第31話 夜空を見よう
予約をしてチーズパンを買った。
3等分して、直臣と由紀乃とで食べた。
「結構美味しいじゃん」
「私も予約しようかな」
フランスパンにキューブのチーズが入っていて美味しい。
なんでもっと作らないんだろうと思った。
食べ終わった頃に3人の男性がやって来た。
「便利屋部に依頼したいのだが」
「どんな依頼です?」と僕が聞く。
「今度、屋上で天体観測会をやるんだ」
「はいはい。人数が足りないから期日までに天体全部覚えてねでしょ」と直臣が言う。
「確かに人数が足りないから頼みにきたのだが、やってほしいのは受け付けと誘導だ」
僕たちは今まで無茶ぶりをされていたので、普通の仕事に逆にびっくりした。
「できれば主だった星は覚えてもらえると助かる。わからなかったら天文部に聞いてくれでいいので」
なんて低姿勢。
僕たちは感動した。
「それでいつなんです?」
「3日後だ」
「ずいぶん急ですね」
「天体観測は天候しだいだからな。なので不確定な一週間後とかは出来ないんだよ」
「なるほど」
「3日後は晴れる予報だから」
そして打ち合わせをした。
「望遠鏡が2台あるので、月と木星にしようと思う。余った1人が肉眼で見える星の説明だ。便利屋部には先ほど言った通り、受け付け1人と、案内と安全担当を2人だ」
「安全?」
「基本上ばかり見ているから、生徒同士がぶつかったり、柵の方にいったりしないようにだ」
「なるほど」
ちなみに天体観測会の参加者は生徒限定だ。
一般などの外部の人間を屋上に入れるにはリスクが多いからだ。
そして当日。
屋上で天体観測会が始まった。
受け付けは由紀乃が担当だが思ったよりも来場者が多いので僕が一時的にヘルプに入る。
そして時間になると、望遠鏡で月と木星を観測する人たちの案内をしたり、夜空を見渡したりした。
肉眼担当者が大声で「まずあそこに見えるのが北極星です。そして北斗七星、アークトゥルス、スピカ、ベガ、夏の大三角」と説明していく。
ぼくらも安全や案内に気をつけながら夜空を見上げる。
東京でもこれだけの星が見えるんだなと思った。
夜は少しだけ肌寒いが、この天体観測会は成功といっていいだろう。
みんな楽しそうにしているのだから。
すると、星みたいな小さな光が、空をスーッと横切っていく。
「UFOだ」
何人かがその光を見て言った。
みんなが一斉に見て「UFOじゃん」と言う。
「あれはISS。国際宇宙ステーションよ。宇宙空間で実験や観測を行うための研究施設。サッカーコートと同程度の大きさで、地球一周に90分。1日あたり16周してるわ」と由紀乃。
天文部もぽかんとしている。
「なんでそんなに詳しいんだよ」と僕が聞く。
「だって調べろって言ったじゃん」と由紀乃。
「そこまで言っていないんだが…」と天文部がなぜか敗北感を漂わせた声で言った。




