運命の人…?
街の光を通り抜け、真っ暗闇の森の上が遥か下に見える。ふわふわの羽根は、意外にもつかまりやすく、体重を支えやすい。
「ほんとすごいわね、エールありがとう
うれしいわ」
羽根を撫でながら言うと、エールは嬉しそうだ。
わたしは今、エールの背中に乗って舞踏会へ向かっている。
「あら、あそこかしら」
上空から見ても大きな屋敷だった。
周囲に他の建物がないので、灯がより明るく感じられる。
パサァーー
と降りる。さっきまでとちがい、目の前で屋敷の大きさを感じて目が眩む。
ついに来たんだ。わたし
「さっそく行こうよ〜」
元のサイズに戻ったエールもうれしそうに言った。
シャンデリアがフロアを照らし
そのきらめきは会場全体を輝かせる。
手にはグラスをもって人混みのなか歩いている。
みんな綺麗な人ばかり。
あ、あの人は、隣の国のお姫様だわ。
その隣は有名な騎士様。
他にもたくさんの有名人がいる。
ドンッ
「すみません、大丈夫ですか」
人とぶつかってしまった。
いけないいけない、
あの3人にバレたら私は終わる。
「こちらこそすみません。私は大丈夫です。
そちらこそ大丈夫ですか」
栗色の瞳と、パールのように輝く髪。
この人は確か、王子直属の騎士…!
魔法特訓している数日間、エールに課された課題は他にもあり、それはこの世界の著名人物の名前と顔を覚えることだった。あまりにも人が多すぎたので、この国だけ頑張って覚えたのだった。
確かに、本にこの人いたような…?
「失礼いたしますが、お初にお目にかかります。
私、パラダンと申します。
ドレス、とてもお似合いですね」
見た人すべてを魅了するような笑顔だった。
めちゃくちゃ恥ずかしい!!
36年間、まともに男性に褒められたことがなかったから、うれしさもある。
「あ、ありがとうございます。
私、エラと申します」
軽くお辞儀をする。
「もしよかったら僕と一緒に外の空気を吸いに行きませんか」
手を差し伸べられた。
男の人から、求められるのはこんな風に初めてだった。
もしかしたら、この人が、運命のひとなのかな…?
期待と不安に胸を膨らませながら、その手を掴んだ。




