第27話 幻のチーズパンと文芸部
3人で部室に向かっていると、新聞部とすれ違った。
「便利屋部は最近忙しいみたいじゃないか」
「どうなんでしょうね」と僕が言う。
「それで、どうなんだ?」
「何がです?」
「色々あるんだろ。溜まってることが」
「なんのことです?」
「氷はなぜ透明なものと白いものがあるのか」と由紀乃が言う。
「それだ!」
新聞部が急いで去って行った。
部室に着くと、男子生徒がいた。
「あの。どちらでしょう。ここは便利屋部ですよ」
「誰もいなかったので、待たせてもらいました」と男子生徒が言う。
「どういった依頼ですか?」
「購買のパンに限定パンがあるのを知っています?」
僕たち3人は顔を見合わせた。
「先着5名限定のチーズパンがあるんですよ。それを手に入れてもらいたい」
「そんなのあるんだ」
「見たことないなあ」と直臣。
「なんで5名だけなんだろ」と由紀乃が言う。
「チーズを入れたフランスパンを5等分にしているらしいんです。1日5個限定で、300円するんだって。ではお願いします」
そう言うと、男子生徒は300円を置いて去って行った。
翌日の昼、僕は授業が終わるとダッシュで購買に向かった。
しかしパンはすでに売り切れであった。
どんだけ早いんだよと僕は思った。
放課後、結果を2人に報告。
2人とも僕がダッシュで買いに行くのを見ていたので、売り切れになるとは思っていなかった。
「これは思ったよりまずいね」と直臣。
「だから頼みに来たわけね」と由紀乃。
「いっそ前の授業さぼるか? それでないと買えないと思う」と僕が言う。
「さすがにそれはやりすぎ」と直臣。
さらに翌日、無策のまま、お昼を迎えようとしていた。
とりあえずまたダッシュで購買に向かおうと考えていたら、無性にトイレに行きたくなった。
授業の終わる5分前である。
先生に許可をもらい、トイレに行ったときに思った。
このまま購買に行けばいいじゃん。
そして購買に向かうと、パンが1つだけ残っていた。
「このパン下さい」と僕が言い、無事手に入れたのである。
「この時間でも、残り1個なんですね」と僕が購買の人に言うと、
「それ、前日に予約しておけば取り置いてあげてるからね」と購買の人が言った。
そりゃ、今まで見かけないわけだと思った。
こうして依頼を達成したその日の放課後、別の人がやってきた。
女子生徒である。
そして文芸部の部長と名乗った。
「今度文芸部で朗読会をやろうと思っているの。でも私たち3人しかいないから、もっと人が欲しいの。そこであなたたちに朗読会に参加してほしいの」
「朗読会ですか。何の本を読めばいいのですか?」
「オリジナルよ」
「ちょっと自分たちで書いて読めと」と直臣が言う。
「そう。ジャンルはなんでもいいわ」
「何でも?」と由紀乃。
「はい」
「それでいつなんですか?」
「来週の土曜日」
一週間とちょっとか。
部長が去った後に僕は考えた。
なに書いて読めばいいんだよ。
そして指定された土曜日がやって来たのである。




