第23話 花咲か爺さん 直臣ver
直臣が椅子に座った。
ノートを広げ、読み聞かせが始まった。
昔、ある雨の日に迷子の白い子犬が、ずぶ濡れになっておじいさんの家の前へたどりつきました。
それを見た心優しいおじいさんとおばあさんは、風邪をひいてしまいそうな子犬を助け、一緒に暮らすことにしました。
シロと名付けられた子犬は、すくすくと大きくなりました。
「わんわん」
ある日、シロはどこかへ連れて行こうとするように、おじいさんを呼びます。
おじいさんがついていくと、シロは地面をポンポンとしながら言いました。
「ここほれわんわん!」
おじいさんが地面を掘ってみると、なんと大判小判がざくざく。
おじいさんはたまげて、家まで持ち帰り、おばあさんに話しました。
「おばあさん、シロが大判小判のありかを教えてくれたのじゃ」
「まあ! シロはすごいね」
「うむ。シロはすごいのう。お金は使いきれないから、みんなにわけよう」
おじいさんとおばあさんはシロをなでながら、にっこり笑いました。
その様子を家の窓から、意地悪夫婦のおばあさんが見ています。
「じいさんや、じいさんや! 隣の犬はお宝のありかを見つけられるそうじゃ!」
いじわるじいさんは、それを聞いて、なんとしてもシロを使いたい!と考えました。
次の日、いじわるじいさんは、畑仕事を手伝ってもらうからと嘘をつき、シロを借りました。
やさしいおじいさんは、何も疑わずに見送ります。
いじわるじいさんはシロにお金を見つけさせようと、乱暴に引きずりました。
シロが困ってしまって立ちどまります。
いじわるじいさんが勘違いをして、そこを掘ると、地面からごみがたくさん出てきました。
「おまえ! だましたな!」
いじわるじいさんがシロをぶつと、シロは死んでしまいました。
そうとは知らず、やさしいおじいさんがシロを迎えにいきます。
「こんにちは。シロをひきとりにきましたよ」
しかし、いじわるおじいさんは適当に言いました。
「ああ、シロは急に病気になって死んでしまった。シロの墓には枝をさしておいたから、わかるぞ」
やさしいおじいさんは、悲しみにくれながらシロの墓を探しにいきました。
シロの墓を見つけると、泣きくずれてしまいます。
「シロ、シロ……」
すると、枝がぐんぐん成長し、大きな木になりました。
おじいさんはその木を切り、丸太にして持ち帰ります。
そして臼を作りました。
「おばあさんや、これでもちをついたら、シロがもどった気分になるじゃろうか……」
そう言って、おじいさんとおばあさんは、その臼でおもちをつきます。
すると、おもちのかわりに、SRカードがあふれてきます。
「これは激レアのカードばかりじゃ。しかも使い勝手が良い」
その様子を、またいじわる夫婦のばあさんが見ていました。
意地悪じいさんはそれを聞いて、今度は臼を借りにいきます。
やさしいおじいさんは、またうたがわずに貸してしまいました。
「よぉし、俺も激レアカードを手に入れるぞ!」
しかし、いじわる夫婦がおもちをつこうとすると、使い勝手の悪いコモンのカードばかりがあふれてきました。
意地悪じいさんはかんかんです。
臼を燃やしてしまいました。
そんなことは知らずに、やさしいおじいさんは臼を引き取りにきます。
「こんにちは。臼を返していただけますか」
いじわるじいさんはまた適当に言いました。
「ああ。臼なら壊れたので、燃やしてしもうたよ」
やさしいおじいさんはまた悲しみにくれて、うすの灰を抱きしめます。
おじいさんが泣いていると、灰が風にのって、かれた木にふりかかりました。
さらさらさら……。
すると、どうでしょう。
かれていた木のそこらじゅうに、花が咲いたではありませんか!
その花はとてもかわいらしく、シロのようです。
おじいさんは、とってもうれしいきもちになり、たくさんの花をさかせました。
花をさかせる花咲か爺さんの話は、ユーチューバーの耳にも届きました。
ユーチューバーは花をたいそう気に入り、おじいさんと動画を撮りまくります。
それを知ったいじわる夫婦は、自分たちも有名になりたいので花をさかせようとしましたが、一つも咲かせることはできません。
やさしいおじいさんとおばあさんは、動画再生の広告収入で幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。
直臣が反応を見る。
シロが死んだところでみんな泣きそうになったが、カードとユーチューバーは受けていたようだ。
直臣がホッとして僕を見る。
次は僕の番だ。




