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アークブレス  作者: 灰皿
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第二部 第11話 影の王の復活

影の文明の歴史──

光の文明が恐れ封印した“原初の文明”の真実を知った翌日。


研究室には、重い空気が漂っていた。


凛はモニターを見つめ、震える声で言った。


「影の文明……存在そのものを書き換える力……

 そんなものが復活したら……世界は耐えられないわ」


翔は拳を握りしめた。


「だから止めるんだ。

 影の王が動き始めてるなら……俺が行くしかない」


リュミナは翔の隣で光を揺らしながら言った。


『翔……影の王は、影の文明の中心。

 その力は影の使者とは比べ物になりません……』


アーク・ネオの声が静かに響いた。


『翔。

 影の王は“深層存在領域”に封印されています。

 しかし──封印が崩れ始めています』


凛は息を呑んだ。


「封印が……崩れてる?」


アーク・ネオは続けた。


『あなたが世界再構築エネルギーの暴走を止めたことで、

 光の封印の一部が弱まりました。

 影の王はその隙を突いて、世界へ干渉を始めています』


翔は歯を食いしばった。


「……俺が止めなかったら世界は消えてた。

 影の王が動くのは……いずれ必然だったんだ」


リュミナは静かに頷いた。


『翔……あなたは悪くありません。

 影の王は、いつか必ず復活する運命だった……』


その瞬間──

研究室の照明が一斉に消えた。


「……停電?」


凛が驚いて振り返る。


しかし、違う。


空気が冷たい。

光が吸い込まれるように消えていく。


リュミナの身体が震えた。


『……来ます……!

 影の王の“影”が……この世界に……!』


翔はアーク・ネオを構えた。


「影の王……!」



研究室の中央に、黒い霧が渦を巻く。

霧は空間を歪ませ、床の存在が“薄れて”いく。


凛が叫んだ。


「存在情報が……消えてる……!

 影の王の力が……この空間を侵食してる!」


霧の中心に、ゆっくりと“影”が形を成した。


人の形。

しかし輪郭は揺らぎ、

目は深い闇のように黒く、

声は空気そのものを震わせる。


『……光の民の末裔……』


翔は息を呑んだ。


「影の王……!」


影の王はゆっくりと翔へ顔を向けた。


『封印を破りし者よ……

 世界の均衡を乱したのは……お前だ』


翔は歯を食いしばった。


「俺は世界を救ったんだ!

 影の文明が復活するのは……お前のせいだろ!」


影の王は静かに笑った。


『世界を救った?

 違う。

 お前は“光の封印”を弱めた。

 その結果、我は再び世界へ干渉できるようになった』


凛は震える声で言った。


「翔は悪くない!

 影の文明が危険すぎるから封印されたのよ!」


影の王は凛へ視線を向けた。


『光の民よ……

 お前たちが恐れたのは“力”ではない。

 “変化”だ』


リュミナは震える声で言った。


『影の王……あなたは世界を……書き換えるつもりなのですか……?』


影の王はゆっくりと手を伸ばした。


『世界は不完全だ。

 光の文明が作った“精神の世界”は脆弱。

 我が望む世界へ……再び書き換える』


翔は叫んだ。


「そんなこと……させるか!!」


影の王は翔へ手を向けた。


『光の民の末裔よ……

 お前の存在を……消す』


黒い霧が翔へ向かって伸びる。


しかし──

アーク・ネオが強く輝いた。


『翔!

 存在干渉能力で防御します!』


光が翔を包み、影の王の力を弾いた。


影の王は初めて驚いたように揺らいだ。


『……光の守護装置……再誕したか……

 だが──未完成だ』


翔は前へ踏み出した。


「未完成でも……戦える!」


影の王は静かに手を下ろした。


『今は試練にすぎぬ。


我が完全に復活した時……

 世界は“影の世界”へと書き換えられる』


翔は叫んだ。


「待て!!」


しかし影の王は霧となり、空間へ溶けて消えた。



静寂が戻る。

しかし空気はまだ冷たく、

影の王の気配が世界に残っていた。


凛は震える声で言った。


「翔……影の王は……完全に復活しつつあるわ」


リュミナは翔の手を握りしめた。


『翔……あなたがいなければ……世界は本当に……消えます……』


翔は拳を握りしめた。


「影の王……絶対に止める。

 世界を守るために……俺は戦う」


アーク・ネオの声が力強く響いた。


『翔。

 影の王との戦いは、ここから本格的に始まります』

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