〈TURN-9〉ミアと愛海、試練のゲームに挑む。
――ティアーズアイランドにて、戦争の忌まわしき記憶を目の当たりにしたミアさんと愛海さん。
今尚、領土や資源、そして金の為に争いを引き起こそうとする愚か者を破産させる為、そしてミアさん達の夢の為に、究極のボードゲーム『ミリオンダイス』に挑もうとしております。
……ところで、『ミリオンダイス』は一体どんなゲームなのでしょうか?
10話目にしてやっと明らかになるゲームの内容。
その内容を先に単刀直入に説明するとこれは、“お金を増やし、奪い、蓄えて、億万長者を目指すゲーム”。
対戦プレイヤーと総資産額を競い合い頂点を目指すゲーム、だそうです。
「つまり……『モノポリー』とか『電鉄』とか『いたスト』みたいなゲームなのね?」
と、ゲームの知識は常人超えしている愛海が問う。
「愛海がゲーム好きで助かりました。まさに御名答です! だけどミリオンダイスは、テーブルだけで繰り広げるゲームではありません。このゲームワールドのエリア全体で展開するゲームなのです」
ミアさんは、まるで自分が以前にもミリオンダイスを参加してたかのように、詳細はご承知の様子でした。
「……もしかしてミア、前にもミリオンダイスにも参加してた?」
愛海さんは核心に迫ります。その予感は当たってました。
「投資家になってフリーになる前です。私がある横浜のゲーミングチームに入って、チームでミリオンダイスに挑んで、私がちょっと……ドジッちゃって。破産寸前にさせて追い出されたのを覚えてます」
「嘘ぉ? ミアみたいな天才でも失敗する事あるのね?」
「猿も木から落ちる。運とゲームを天秤に掛ければ、天才も馬鹿も関係ありません。その分戦略も左右されちゃうのです。それだけミリオンダイスは難しいのです」
等とミアさんも難しい顔で語ります。
運が良ければ天国、負ければ地獄の運命の分かれ道を、ディレクション・ダイスに賭けていくのがミリオンダイスなのです。
さて、そんなミリオンダイス。どうやって始めようかと愛海さんが首を傾げている合間に、ミアさんが左腕にディレクション・ダイスを装着する。
サイコロの入ったカバーの周りに埋め込まれたダイヤルを右に一周回し、決定ボタンを押す。すると……
―――キュュュゥォォオオオオンッッ
「うわぁっ、何、何!!?」
『―――WELCOME to MILLION’$ DICE!!』
神聖な鎮魂の祠の傍で、ディレクション・ダイスから突如吸い込まれるような、サラウンドボイスと共に起動音が鳴り響く。愛海さんもこれにはおったまげました。
すると、方位サイコロのカバー上から立体映像・ホログラフィが展開されると同時に、カジノのディーラーさんのような正装を纏った長身の美男子が現れました。
「あら、良い男ね」
「愛海!!」
少しは場を弁えてください、愛海さん!
『一攫千金の双六旅のご招待。試練のゲームを乗り越えて、さぁミリオンダイスへ挑みましょう! 司会進行並びにプレイヤーの旅先案内人は、私“Mr.M”が担当させて頂きます!』
まるで昔のクイズ番組の司会みたい。軽調な乗りで淡々と話を進めていくAI型のディーラーナビゲーターのMr.M。そんな中で愛海さんが一言物申す。
「ちょ、ちょっと待ってよ! “試練のゲーム”って何よ!? そのまんまミリオンダイスに挑むんじゃなかったの?」
『おや? 大金を賭けていくミリオンダイスを、誰が無条件で参加できると思ったんですか? 馬鹿なんですか、お嬢様』
「何じゃーー!? 馬鹿つった方が馬鹿なんじゃこのスットコドッコイがーー!!」
そのスットコドッコイに『良い男』つったのは貴女でしょーに。
『これは失礼。しかしこの試練のゲームは、己の運と戦略を見極める為のもの。サイコロに見放されている者が、ミリオンダイスを挑むなど無謀にも等しい故、そのテストをしようという訳です。どうかその辺は御容赦を』
運と戦略。それは万物のボードゲームには必須の要素なのです。
ミアさんと愛海さんの戦略は未だ未知数とはいえ、彼女は死線を超えて生き抜いた運を持っています。そう簡単に負ける訳にはいきません。
『しかし、その試練のゲームを見事クリアすれぱ、ログインボーナスの代わりに素晴らしい賞金が用意されております! その額、何と100万!!』
「100万円!? ログインボーナス処の話じゃないわね!」と、愛海さんははしゃぎますが……
「違いますよ愛海。その100万は円じゃなくて、ドルの額ですね」
「……どる??」
「日本円にして約1億5900万円。レートも変わりやすいですから、妥当な額ですね」
「何でそんな額を前にして冷静でいられるの……投資家の性なの?」
しかもこのミリオンダイス、エリアによっては別のお金の単位で戦う事もあるんだとか。世界情勢とレートを照らし合わせて挑むゲームに、ミアさんの投資家スキルも光ります。
『どうやらそこのお嬢様は、尻尾巻いて逃げる気はサラサラ無いようですね。100万ドルの額を目の当たりにしても怯まないとは』
「そりゃ勿論、私は投資家ですから。数字の桁が増えたり減ったりするなど日常茶飯時です」
『宜しい。ならば、早速ゲームを始めていきましょう。貴女達に挑むゲームは―――【ヨット】です!!』
「成る程、運と戦略には相応しい……!」
と、ミアさんはしたり顔で頷きます。
――――――――PLAY GAME――――――――
☆ミリオンダイス・チュートリアルゲーム☆
【ヨット(ヤッツィー)】
・ジャンル:ダイスゲーム
・ゲームレベル:B++
ルール
・5つのサイコロを最大3回振り、13種類の役を作って合計得点を競うボードゲーム。
各ターンで残したいダイスをキープし、残りを再ロール(振り直し)して役を完成させ、点数表を埋めていく。13ターン終了後、最も合計点が高いプレイヤーの勝利となる。
主な役一覧
・スリー・オブ・ア・カインド: 同じ目が3つ以上。ダイス5個の合計。
・フォー・オブ・ア・カインド: 同じ目が4つ以上。ダイス5個の合計。
・フルハウス: 同じ目が3つ + 別の同じ目が2つ。固定で25点。
・Sストレート: 4つ以上の連続する数字(例: 1,2,3,4,x)。固定で30点。
・Bストレート: 5つ連続する数字(例: 2,3,4,5,6)。固定で40点。
★ヤッツィー (5つ同じ目): 固定で50点。
※チャンス: 5個のダイスの合計(無役の時に使用)。
報酬
・賞金100万ドル(約1億5900万円)
―――――――――――――――――――――
『貴女達の対戦相手は、最新AIによるCPUが受けて立ちます。勿論改造ツールは用いて御座いませんので、ご安心を』
「当たり前です。盤上のゲームは常にフェアで無ければいけません」
遂に初陣、ミアさんの初ゲームにやる気満々。しかし愛海さんは……
「……ねぇ、ちょっと待って待って待って! こんな大金を賭けたゲームよ? 負けたらそれなりの代償って……あるんじゃないの?」
不安な様子でMr.Mに伺います。その答えは、
『無論用意されております。負ければ賞金の100万ドルは、そっくり貴女達に支払う事になっております。罰ゲームとしては適したものかと?』
「冗談!! 1億以上も払えだなんて!」
無謀すぎる。愛海さんは必死に訴えましたが、それは無意味に終わります。
ミアさんが覚悟を決めて、ミリオンダイスを挑もうとしている事。そして金の為に人々を苦しめる輩をぶっ潰そうと二人で誓いあった。今更試練に背中を見せることは出来ない。
「…………分かったわよ!! もう野となれ山となれ! でも絶対勝つわよ、ミア!!」
「そうこなくては!」
ミアさんもお人が悪い方! 愛海さんを否が応でもやる気にさせてしまいます。
『それでは―――始めましょう!』
Mr.Mの掛け声とともに、ティアーズアイランドの祠が一気に神聖な礼拝堂の会場と化す。しかし長椅子は無く、残されているのは赤い絨毯のみ。
そしてミアさんの手には、カップの中に小さなサイコロが五つ。これを使ってヨットを挑むのです。
『さぁ、お手並み拝見です。若き挑戦者よ!!』
いよいよミアさんと愛海さんの初ゲームが始まります! 次回は見逃し厳禁、約束げんまん!!
⚀⚁⚂Go to the next turn!⚃⚄⚅
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次回も『ミリオンダイス』でお会いしましょう!byルカ




