〈TURN-7〉ミアと愛海、ルカと仲良くなる。
「ふぇぇえええ〜〜ん!! なんで、何で無理矢理陸に引き上げるんですかぁ〜! デリカシーってものが無いんですか貴女達はっ、えーーーん!!!」
ティアーズアイランドの浜辺にて、ミアさんと愛海さんに人魚の姿を曝け出されて、子供のように大泣きする私、ルカ。
だって私の理想の出会いとしてはなんかこう、神秘的にと言いますか、海から顔を出してミステリアスな空気にして物語を盛り上げようなんて思ってたのに……ぐすん、思い出しただけで泣けてきたわ。
「なんか、その……ごめんなさい」
「貴女が人魚だなんて全然思ってなかったら、つい……」
ミアさんと愛海さん、ミステリアスどころか、申し訳ない空気になっちゃったじゃないの!!
「ひっく、ひっく……いいんですよ。どーせ私はろくに人と話できないコミュ障人魚ですよ! もうダメ、私、貴女達に嫌われた〜!!」
(いや、そもそも人魚ってコミュニケーション求めてましたっけ? 寧ろ人間から避けてる種族ですよね?)
(追求は止めましょ、ミア。この子が可哀想よ……)
人魚のセオリーに従って私を分析するミアさんに、それを止めようとする愛海さん。
益々泣きじゃくる私に対し、愛海さんが話しかけてきました。
「それよりも良く見てよ! この人魚ちゃん、藍色の長い髪に水色の眼してて、可愛いわね〜♪ 泣いてる顔より、貴女が笑っていたらもっと可愛いと思うけどなぁ〜」
「…………ふぇ?」
これも愛海さんなりの気遣いなのでしょう。泣いてる私の気を引かせて、人魚の偏見も無く可愛いなんて言っちゃって。
最初に言われた時はきょとんとしてましたけど、大泣きだった私を、あっという間に泣き止ませてくれました。
「あの……私の事、怖がったりしないんですか? 変な人魚だなぁ、とか……」
「まぁ、その……最初は驚いちゃいましたけど、私、ファンタジー慣れって言うんですか? 童話とかTRPGのしすぎで、人魚さんが身近にいるような気がして。でも会えたのは貴女が初めてですけど、つまり……」
「要するに、“逢いたかった”って言いたいんでしょ? 人魚ちゃんに!」
「……そうとも言います」
なんて、ミアさんも不器用ながらも気を遣って、私に手を差し伸べてくれます。
そんな優しい二人を前に、私もすっかり涙も引っ込み、こう呟きました。
「……やっぱり、貴女達と出会えて良かったです。―――ミアさん、愛海さん!」
まだ自己紹介をする前に、私が彼女らの名前を呼んだ事で二人はかなり驚いた。
「な、何で私達の名前を知ってるんですか!?」
「もしかして超能力!?」
「いいえ、遊覧船で貴女達の話を聞いてたら覚えちゃいました」
「「はぁ…………」」
そーゆーエモい展開とかは無いんです。期待してた読者の方はごめんなさい。
「じゃあ、人魚ちゃんの名前も教えてよ!」
私が海の上で立ち聞きしてたのがムッと来たのか、愛海さんから自己紹介を要求します。
「―――私の名前は『ルカ』。……ミアさんと愛海さんの事は、ずっと前から逢いたいと思ってました」
「ずっと前から、とは……?」
ミアさんが尋ねます。
「私……ずっと前に夢を見ました。ミアさんと愛海さんが、私を助けてくれるんです。ポセイドンと、ネプチューンの魂を携えて、様々なゲームに挑みながら……」
「予知夢にしては、随分勇敢な演出ですね」
「てかポセイドンとネプチューンの魂って何? もしかしてあたし達の事を言ってるの? ルカ」
半ば信じ、半ば疑う。まさに半信半疑そのもののミアさんと愛海さんの反応。これに私は知らないという反応を見て、少し興奮しながら伝えた。
「何って……ポセイドンとネプチューンは、二人の超能力の事ですよ! ゲームをしてる時に現われたりしませんか!?」
それを聞いてミアさんはハッとしました。
「もしかして……【PAS】の事ですか?」
「そうです、PASです!!」
『Player・Ability・Soul』。通称【PAS】。
それは人々の感情や、性格から形成される一種の“心”の形を現した超能力の事。そしてそれはゲームを挑んでいる時のみ発動出来るのです。
PASを発動させる時は、その能力の持ち主の感情が昂り、『ゲームに勝ちたい!』と思う意思がトリガーとなって発動されます。
そのPASの形は人それぞれ。
魂の【長剣】【盾】を引っ提げて騎士もいれば、四大精霊【サラマンダー】の力を借りて敵を撃つ銃士もいて、【赤獅子】の力を武器に闘う拳士もいます。
そんなPASの能力を携えたプレイヤーを、人は【ゲーム戦士】と呼ばれており、そのゲーム戦士であるミアさんと愛海さんにも、そのPASが宿っているのです。
――ミアさんのPASは、【ポセイドン】!
――愛海さんのPASは、【ネプチューン】!
「私のPASも見破っていたのですね……」
「あれ【ネプチューン】って言うんだ! ゲームしてたらなんか三又の矛持ったおじいちゃんが暴れてるなーと思ってたら、そーゆー人だったのね!」
愛海さんだけ自分の能力を分かってませんでした。てか神話の方を人扱いするのもどーかと。
しかし私は、必死の想いでミアさん達に伝えます。
「私がどうして電脳世界の人魚として生まれ、戦争の記憶が刻まれた島で生きてきたのか。それを知るには二人のPASの力が必要なんです!
――お願いします。私を、私の知らない世界へ連れて行って下さい!!」
私の想いを真摯に受け止め、暫くは悩み込むミアさんと愛海さん。暫くして、一先ず行動すべきことをミアさんから私に伝えました。
「私達がこのティアーズアイランドに来た理由は、戦争の歴史の記憶をこの眼で刻み込む為です。今もなお、無駄な争いが続くこの時代で真実を掴む為に。
それが終わったら、私達はルカさんも連れて、あるゲームに挑む覚悟です。それでも貴女は、私達と付いていきますか……?」
「……はい。ミアさんと愛海さんと一緒なら、何処へでも……!」
私の決心に揺らぎはありませんでした。
「そうですか……それなら―――」
ミアさんは、私の両手にある物を渡しました。それは、先程までミアさんが握っていた色とりどりの五つのサイコロでした。
「これは……?」
「貴女はこのサイコロを持って、ここで待っててください。それは私にとって、覚悟を意味するものです。大事に持っていて下さい。約束ですよ……!」
「はい…………」
私は当然、ミアさんを信じてこの浜辺で待ちました。けれど、浜辺から離れて慰霊碑に向かおうとする二人の後ろ姿が小さくなるに連れて、急に心細くなり、また眼に涙が潤んで来たのでした……。
「やだ……私を、独りにしないでよ……」
⚀⚁⚂⚃⚄⚅
対して慰霊碑に向かうミアさんと愛海さん。私を置いていく事に抵抗があったようで、二人に複雑な感情が浮かんでいました。
「……ねぇ、ミア。何でルカを連れてこなかったの? 人魚だから?」
「これから向かうのは、感情も正義も無い残酷な記憶です。戦争なんて力を欲して身勝手な者達がやり始めた人殺しの遊戯。そんなものを彼女に見せたくないんです……!」
慰霊碑に近付けば近付くほど、彼女達の足が重くなる。しかしそれでも先に進む理由が、ミアさんの懐に持っていたジュエリーケースが語っていた。
「それで、あのゲームに挑んでいくんでしょ? 伊佐教授から貰った『ディレクション・ダイス』を使って」
「そうです。これを見終わったら私は―――ミリオンダイスに挑みます……ッッ!!」
⚀⚁⚂Go to the next turn!⚃⚄⚅
小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!
更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!
次回も『ミリオンダイス』でお会いしましょう!byルカ




