第30話 正一郎の朗読
最後に僕が立ち上がった。
周りから、先ほどの由紀乃の影響で好奇の目で見られている。
僕は構わず朗読を開始した。
「こちらニューヨーク。なにものかから攻撃をされています」
「こちらロンドン。攻撃を受けている。至急救援を」
「モスクワに何者かが襲撃している」
「上海も攻撃されている」
「東京も何者かに攻撃されている」
「シドニーも襲撃が」
突如世界中が攻撃された。
これは一体。
ここワシントンD.C.郊外にある軍事基地で通信を担当している僕、ディランは、世界中の救援要請に頭が混乱した。
「指令、世界各地が攻撃をされています」
上司である通信部長のトッドに、報告と映像を送った。
「なんだこれは一体」トッドもなにがなんだかわからない模様だ。
それは突然のことだった。
NASAから地球上空に金属の大型物体が現れたとの報告後のことだった。
つまりは宇宙人からの攻撃なんだろうか。
しかしおかしい。
攻撃しているのはまるで地球の戦闘機ではないか。
何故宇宙人が地球の兵器を。
「各国が迎撃を開始した模様」と隣でローガンが報告する。
世界中がパニックになっている。
混線した映像は世界中が燃えている映像ばかりだ。
数時間後、各国は連携を取り、敵の戦闘機を追い返した。
そして合衆国大統領のグレゴリーが緊急事態宣言をする。
今回の戦闘で多くの死傷者が出た。
特に都市部をピンポイントで攻撃されたので被害は莫大であった。
世界中が混乱の中一夜明けると敵の第二陣がやってきた。
次に攻撃されたのは各国の主要軍事基地であった。
そしてここ、ワシントンD.C.郊外にある軍事基地も例外ではなかった。
トッド部長の「各自避難」の掛け声とともに僕は基地を脱出する。
基地の外に脱出できたのはわずか数名。
しかもほとんどが傷を負っていた。
味方の戦闘機が敵の戦闘機を撃墜してくれたが、基地は壊滅したといっていい。
敵の戦闘機が墜落した。
爆発はしなかった。
僕は落下地点へ向かった。
20分ほど走り、ようやく林の中に敵の戦闘機を見つけた。
僕は近づき銃を向ける。
戦闘機を覗き込み僕は驚いた。
「人間だ……」
そいつが僅かに肩を動かした。
僕は割れたコクピットを破壊し、そいつに銃を突き付けて「お前たちは何者だ」と言った。
「お前たちと同じ地球人だよ」
「嘘をつけ。何者だ!」
「こうしてお前と話せているだろ? それが証拠だ」
確かに宇宙人と喋れるのはおかしい。
地球人。
こいつらはいったい。
「ではどこの国のものだ?」
「国? そういえば昔は国というものがあったな」
「どういうことだ?」
「我々はお前らの少し先の未来から来た。地球が滅び火星をテラフォーミングして住み着いたのだ。我々は地球に戻りたかった。そこで……ぐわぁ」
敵の命が絶えた。
なんてことだ。
こいつらは未来の俺たちなのか!
つづく。
僕が朗読を終えた。
会場からは朗読会でつづくってなんだよって、みんなが言う。
「だってここまでしか書けなかったんだもん」と僕が言う。
「そのあとどうなるんだ。続きを教えてくれ」と言った声も聞こえる。
「まだ考えていない」
会場は大ブーイングであった。
僕は頭を下げると逃げるように外へ向かった。
だって本当に時間が無かったんだよ。




