下ろし、紹興府で見聞きしたことを詳しく話した。
「朝廷は急いで賊を平定しようとしている。賊を討てる奴には、誰であろうと昇進させるつもりだ。鵬挙、好機を逃すなよ」
韋小宝にさんざん煽られ、岳飛も心を動かされた。
副官の張憲、王貴ら百人あまりの兵を率いて、荊湖南路と江南西路一帯に駐屯する神武右軍都統制・張俊のもとへ身を寄せることにした。
旅の途中、岳飛は韋小宝に自分の命運について尋ねた。
韋小宝は話をそらした。
「それより宇宙について話そうぜ――『上下四方を宇と曰い、往古来今を宙と曰う』っていう、あの宇宙だ」
「鵬挙、お前の未来は宇宙と運命を共にしているんだ。もしお前が、本来登るべき地位まで登れず、本来得るべき功績を得られなかったなら、俺たちがいるこの宇宙の時間軸が、予定どおりに進んでいないってことになる――まあ、俺はそう理解してる」
全軍が淮南路と江南西路の境まで進んだところで、乾粮が底をついた。
幸い、江南西路は丘陵が多く、至るところに密林がある。空を飛ぶ鳥、地を走る獣は数え切れないほどいた。
岳飛は命じた。
全軍を三組に分け、山へ入って鳥や野獣を狩り、飢えをしのぐことにした。
韋小宝は野鶏を捕まえたり、鳩を射たりする組に回された。
彼は弓矢など触ったこともない。
試しに二本射ってみたが、野鶏には当たらなかったばかりか、竹矢がどこへ飛んでいったのかさえ見えなかった。
組長の韓順夫は韋小宝が矢を無駄にしたことを責め、もう射るなと命じた。
同じ組の兵士――岳飛の叔父――が言った。
「韋相公、弓矢なんて簡単なもんですよ。コツは弓を持つ手に力を入れすぎないこと。よく見ていてください――」
岳飛の叔父が弓を引き絞る。
放たれた羽箭が、ヒュッと音を立てて韋小宝の頭上をかすめた。
韋小宝は顔面蒼白になった。
今にも怒鳴り散らそうとしたその時、遠くの草むらから一頭の白馬が飛び出してきた。
白馬にまたがった岳飛が、鞍から羽箭を抜き取ると、叔父の顔めがけて投げつけた。
「甥っ子の命が惜しくないのか?」
岳飛はぶっきらぼうに言った。
「叔父上、いやあ、実に見事な一矢だったな」
「わざとじゃない……へへ……草むらにお前がいるとは思わなかった」
「姚相公、お前さんは『岳元帥をうっかり射ってしまった』と言ってるのか、それとも『岳元帥をうっかり射損ねた』と言ってるのか?」
韓順夫がからかった。
周囲の兵士たちがどっと笑った。
韓順夫はますます得意になり、顎を上げて岳飛を見た。
「さっき叔父上が言ってたぞ。俺が岳飛と母親を援助してやらなかったら、今のお前はないんだってな」
岳飛の叔父は片手を腰に当てた。
「俺が何か間違ったことを言ったか? 俺があの母子を養ってやらなかったら……」
叔父は韓順夫を見た。
「お前だって、俺の甥っ子の下で飯を食わせてもらえているんだ。俺に感謝すべきじゃないのか? お前はもともと豚殺しだった。それが昔、岳飛に恩を施したからこそ、今では副将にまでなれたんだろう?」
岳飛は馬を下りた。
「叔父上、何をでたらめ言ってるんですか――こんな大勢の前で」
岳飛の叔父は振り返り、真正面から岳飛を見据えた。
「何だ、その口の利き方は! 誰に向かってそんな態度を取っている? 俺をお前の部下だとでも思っているのか? 俺はお前の叔父だ!」
「人は『長兄を父のごとく』と言う。俺はお前の叔父として、お前を苦労して育ててやったんだ。たとえ俺がお前に跪いて頭を下げろと言ったって、お前には文句を言う資格はない」
「跪けって?」
岳飛は冷笑した。
「それがどうした?」
岳飛の叔父は言った。
「俺がお前に食わせ、着せ、苦労して育ててやったんだ。叔父に一度頭を下げるくらい、何が悪い?」
「お前の親父は早くに死んだ。もし俺が慈悲をかけて、食い物を切り詰めてお前とお前の母親に分けてやらなかったら、お前は――」
岳飛は大股で叔父の横まで歩いた。
その手には、いつの間にかきらりと光る短刀が握られていた。
誰も反応する暇がなかった。
握った刀を前へ突き出す。
白刃が入り、赤い刃が出た。
叔父は酔っ払ったようによろめきながら数歩後ずさりし、そのまま力なく地面に倒れた。
岳飛は腰をかがめ、逆手に持ち替えた刀を叔父の左胸に突き立てた。
刀身が胸の中で何度も動いた。
二度、三度。
岳飛は短刀を投げ捨てると、腕を高く掲げた。
そこには、たった今叔父の胸からえぐり出した心臓があった。
岳飛は血まみれの心臓を王貴に投げ渡した。
王貴は手足をばたつかせ、まるで焼けた石をつかまされたように狼狽した。
支えきれず、心臓を地面に落としてしまう。
砂埃が舞い上がった。
地面に落ちた心臓は、膨らんだり縮んだりしながら、なおも脈打っていた。
岳飛は副官の張憲に命じた。
「この黒い心臓を切り刻め」
張憲は脈打つ心臓をじっと見つめたまま、なかなか手を出さなかった。
「張憲、俺はお前に言っている!」
岳飛が怒鳴った。
「こいつと同じ目に遭いたいのか? 俺の言葉は軍令だ! 大宋の律令にもある。軍令に従わぬ者は斬る!」
張憲は砂や小石の付いた心臓を拾い上げ、手に取ると、一刀一刀、切り刻んでいった。
岳飛は兵士たちを叱りつけた。
「俺がいなくなったら、お前らはいったい何者だ?!」
「これから俺の前で刀を振り回す奴がいたら――たとえうっかり俺を傷つけただけでも……」
岳飛は、心臓をえぐり出された死体を指差した。
「こいつがその末路だ」
「俺は千古に名を残す男になる――」
岳飛は韋小宝をちらりと見た。
韋小宝は目をそらし、視線を合わせようとしなかった。
「俺は後世まで名を残すんだ。お前らなんぞに、そう簡単に殺されてたまるか」
岳飛は兵士たちに穴を掘らせ、死体を埋めさせた。
そのまま一行を率いて南へ向かい、十日あまり騎行して洪州城外の軍営に到着した。
そこで、ようやく張俊と対面した。
張俊は、投じてきた岳飛一行に対して、かなり冷淡な態度だった。
岳飛は言った。
「将軍のお顔を見るに、何やらお悩みがおありのようです。もしよろしければ、私めにお聞かせください。お役に立てることがあるなら、岳某、力の限り尽くし、死ぬまでお仕えいたします」
「お前みたいな七品の小役人に、何ができるっていうんだ」
張俊は吐き捨てた。
「将軍は、反賊曹成の討伐についてお悩みなのでは?」
岳飛が尋ねた。
「そうとも言えるし、そうでないとも言える」
張俊は言った。
「曹成は必ず討たねばならん。だが、その前に張用を片付ける必要がある」
「私は張用と付き合いがあります」
「ほう?」
岳飛は、王善と張用が汴梁で土地を占拠し、王を名乗った昔の話をゆっくりと語った。
張俊は少し苛立った様子だった。
「杜充が金国に寝返って投降してから、張用も山賊に身を落とし、朝廷に楯突くようになった」
「一度招安されたことがあるなら、二度目も可能です」
岳飛は言った。
「張用宛てに帰順を勧める書を書いて、試してみましょう。彼は私と同郷です。私は彼のことを少し知っています。あの男は官位に目がない。功名や爵位を餌にすれば、食いつかないはずがありません」
一か月後。
張用は五万の兵を率いて張俊の軍営にやって来て、招安を受け入れた。
張俊は大喜びし、何度も岳飛を褒めた。
岳飛は張俊に、張用の軍から一万の兵を割いて自分の指揮下に置いてほしいと願い出た。
張俊はあっさり承諾した。
張俊は張用に尋ねた。
「お前には九万の兵がいると聞いていた。なぜ今日は五万しかいない?」
「張将軍、隠しても仕方がありません」
張用は答えた。
「帰順する前に、部下たちに自分で選ばせました。私について張将軍のもとへ投じたい者は残る。嫌な者は、別れの手当を受け取って自分で好きなところへ行く。出ていった四万余りのうち、韓世忠のもとへ投じた者もいれば、曹成のもとへ投じた者もいます」
張俊は顔を曇らせた。
「まったく、お前という奴は……」
そして叱った。
「韓世忠のもとへ行ったというなら、まあいい。韓世忠の兵が増えて、こちらの兵が減ったとしても、朝廷全体の兵力は増えたことになる。だが、どうして自分の兵を反賊の曹成のところへ行かせるんだ?」
「官家がこのことを知ったら、怒りで飛び上がるぞ」
「張用、これから何かする時は、まず私に報告しろ」
「張将軍のご指導、肝に銘じます」
張用が答えた。
張俊の表情がようやく和らいだ。
「教え甲斐のある奴だ。お前はどんな官職に就きたい? 遠慮なく言え。私が奏札を書いて、官家に頼んでやろう」




