魔法特訓
「ねーもーむり…」
うつぶせになり、手を伸ばしたら本がバサバサっと倒れた。古く厚さのある緋色の皮に金色の文字が記された本や、真っ白な本、反対に深い漆黒を思わせる本など数えきれないほどある。
光の魔法に召喚魔法、日常魔法などここ数日で自分でもチートすぎると思うくらいモノにしてきたのだが、唯一できないものがある。
変身魔法…
「少し休んだほうがいいんじゃないかしら?」
つぶらな瞳で見つめてきたのは新しく仲間になったうさぎのモワルー
そう言って私の金色の髪を撫でてくれた。
「でも全然できてないよ?」
「今日は結構ひどい」
口々に言いたい放題言うのはねずみのコンとプリス。
しっぽをお互いにぶつけ合ってにやにやしてる。
エールと出会ったあの日以来、たくさんの仲間に出会った。モワルー、コンとプリスに加え、もともとうちで飼っている老犬のブルー、継母のいじわるな猫、ルシファーとも話ができた。
「あ?あんたたち言いたい放題言ってるわねーー」
落としてしまった本たちを拾い机に並べていく。
この本たちも、エールが魔法で出してくれたモノだ。
そのエールも舞踏会についての偵察という名の盗み聞きをしている。
ここ数日間、魔法ができるようになってから、姉や継母が家を空ける時間にすべて家事を終わらせることができるようになったので、もう文句も言われない。
だからこうして練習ができる。
「変身魔法できたー?ビックニュースいっぱいもってきたよ!!」
小窓から飛んできて嬉しそうにやってきた
「変身魔法できてない…ビックニュースってなに?」
次の瞬間、私は心臓が止まりそうになった。
「その舞踏会には王子も参加するらしい!
開催場所は〇〇地区〇〇〇〇でー
そのあとの言葉は聞いていたようで聞いていなかった
えーー!!王子様が参加するの!?
夢にまでみたわたしの王子様!
前世は待っていたばかりだったけど、今回はエラだからね!自分から会いに行かなくちゃ!
「よっしゃ!やる気でてきた!」
もう一度、1ページ1ページ厚い紙を開く。
そうだよね!!だって綺麗なドレスを着て変身した私じゃなくちゃ意味ないもんね!そのためにはできるようにならなくっちゃ!
「えーさっきまでやる気なかったじゃーん」
「ねー」
というコンとプリスの、すこしあきれた声が聞こえた。




