第13話 謎のスキル
どっちが化け物かわかんねぇよ…
ジェストは思考停止していた。それもそうだろう。これがもし事実であるなら、世界の理を完全に崩壊させたことになる。
幸はジェストの様子がおかしいことに気付き、直ぐに近寄ってきた。
「だ、大丈夫ですか?ずっと硬直してますが、もしかして後遺症!?」
「…はっ、す、済まない。別に異常は無い…とは言えないな。あまりの異常事態に放心していたようだ…」
「な、何があったんですか…?」
「これを見てくれ」
そう言って、ジェストは幸に自身のステータスを見せた。幸はそれを見た途端目を丸くして固まった。
「…なんすかこれ」
「…わからん」
森に時間が止まったような静寂が訪れる。その静寂を破ったのはジェストと幸では無く、他の冒険者の騒ぎ声だった。どうやら森で起こった異常に気付き、様子を見に来たのだろう。
「不味いな、他の冒険者が近くまで来ている。逃げるぞ…おい、幸!」
「…はっ、はい!わかりまし…え?」
ジェストはさり気なく化け物だった物と幸を担ぎ、その場を後にした。
(まさかと思ったが、どうやらあのステータスは本当らしい…)
「ぁぁぁぁぁあああああああ!?!?!?」
ジェストは自身の力に驚嘆しながらも、ずんずんと森の中を駆ける。その速さも異常で、幸が叫び声をあげる程に素早かった。
「…ここら辺でいいか…おい、幸?」
「」
幸は目をぐるぐると回して気絶していた。今のジェストの速さは、音速を軽く超えている。それを生身の人間に体験させたのだ。死ななかっただけマシだろう。ジェストもそのことに気が付き、自己嫌悪に陥った。
「…やってしまった、馬鹿か俺は…」
ジェストは取り敢えず幸を寝かせた。化け物の死体は隣に放置した。このステータスが本物であることを実感したジェストは、幸の頬を軽めに叩いて気付けを試みる。すると、閉じられていた瞼が徐々に開いてきた。
「ここ、は…あ!化け物!あの化け物は――」
「心配ない、俺が斃した」
幸は一瞬取り乱したが、ジェストの言葉と隣にゴミのように置かれてある例の化け物の死体を見て、落ち着きを取り戻した。
「そうでしたね、僕の目の前で斃してましたもんね。では、あのステータスも本当なんですか…?」
「…どうやら、そうらしい」
ジェストはもう一度ステータスを確認するが、先程と変化は無く化け物じみていた。だが、問題はそこではなかった。
「何故レベルが上がったんだ…?」
「僕も成長限界を突破するなんて、聞いたことがありませんよ」
成長限界は個人差があるものの、成長限界を迎えてしまうとレベルが上がらなくなるのは世界共通の常識である。しかしジェストはそれを無視し、レベルが上がってしまった。
二人とも頭をフル回転させて考察するが、答えは一向に出てこなかった。
「それにこのスキル、《権限》とは一体…」
ジェストはステータスボード(ステータスが表記されてある板のようなもの)のスキル《権限》を触ると、このスキルに関しての情報が出てきた。
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《権限》
・この世界を管理するためのスキル
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「…何だこれは」
「この世界を…管理?」
ジェストと幸には意味がわからなかった。しかし、何かとんでもないものを手に入れてしまったことは明らかだった。
「早速使ってみるか?」
「え?今ですか?未知のスキルを使うのは危険な気が…」
「しかし、使わんことには何も始まらないだろう」
「…確かにそうですね」
ジェストは早速使ってみることにした。実は初めてのスキル習得にジェストは少し、いや、結構興奮していたのだが、幸は知る由もない。
「ふぅ、いくぞ。《権限》」
ジェストがそう呟くと、何やらステータスボードとは別物の板が二枚出てきた。一つは文字がずらっと並んでいる板で、もう一つは何かを映し出していた。
「…ふむ、文字は読めるが…これはなんだ?」
その画面には、《ダンジョン》《魔法》《ステータス》等…数え切れないほどの項目に溢れていた。ジェストは試しに《ステータス》という項目をタップしてみた。すると――
「これは…俺のステータスではないな。まさか他人のステータスか!?しかも何だこの量は…」
そこには、ステータスボードよりも詳細に記載された情報があった。名前、ステータスは勿論、顔、年齢、体重等…個人情報がダダ漏れであった。プライバシーなんてあったものじゃない。
(動物、魔物のステータスまで…まさか、これは世界中の生き物のステータスを表示出来るとでもいうのか?)
ジェストは心の底から怖気がした。このスキルは危険すぎる、そう確信したのだ。もしこの事が他人に知られようものなら、どんな目にあうかわからない。少なくとも良い結果には終わらないだろう。
「…幸、このスキルについては誰にも話すな。いいな?」
「っ!は、はい!肝に銘じます!」
幸は何だかよくわからないが、ジェストの並々ならぬ気迫を感じとり、全てを察した。やはり不味い代物なのか、と。
ジェストは心底参っていた。突然のレベルアップに謎のスキル、胃がキリキリと痛む。
「…今日は切り上げよう。スキルの詳細は帰ってから宿で調べておく」
「わかりました。しかし、この死体どうします?」
幸はずっと放置されていた化け物の死体に視線をやり、ジェストに問いかける。
「…解体していくか、はぁ」
ジェストはため息をつきながらも、解体用のナイフを取り出した。
この痛々しい小説を読んでくれたそこの君!ありがとうございますいや本当に。誤字脱字は報告してくれると嬉しいっす。感想もしてくれるならありがたい。できるだけ参考にする所存であります。
なんか情緒不安定でヤンスねぇ…




