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俺とお前はこの世界で  作者: ぱんぷ菌
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第5話 出会い

遂に邂逅

現在、ジェストは悲鳴の聞こえる方向に全力疾走していた。


(悲鳴に魔物の鳴き声…只事じゃないだろう)


ジェストは倒木を飛び越え、茂みを突っ切り、走り続けた。だか、普段から鍛えてるとはいえ、流石に息が切れてきたようだ。


(不味い。悲鳴が段々と弱々しくなってきている…)


ジェストは自分の体に鞭を打ち、一層スピードを上げ、走る。


(いた!)


すると、前方に三匹の灰狼に囲まれている、血塗れの子供を発見した。ジェストは腰に帯刀しているロングソードを抜き、速度を落とさずそのまま灰狼を斬り付ける。


「ギャウン!?」「キャン!?」


その一撃は、灰狼の首を深く鋭く斬り付けた。灰狼らは首から血を噴水のように吹き出し、その場に倒れ込む。クリティカルヒットだ。


「ガルルル…」


もう一匹は分が悪いと感じたのか、踵を返して逃げていった。ジェストは今は子供の手当が先だと、追うことは無かった。


「…おい。大丈夫か?」


ジェストが声を掛けるも、反応はなかった。全身血塗れで、衣服が裂かれ、噛まれた跡や裂かれた傷などが見て取れる。腕の肉が一部欠損しており、骨が見えている。ジェストは子供の生死を確認する為に、手首を押さえ、口に耳を近づける。


(脈もあるし息もしている…だが浅いな)


ジェストはこれだけの傷を負いながら、生きている事が奇跡のように思えた。


ジェストは雑嚢を地面に置き、中から水、回復薬、包帯、そして手拭いを取り出した。子供を一旦地面に寝かせ、浅い傷口に入った砂や汚れを水で洗い流す。その次に回復薬を垂らす。回復薬は基本飲むことによって傷を癒すものだが、傷口に掛けることで殺菌と止血が出来るのだ。そのことをジェストは知っていた。次に、手拭いで血を拭き取ってやり、包帯を優しく巻いていく。


「…ふぅ。こんなものだろう」


一通り応急処置を施し、ジェストは血塗れの手で汗を拭った。しかし、傷が癒えても血液は増えない。その為、ジェストは子供を担いで、早々に街へ戻らねばならなかった。


(担ぐのが小さな子供で助かった…しかし何故こんな所に子供が…?)


ジェストはそんな疑問を抱きながら、ダンジョン脱出を目指すのだった。




その後、ジェストは無事にダンジョン入口近くの救護施設に子供を預けることが出来た。どうやらジェストの応急処置が功を奏したようで、もう少し助けるのが遅ければ出血多量で死んでいたという。


ジェストは今、その子供の隣で看病兼監視をしているのであった。


「…ん」

「…おい、分かるか?見えるか?」

「は…い。分かります」


遂に子供が目を覚ましたらしい。ジェストが子供に確認を取ると反応があった。受け答えに異常はないようだ。


「あの…ここは何処で、貴方は誰ですか?」


子供がジェストに質問をする。見知らぬ場所にいかにもヤバそうな男が座っているのだ。無理もないだろう。


「…ここはダーテダンジョン入口前の救護施設だ。そして俺はジェストという。お前の名前は?」

「あ、僕の名前は影宮幸です。影宮が苗字で、幸が名前です」

「…苗字があるのか」


このときジェストはこの幸という子供を不審に思っていた。まず、何故ダンジョンに子供が入れたのか。ダンジョンに入れるようになるのは15歳からである。ジェストには幸が15歳以上には見えなかったのだ。


また、倒れていた時に着ていた装備についても不振な点はある。灰狼に攻撃され、ボロボロではあったがとても安価で買えるような物には見えなかったのである。


ジェストは疑問を幸にぶつけた。


「お前…何者だ?なんでダンジョンにいた?」

「っ…やっぱり聞きますよね」


幸はその後、ジェストにこれまでの経緯を全て話した。


「そうか…勇者に裏切り…十六歳に男…」

「はい…ん?」


ジェストは幸の中々にヘビーな境遇に思わず顔を顰めた。十六歳男子という事実に衝撃を受けたことも、顔を顰めた原因の一つであった。


「これから、どうするんだ?」

「これから…ですか」


幸はベッドの上で悩む素振りを見せる。このまま「実は生きてましたてへぺろ☆」と王国に戻ろうものなら、渡部達を罰することは出来ても、王国側は知らないが、他のクラスメイトによって危険に晒されるかもしれない。


「そういえば、この世界には冒険者という職業があるんですよね?」

「あ、ああ」


幸はそれを聞くと、はっきりと答えた。


「僕、冒険者になります」


ジェストは目を見開いた。魔物に襲われて、ボロボロになったにも関わらず、冒険者になりたいと言ったことに驚いたのだ。並大抵の人間なら、殆どがトラウマになっている。それ程の経験をしたのだ。だのに幸は冒険者になりたがっている。


「…怖く、ないのか?」

「…怖いですけど、自分を変えたいんです。今までの弱い自分を」


幸はジェストの瞳を真っ直ぐ見つめる。こうなっては人はテコでも動かないことをジェストは知っていた。


(コイツは…強いな、俺と違って)


「…そうか、わかった」


これから幸は強くなるだろう。勇者に選ばれたのだ。レベルもきっと高くなるだろう。すると、幸が


「あのー少しお願いがあるんですけど…」

「…なんだ?」

「僕とパーティを組ん」

「断る」


ジェストは食い気味に断った。

おとこのこっていいよね

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