第22話 1人だけの同好会
セパタクロー部から由紀乃に、監督をしてほしいという打診があった。
由紀乃は当然断った。
でもたまにはコーチしてあげてもいいのではと僕は思った。
そんなことを考えていると、1人の女子生徒がやって来た。
「便利屋部さんにお願いがあって来ました」
おお!いつもと違って低姿勢。
僕はものすごく好感を持った。
「私、読み聞かせ同好会をやっています。といっても部員は私1人ですが。今度近くの児童館に絵本の読み聞かせに行こうと思っているのですが、私1人では」
そう言うと、僕ら3人を見た。
「そこでみなさんにも読み聞かせに参加していただけないでしょうか?」
僕らは顔を見合わせた。
「それはいつやるんですか?」と僕が聞く。
「一週間後です」
「ごめん。その日予定がある」と由紀乃。
僕は直臣を見た。
仕方がないといった感じだ。
「わかりました。絵本を読めばいいのですね」
「絵本でも童話でも。そして脚色しても構いません」
脚色か。
どうせやるなら子供たちを楽しませたい。
僕と直臣は勝負をすることに決めた。
どっちが子供に受けるか。
こうして読み聞かせ同好会の申し出を引き受けることになった。
由紀乃が珍しく謝っていた。
家庭の事情らしい。
それなら仕方がない。
「直臣、何を読むの?」
「勝負なんだから教えるわけないだろ」
「そりゃそうか」
「1つだけ聞かせてくれ。脚色するか?」
「当然。正一郎もだろ?」
「もちろん」
図書室に行くと、この前の人が会釈をした。
僕も会釈を返した。
そして児童書のコーナーで本を探す。
赤ずきん、鶴の恩返し、竹取物語。
そしてある本に目が留まった。
いける。
これなら直臣に勝てる。
本を借りるとさっそく家で脚色をする。
「ふはははは」と心の中で笑った。
これで直臣に勝てる。
僕は脚色するのが楽しかった。
子供たちを笑顔にできるといいな。
そして一週間後。
僕と直臣は初めて校外で便利屋部の活動をする。
場所は近所の児童館。
読み聞かせ同好会の人と3人で入っていく。
そこにはたくさんの子供たちが。
読み聞かせ同好会の人が椅子に座る。
子供たちは床に座っている。
読み聞かせ同好会の人がわらしべ長者を読む。
子供たちは楽しそうだった。
読み聞かせが終わると、子供たちが集まってきた。
読み聞かせの人はみんなの頭をなで、笑顔を振りまいている。
次は僕たちの番だ。




